ギルバードとリュミヌー
聖剣伝説LOMをやっているのでひとつ、いいなと思った話を紹介します。
ギルバードはキザな、愛多き吟遊詩人の男性だ。
彼が思いを寄せるのはリュミヌーというランプ職人の女の子。ギルバードはリュミヌーの気を引くために主人公に協力してもらい、リュミヌーが作ったランプをたくさん売ります。その後、ランプを売ってきた代わりにとリュミヌーをお店の外に誘ったギルバードはリュミヌーにこう語りかけます。
「ねえ、リュミヌー。ボクの夢を聞いてくれるかい?」
そしてギルバードはリュミヌーに背を向け街から旅立ち、リュミヌーは自分のランプ屋に戻る。ランプ屋にいるリュミヌーはこう語る。
その後ギルバードと主人公が売ったランプの買い手たちがリュミヌーの作ったランプをとても気に入ったと言いにくる。それを聞いてリュミヌーはとても嬉しそうにするのだ。
お話はここで終わり。
以下、私が思ったことなので主観の解釈を含みます。
ギルバードは愛や夢を語るが、ロマンチストというよりはリアリスト寄りで、ランプについては量産を提案してくる。バイトに販売をさせ、万人受けするデザイン、ライン生産を提案しているのだ。ギルバードはそれを夢見ているのだと言う。
一方リュミヌーは、あくまで手作り思考。生産にも楽しさを見出し、わかる人だけ手に取ってもらえればいいと言う。リュミヌーは今すでに楽しい夢の中にいるようだと言う。
これは、二人の生き方をそのまま表している。
ギルバードは大志を抱き都会的でたくさんのものに囲まれ誰もが羨む生活、リュミヌーは質素で、理解してくれる人は少なくても自分がいいと思えるものを周りに集める生き方をしたいのだ。
そしてギルバードとリュミヌーはお互いの価値観が違うからそれぞれの愛を探そうと言って別々の道を歩む。
その後、リュミヌーに話しかけると彼女は彼を失ったことに沈みつつ、主人公たちにぽつりと本音を漏らすのだ。
彼はもっと大きなランプが欲しい人なのに、私のランプはとても小さいの。
ランプが大きくても小さくても本当は関係ないはずなのに。
だってそうでしょう?
ベッドに入ったらランプは消すでしょう。
ベッドに入ったらランプは消すのだから、ランプの形や大きさより、大切なのはランプであることだと、必要なときに灯せることだとリュミヌーは考えてるのだろう。ランプ屋のリュミヌーがこれを言うから素晴らしい。
広い範囲を照らす素晴らしいランプがほしいギルバード、自分の身の回りしか照らすことができないリュミヌー。
大きな、立派な愛を求めて小さな愛から離れるギルバードと、小さくてささやかな愛で満たされるリュミヌー。
リュミヌーに存在するささやかな愛よりもっと自分の求めるものがあると、ギルバードは思ってしまったのだなと。
リュミヌーはそんな彼との別れに沈みながらも自分ではなかったのだと理解を示すのがなんとも切ないなと思う。
愛に大きいも小さいもない、ここまで光らせてと遠くから泣くんじゃなくて、その人が照らす場所に自分から足を踏み入れることも留まることも必要だとも感じるし、理想を求めることは悪いことではないなとも感じた。
いろんなことを考えてしまういい物語でした。
この話には続きがあるはずなので、それをプレイするのもまた楽しみです。
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