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VRChat内位置情報・アンケート収集解析ツールYAIBAの紹介

理系集会をご存知でしょうか?
隔週で理系の方々がVRChat上で交流するイベントです。

理系集会では、参加者の位置情報などの行動ログを許可を得たうえで収集しており、集めたデータに基づいた運営改善を行っております。
このような行動ログ収集や解析を一般に使えるようにしたものYAIBA となります。ちなみに、YAIBAはYet Another Interactive Behavior Analysis for VRSNSの略です。

この文章では以下の内容について触れます。

  • YAIBAの機能

  • 理系集会での活用例

こちらのYAIBAは、のりたま(@noritama_vrc, booth)、こくたん(@cocu_tan)、LAMBsun(@LAMBsunsun)により開発されました。

https://github.com/ScienceAssembly/YAIBA-VRC

https://github.com/ScienceAssembly/YAIBA

YAIBAの機能

YAIBAには主に以下のような機能があります。

  • プレイヤーの位置情報収集・解析・可視化

  • アンケート機能と結果の収集・解析

  • スタッフのみ利用可能なオブジェクトの追加

  • ヨドコロちゃんのタグマーカーのログの解析

  • プライバシーを尊重したデータ解析

  • Google Drive / Google Colabとの連携

それぞれについて詳しく説明します。

位置情報収集・解析・可視化

位置情報収集に同意したプレイヤーを対象に、位置情報及びプレイヤーの向いている向きを定期的(10秒ごと)に収集します。この収集はギミックを設置した特定のワールド内のみで行われ、設置されていないワールド・データ収集に同意しなかったワールドでは収集されません。

理系集会では以下のような位置情報収集の同意の文章を掲示しています。この同意文に同意したユーザーからのみデータが収集されます。YAIBAで位置情報を収集する際はこのような同意文を作成し、差し替えていただく形になります。この同意文を掲載しない場合、VRChatの利用規約に違反するおそれがあります。

このような位置情報は現実の位置情報と同様、限られた人のみが閲覧できるべきです。YAIBAでは特定のユーザーのみに出力されるようなアクセスコントロール機能が備わっています。

アンケート収集・解析

YAIBAにはVRChatのワールド内で選択式のアンケートを匿名で行う機能があります。
アンケートの内容はUnity内で容易に変更・特定の回答をした場合に追加質問を行うなどが可能です。

このアンケート機能も位置情報と同様に、YAIBAでは特定のユーザーのみに出力されるようなアクセスコントロール機能が備わっています。

スタッフのみ利用可能なオブジェクトの追加

イベントを運営する際にマイク音量を調節するギミックなど、スタッフには利用可能ではあるけれど一般参加者には使えなくしたいギミックなどがあると思います。

YAIBAでは追加機能としてこのような一部ユーザーにのみ利用可能なオブジェクトを設定する機能があります。


ヨドコロちゃんのタグマーカーのログの解析

VRChatで頭上にタグを表示するのによく使われている ヨドコロちゃんのタグマーカーですが、だれがどのタグをつけているかが標準で出力されるようになっています。

YAIBAはこの出力されたログを解析し、Pythonから容易に解析可能にします。

プライバシーを尊重したデータ解析

仮想現実におけるデータ解析も現実世界同様にプライバシーを尊重し行うべきです。
YAIBAではそのような解析が容易になるよう、仮名化の仕組みが標準導入されています。
これを活用することで、収集したデータを個人情報保護法における仮名加工情報として扱うことが可能になります。

理系集会では、共同研究者とデータを共有する場合・アナリストが解析する場合に仮名化した上でおこなうこととしています。

with open("XXXX.json", "w") as fp:
    # ユーザー名は保存せず、仮名化ユーザー名を保存。
    options = yaiba.JsonEncode.Options.default()
    options.output_pseudo_user_name = True
    options.output_user_name = False

    yaiba.save_session_log(session_log, fp, options)

Google Drive / Google Colabとの連携

YAIBAには、Google Driveを共有ストレージ、Google Colabをアップローダーや解析ツールとして、連携する機能が標準で備わっています。
この連携により、無料かつ低メンテナンスコストデータ収集基盤を構築することが可能になります。

folder = yaiba_colab.GoogleDriveFolder(GOOGLE_DRIVE_ID)

# Google Driveにアップロード
folder.upload_log(session_log, title="20220722-理系集会-some_title")

# ログ一覧を取得
folder.get_log_list()

理系集会ではYAIBAをGoogle DriveやGoogle Colabと連携させてYAIBAしデータ収集基盤を構築しています。詳しい構築方法についての記事を後日公開する予定です。

活用例: 理系集会

理系集会ではYAIBAを用いて以下のような情報を得て改善活動をおこないました。

  • クラスター(会話の輪)の形成速度・サイズ

  • 参加者満足度評価

  • 参加者の流入経路

  • 参加者の専門分野の分布

  • クラスター内の専門分野が学際的か単一か

クラスター形成に関するデータ分析については以下の記事を参照してください。

また、具体的にどのような運用改善を行ったかに関する記事を後日公開予定です。

活用例: 人流データによる地理教育の効果測定 (saiさん)

新しいことを知ることにより、見るべきポイントがわかったり行動が変わったりすることがあります。このような教育効果をYAIBAによって測定する試みをsaiさんらと協力することで行いました。

具体的には、saiさんらは、フォトグラメトリにより作成した地形データをVRChat内のワールドとして作成し、具体的な解説を行わなかった場合と行った場合の人流データ、及びアンケートを実施することで主観的な学習効果を測定し解析を行っています。

詳しい解析結果は、saiさんらより共有される予定となっております。

おわりに

YAIBAを用いることにより人流データの収集やアンケート実施が容易になり、これまで難しかったデータに基づいたイベント改善を行うことができるようになります。

YAIBAを使用する上で特にお知らせを頂く必要はございませんが、もし使用例などを共有していただけましたら理系集会公式アカウントまでよろしくお願いします。

  • イベントをどう改善すればいいか全般・データ収集解析基盤に関しての相談がありましたらこくたんまで、

  • ワールドギミックやUdonギミックなどに関しての相談がありましたらのりたままで、

  • データ解析などに関して相談がありましたらLAMBsunまで、

お知らせいただけると、お手伝いできるかもしれません。

データを活用してVR生活がより良くしていきましょう!

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