⑤首都直下巨大地震を準備する
避難物資
南海トラフ巨大地震のような大地震が起こった場合、帰宅先を失ってしまった被災者には避難所生活が待っており、そんな時、命綱となるのは水や食料といった備蓄になりますが、これが非常に危うい状態であり、横浜市の公的備蓄は、市内に459ヵ所ある指定避難所などにクラッカーや保存食を合計で92万食、保存用のビスケットを73万食、350mlの水を188万本用意されていますが、横浜市の人口は約374万人なのでこれでは、市内人口の半分以下の人数分の1食分しかないので圧倒的に不足しています。
横浜市も近い将来に来る巨大地震に備え、かなり高い意識を持っていますが、裏を返せば、横浜市の人々にとって巨大地震は、それほど差し迫った危機とも言え、この危機意識レベルは、東京都内の国民も見習うべきですが、その横浜市を持ってしても、避難物資や品所の整備が、まだまだ足りていません。
具体的には、震度7だった熊本地震では事前想定を大きく上回り、結果的に855ヵ所も避難所を開設しているので、横浜市で考えると、観光で滞在する人も含めれば昼間人口は500万人超なので、このタイミングで、巨大地震に襲われたら、500万人超が一挙に避難することになります。
そうなると、横浜市が想定していたよりも必要な避難所の数は遥かに多くなり、結果的に、地元住民は避難所に入れず救援物資も不足し自給の生活を強いられることになります。
また、横浜駅周辺は、もっとも液状化の被害が深刻なエリアであり、しかも、巨大な地下街があるので浸水が始まれば水没する可能性が非常に高い場所なので、そこに備蓄されている救助物資は、全く当てにならない可能性があります。
その中でも、一番危険視されているのが、古い木造住宅が密集する横浜中華街であり、ここは、有名な観光スポットですが、巨大地震発生時には、消防車が入れないほど道が狭く入り組んでいるので、街がパニック状態になり、火災による大量の死傷者を生み出す場所に変わり恐れがあります。
また、観光スポットが密集している湾岸エリアは、ほとんどが埋め立て地なので液状化の危険があり、赤レンガ倉庫などは特殊な耐震補強工事が行われていますが、耐震化された建物でも液状化で地盤が崩れれば倒壊する可能性はあります。
海溝型地震
首都圏に住む人々は、自覚がある・自覚がないを問わず、世界有数の地震多発地帯の上に住んでおり、日本で起きる地震には2種類あり、1つは海溝型地震(東日本大震災(2011年)を起こした東北地方太平洋沖地震や、これから起きることが警戒されている南海トラフ巨大地震)、もう1つは内陸直下型地震(1995年に起きた阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)や2016年に起きた熊本地震)です。
この2種類の地震は起きるメカニズムが異なっており、海溝型地震は、日本列島を載せているプレートに海洋プレートが衝突して起きるので、プレートが、毎年4~8㎝という速さで動くのに合わせ、次第に地震を起こすエネルギーが溜まり、プレートが我慢できる限界を超えたら大地震が起きるので、毎年、地震の発生が近づくことになります。
起きる場所は、海溝の近くに限定され多くの場合は太平洋岸の沖であり、この地震は、マグニチュード8クラスか、それ以上であり、実際に、2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震はマグニチュード9で、甚大な津波の被害を多くの県に引き起こしています。
最近、頻発している茨城県を中心とした地震もフィリピン海プレートの先端部が首都圏の下を抜けて、ここまで達していることで起きていますが、もともと、茨城や千葉は、フィリピン海プレートの先端近くにあるので、地下で歪みがたまりやすい場所であり、地震が頻発することは、江戸時代以前から知られていたことです。
内陸直下型地震
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