現代語俳句(九月投句分と投句しなかったぶん)によせて

ひりひりと右肩が泣く秋の蝶

りりりりとなにが悲しい鈴虫よ

どんぐりと寂しさ分かつ手のひらよ

驟雨まで私を責めるため降るか

アキアカネ恥じらい消えてしまうまで

厳かに影を伸ばしてひらく桔梗

白亜紀も湿らせたのか秋時雨

見上げれば初恋を知る星月夜

栗ひとつ笑顔ふたつの牽制ぞ

空き缶のからんと響く秋の空

ススキまで去りぎわに手を振り返す

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ようやく秋めいてきましたね。今月はこの中から五句選んで句会に投句しました。
ひたすらたくさん詠む「多作多捨」という姿勢を心がけようと思っています。と同時に、一句との出会いも大切にしたいなと考えています。

俳句と短歌は全く異なる文芸ではありますが、決まった音数に世界を託すという意味では通底するものがあるのかな、と。

以前別の場所でお世話になった方が「短歌を一日十首ずつ詠めば必ず好きになれるから!」とおっしゃっていて。実は私も、不器用なりにそれに倣っています(下手の横好きは承知の上で)。でも、一日十句は無理だな(o_o)生まれた「一句」と、もっと丁寧に向き合いたいです。

俳句を通して見える視界・世界は私にとってはひらめきやきらめきに近い感覚があります。「あっ!」と思った時に断片をメモるので、スマホのメモ帳にはストックが溜まっております。でも、季語は移ろいゆくので、できた一句がうっかり夏の季語だった、なんてこともありました……(*_*)笑

ともあれ、今月も楽しく(時に苦しく)詠むことができてよかったです。十七音に世界を切り取る、現代語俳句の世界にどんどんはまってしまいそうです。

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笹塚 心琴
よくぞここまで辿りついてくれた。嬉しいです。