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いつまでも子どものままで 〜Fantasy Springs感想〜

⚠️ネタバレ少しだけ含みます。


ディズニー作品のような夢の物語を
「幼稚だ」と見ないようになったのはいつからだろう。

アンパンマンとかプリキュアとか仮面ライダーとか
そういう小さい頃から馴染みのあるアニメを、いつまでも「今でも好きだ」と胸を張って言えるタイプではなかった。
サンタクロースなんて周りの友達が「信じない」とした時に私も口を揃えて「信じない」と言った。

でも、れっきとした大人なのに
それらをどうしても嫌いになれない。
よくわからなかった。
何が私の心をここまで突き動かすのか、見当もつかなかった。




「こんなに好きになるなんて。」
これがディズニーリゾートを2日間満喫した私の感想。
その2日を含めた3泊4日の旅行もほとんどがディズニーのおかげであっという間に終わってしまった。

まず、ミッキーがかっこ良すぎる。
シーのトレイルミッキーさんも、ランドの映画スターミッキーさんも、ジャンボリのミッキーさんも、どんなミッキーさんも最高にかっこいい。

トレイルミッキーさんとお話しした時も、
テンパる私の目をまっすぐ見て、
もう日本語がおかしい私の言葉に脳震盪になりそうなくらい頷いて、
「かっこいい!」と褒めたら「えへへ」と照れて、
本当にダメだ…本当にもうやめてくれぇ…。

これでもかというくらい私を虜にして、夢の国に消えていった。


あと、「人類みな兄弟」思考に陥るあの感覚。
パーク内にいるキャストさんがニッコニコで手を振ってくれるこのあたたかさ。

ランドにあるウエスタンリバー鉄道に乗った時に見れた、ランドの景色の中にいるキャストさんはみんな手を振っていて、それにつられて手を振って、
そしたら、キャストさんだけじゃなくて、パーク内にいるゲストも手を振ってくれて。

なんか、みんな友達になれた気がする。
あの時手を振ってくれてありがとう。友達だよ。



それでもやっぱり1番よかったのはシーの新エリア。
ファンタジースプリングス。

これのために私は今回インパすることを決めたんだ。
絶対に欠かせない。


ファンタジースプリングス
やっぱり目玉はアレンデール城かなぁ。
『アナと雪の女王』でエルサとアナが住む北欧風のお城。
『生まれてはじめて』を歌いながらアナが歩く城前の大きな橋まで再現されて、そこも歩けてしまう。
こんなことがあっていいのか。いいらしい。


アナ雪だと、オラフがとても好き。

「やぁ、ぼくはオラフ!ぎゅーって抱きしめて!」
あのセリフで涙が出そうになる。


この子は抱きしめられるために生まれてきたんだ。
雪だるまなのに夏に憧れているオラフは、暖かさに触れようと、こうして愛で温もりを感じようとしているんだ。
このオラフという魔法の雪だるまを作り、「ありのままの自分になる」と歌いながらも心を閉ざしてしまったエルサに必要だったものは「愛」だと、ここで表しているんだ。
とか、私的な考察までしちゃって、
本当にそうなのかは知らんけど。ていうか多分違う気がするし。

だけど、
「だいすきだよ、オラフ!」
小さな頃のアナがぎゅーっと抱きしめるオラフ、
愛おしくて、儚くてたまらない。
大好きだよ、オラフ。



そんな大好きなキャラクターがいても、
私はそれ以上のアトラクションを見つけてしまった。



ロンドンに住むウェンディ、ジョン、マイケルの元に、ある夜おとぎ話のピーターパンが妖精のティンカーベルと共に現れ、いつまでも子供のままでいられるネバーランドへ連れて行ってくれる。


ピーターパンであんなに涙を流す日が来るなんて、
思いもしなかった。


エリア内に広がるネバーランド。
来てしまったんだ、いつまでも子どものままで居られる国に。

ここではピーターパンとロストキッズたちに会えるらしい。「ネバーランドアドベンチャー」。
ピーターパンのアトラクションとして名付けられたそれも、世界観がネバーランドそのもの。

