ストーリーテラー
私は、知りたがりだ。
好奇心ではなく、癖のようなものだ。性癖というよりもっともっと無意識下の手癖や口癖のようなもので。だからこそやめようと思ってもなかなかやめられない。
昔から物語を読みすぎて、ストーリー(筋書き)というものに固執するクセがある。
突拍子もない出来事について前後関係などの情報を集めて自分の納得がいくストーリーを書き上げる。物事の前後関係、登場人物の心境、心理状態、引き起こすに至った過去の出来事、そして未来への影響や変化を流暢にまとめたい。さながらストーリーテラーのようだ。
私がえられる情報がどれだけ正しいかわからない。
人は過去を語るとき、主観がまじり、憶測が入り、特に悪事については正当化して、側面や表面を切り取ってしまうことは全然あるから。それでもいいのだ。自分の人生を生きるのは自分しかいないから。私にとってのストーリーにしたいだけだ。大切なことは話を作り上げることなのかもしれないと思う。
根拠を示しながら話をするため、私のストーリーはどうも物事の本質を捉えているようにも見えるけれど一概にもそうは言えない。私は又聞きでしかないから。ゴーストライターのようなものだ。そこにリアリティは欠ける。もしくは、週刊誌のインタビューで得られた会話の一部を切り取って貼り合わせるような、やや不安感のある構成になっているはずだ。信頼できる部分とできない部分があるだろう。
つまりその人の歴史にはやっぱり自分しか到達できない余白があるということだと思う。
これが理性的な行為なのかは甚だ疑問だ。
頭を使うことをやってるから理性的に見えるけど方法としては誰もやりたがらないほど乱暴に思う。
とはいえ、私と向き合ってくれる人たちにいつも感謝している。