分かりやすい教え方 “分かる”の本質
こんにちは,6月1発目のリハコン365!!
月曜担当,“ならぬといふは、なさぬなりけり” 野沢です!!
前回の記事では,分けるだけでは不十分!?という話をしました.
その理由は
①単純に分けることができないことがある
②場面によって箱の大きさや分け方が異なる
③大局が見えなくなる
でした.前回の記事はこちらです↓ 是非チェックしてください!
ではどうしたらより良いのでしょうか...
・階層を理解する
・同列の項目を関連付ける
・ミクロ,マクロの視点を持つ
と考えています.“分けて”,“分かる”状態の本質を順に追って説明していきます.
・階層を理解する ・同列の項目を関連付ける
とは,箱の上位,下位の階層を理解すること,そして横並びにある同列の項目をつなげて解釈し覚えようということです,そのまんまですね(笑)
ただこれを意識して行うことで情報の整理と、周辺知識のインプットができ,分かった状態が深まり,単なる記憶による知識から実用的な知恵となっていきます.
少し話がずれますが,私自身,こうして知識を整理して結び付けていくことで丸暗記でなく,情報を頭の中で探すようにして,学生時代は主席での卒業,国家試験模試では全国1位になりました✌ 頭の整理方法の工夫だと思いますので,試してみてください.
本題に戻りますが,
先日,職場の後輩から関節内インピンジメントがわかりませんと尋ねられました.
では肩のインピンジメントはどんなタイプがあるか尋ねると分かっておりませんでしたので,図を用いて簡単に概要を説明しました.
肩のインピンジメントは大きく関節内インピンジメントと関節外インピンジメントに分けられます.
さらに関節内インピンジメントは前上方インピンジメントと後上方インピンジメントに分けられます(下図).そこからさらに病態,メカニズム,評価,治療に分けられます.
肩インピンジメントの全体像から把握し,細分化していくことで,どこがわからなかったのか,どこで分類ができていなかったのか整理できます.
さらに横並びにある関節外インピンジメント,その下位項目の,肩峰下,烏口下インピンジメントについても,一挙に覚えて,理解できるので,かなりお得だと思います!!
階層が分かり,同列項目と関連付けて箱を作ってしまえば,あとは情報を入れていくことで知識がスムースに蓄えられ、容易に分類できるようになります.
続いて
・ミクロ,マクロの視点を持つ
この観点を理解することで現在行っている治療や,自身の立ち位置が明確になります!
具体例として腰痛治療に関して説明します.下図は腰痛治療を“化学”,“物理”,“心脳”の3つの大きな箱に分け,さらに細分化し腰痛に対するあらゆる治療法を示しています.
引用:腰痛の原因と治療 高橋弦/園部俊晴
マクロな視点とはこの場合,腰痛治療の全体像ですので,この図全体を広く見ることです.そしてミクロな視点は,理学療法士が主に得意としている,“物理”の中の“運動”に特化し細かく評価,治療していくことです.
“運動“の項目は,マクロな視点で見ると,一つの領域にすぎず,他にも多くの治療法があることが分かります.また理学療法士以外の,多職種による別角度からのアプロ―チがあることが分かります.
マクロ的視点で全体像がつかめたら,自身にできること,できないことの守備範囲が分かり,他職種に依頼すべきこと,責任を持つべきこと,がつかめてくるのではないでしょうか.
つまり,ミクロの視点で専門性を高めつつ,マクロ的視点で全体を把握することで,自身の立ち位置が明確になり,多職種との連携が図れ,大きな枠で治療を捉えることができます.
情報や知識を分けたら,このようにマクロとミクロ両方の視点をもち,眺めてみると良いかもしれません.
これまで3回にわたり
“分けて分かろう”
“分けるだけでは不十分!?”
“全体と個体の理解”
と分かりやすい教え方についてまとめてきました.
新たな情報を得るときや,すでにある情報を整理する際にはまずは“分ける”.
そして全体像を把握した上で個別の関係性を見出し,文脈を理解して、使える状態にすることが“分かる”の本質です.
逆に,新たな情報を相手に教える際には,相手の箱があるかを確認し,そこに情報を入れてあげるように伝えることが,分かりやすく教えるポイントになります.
皆さんの何かのヒントになればと思います,是非活用してみてください!!
長くなりましたが,今日はこの辺で失礼します.
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