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④首都直下巨大地震を準備する

地震洪水

地震洪水とは、河川の堤防が地震による揺れや液状化で致命的なダメージを受け、川の水が、市街地に流れ出す現象を言いますが、被害が大きくなる恐れが特に高いのが、いわゆるゼロメートル地帯、東京東部や名古屋などに広がる地盤が海水面よりも低い土地を襲う地震であり、例えば、普段は堤防で守られていますが、東京湾に面したゼロメートル地帯には176万人が暮らしていますが、堤防が地震の繰り返しで破壊されることにより、市街地は、地震と同時に地震洪水にも襲われる恐れがあり、しかも、ゼロメートル地帯は雨が降っていなくても浸水が一気に広がるので避難が遅れれば数万人の命が危ないとも言えます。

複合災害

大地震が発生するタイミングが、運悪く台風などで川の水位が高い時期だったり、あるいは地震で堤防が傷んだあとに大雨が降ったりすることも十分考えられるので、このような「複合災害」では、より深刻な被害が起きます。
全国で発生した過去の地震と水害で堤防決壊が発生した箇所の位置関係を分析した研究によれば「地震の震度が大きかった地点と水害による堤防の決壊地点が重なるケースが多い」と言われており、もし、首都直下地震が、台風などで川の水位が高い時に発生し、都心近くを流れる荒川が決壊したら、内閣府が水害を想定して公表した資料によれば、地下鉄のトンネルにも流れ込み、17路線の81駅が水没状態になるとされています。
ほとんどの地域がゼロメートル地帯にある江戸川区では、ハザードマップで「ここにいてはダメです」と強い言葉で危機を呼びかけており、区内のほぼ全域に浸水の恐れがあり、しかも、1週間から2週間に亘り、水が引かないと考えられています。
同じくゼロメートル地帯の葛飾区では、住民が自主防災組織を作り、避難や救助に使う船外機付きのゴムボートを用意して地震による水害発生に備えており、ひとりでは、迅速な避難が難しいお年寄りには、赤い旗を配り、避難するときに助けを求める目印として使ってもらう独自の取り組みも始まっています。
たとえば、2019年10月の台風19号の時には、葛飾区では、避難勧告が出ていない地域でも7500人が自主的に避難しており、今後さらに「災害の当事者意識」を地域に根づかせ、命を守る行動を各自がすぐに取れるよう誘導していきます。

一番危険な横浜市

横浜市は、人口約374万人を擁する大都市であり、街の象徴・横浜ランドマークタワーや歴史的建造物・赤レンガ倉庫などの定番スポットを求めて観光客は年間3420万人を超えますが、そう遠くない未来、この横浜市に震度6以上の大地震が襲い掛かります。
政府・地震調査委員会が公表した「全国地震動予測地図」によると、横浜市で、今後30年以内に震度6弱以上の大きな地震が発生する確率は、なんと82%です。
特に警戒されているのは、マグニチュード9クラスの南海トラフ巨大地震ですが、ほかにも、相模トラフ地震、首都圏直下巨大地震の3つの巨大地震の危険にさらされており、横浜市は、それらの巨大地震が起きた場合に備えて、最悪のパターンを想定した被害予測を出していますが、その被害予測は、避難者数は約57万人、火災による建物焼失棟数は約8万棟と甚大な被害を予測しています。
首都圏直下巨大地震は、内陸の活断層で起こる巨大地震であり、これが30年以内に発生する確率は70%と言われていますが、東京南部が震源地だった場合、横浜市は、特に、大きな被害に遭い、東京湾沿岸部にある多数の火力発電所は、揺れや液状化によって支障が出る可能性が高いので、市内全域が、長期間停電し、交通・通信インフラはすべて止まります。
また、東京湾の入り口にある海溝が相模トラフですが、このトラフの周辺は、地震多発地帯としても有名で、このトラフを起因とする相模湾から房総沖にかけて発生する相模トラフ地震は、周期的に日本に甚大な被害をもたらしており、死者10万人超に達した1923年の関東大震災も相模トラフが引き起こしており、認知度は低いですが、この大震災震災で、一番被害が多かったのは横浜市です。
いずれの巨大地震が起こっても建物が倒壊し、木造住宅が密集する横浜市南部では火災が広がり、数十万人を超える人々が、安全な場所を求めて横浜の街を彷徨うことになります。
しかも、巨大地震の激しい揺れの後に横浜市を襲うのは津波であり、気象庁の想定では神奈川県には最大10mもの津波がやってくるので多くの人で賑わう「みなとみらい」は一瞬にして激流に飲み込まれます。また、横浜市内には、58もの河川が流れているので、津波が川を遡上し街中で氾濫を引き起こす危険もあるので、海から離れた場所でも油断はできず、横浜市には古い橋が多く存在するので、これらの橋が地震や津波による大量の水の逆流に耐えられる保証はなく、橋が崩落などした場合、交通インフラが麻痺し、多くの人が孤立することになります。
このように、横浜市を襲う巨大な自然災害ですが、自然災害の極めつけは、富士山の大噴火です。
富士山は、南海トラフ巨大地震と連動して噴火する可能性が高いとされており、横浜市からは100km以上離れているので直接的に、溶岩流や火砕流の被害に遭うことはないですが、内閣府による横浜市の予測降灰量は、およそ10cmなので大量の火山灰が数週間にわたって街に降り注ぎます。
この降灰により、電気・水道・ガスなどのあらゆるライフラインはストップし、街中には行き場をなくした何十万もの横浜市民でごった返すことになります。


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