フック船長に誘拐されてしまったジョンをピーターパンたちと一緒にロストキッズ(ピーターパンの部下たち)となって救いに行くというストーリーらしい。


このストーリーのどこで泣く要素があるのか、
泣いていた私にもわからない。
でも「あ、やばいこれ」と思った頃にはもう遅かった。

ピーターパンの物語がシンプルに好きということもあるから、
ピーターパンたちと一緒に空を飛べるという時点でこのアトラクションは素晴らしいものと定義されるが、
なんだかこれは、それ以上のものがある。



『夢』とか『希望』とか『願い』とか『信じる』とか
ディズニーはいつだってポジティブが過ぎると思っている。
『信じていれば夢はかなう』だとか、大人になる少し前からみんな綺麗事だと分かることを100年も伝え続けているディズニー。
でも、ほとんどの大人はあほらしいって心のどこかで思ってしまう。
現実はおとぎ話みたいに甘くないとみんな知っているから。

荒んでいるな。
社会の波にのまれ、もまれ、数十年も生きた私たちだから知ってしまった嫌なもの。仕方ないし、間違いないけど、
でもやっぱりそんな考えばかりじゃ本当に楽しくないんだ。


この世界を何も知らなかったこどもの頃に戻りたい。

きっとあの頃は、何にも追われず、何にも悩まされず、
自分の未来が楽しみで仕方がなかった。
大人になることが怖いと思った日もあったけど、保育園の先生に「大人っぽくて素敵」と褒められたり、小学校の班でリーダーになったり、部活でキャプテンになったりした時は自分がまた一つ大人に近づいたような気がして嬉しかった。
これからどんな毎日になるのかワクワクしたりもした。

確かにあの時は「早く大人になりたい」と思っていた。
毎年の誕生日が待ち遠しかったし、誕生日の友達が羨ましかった。
何でもできる大人に憧れて、大人になったら今欲しいもの全部買うんだって何回思ったか。

でも、もう大人になりたいなんて思わない。
子どもに戻りたいとまで思う。
「何にも考えずに毎日を過ごせるなんて幸せだろうな」
時に皮肉を込めてそんなことをよく言ってしまう。



「いつまでも子どものままでいてね」

アトラクションの最後に言った、ピーターパンのこの言葉がずっと心に引っかかっている。

いつまでも子どものままでいるなんてとんでもない。
子どもみたいな考え方でいつまでも生きていけるわけがないし、未来が希望に満ちているなんて思えなくなってくる。
ネバーランドはおっかない国だなぁ。

そんな風に、
この世では子どものままでいることは、格好悪いことらしい。

大人になってもアニメや漫画が好き、
プリンセスやプリキュアになりたい、
きっと仮面ライダーが助けてくれる、
いつか王子様に迎えに来てほしい、

そんな夢を持っていたことをいつから忘れてしまったのか。

アニメや漫画の主人公は困難に立ち向かう勇気をくれたし
プリンセスやプリキュアは女の子の「なりたい自分」を夢見させてくれた
仮面ライダーは自分がつまづいた時に必ず心の中に宿るヒーローであったし
自分は毎日を懸命に生きている素敵なひとだと思わせてくれる象徴は白馬に乗った王子様だった

テレビに釘付けになって見た全ては必ず今の私たちの何かになっているはずなのに。

ファンタジーな世界を信じる気持ちが、あの頃の私をどれだけ強くしたか。
子どものままの感性が、あの時の私をどれだけ救ったか。
子どものままでいることが格好悪いなんて、誰が言い始めたんだろう。


ネバーランドの住民、ロストキッズになった私たちは、
ティンカーベルの粉で空を飛んで、フック船長率いる海賊と戦い、ロンドンの街を空から眺めた。
子どもの頃に空を飛んでやってみたかったことがすべてそこに詰まっていた。

子どものままでいてと伝えてくれたピーターパン、
ほんとうにありがとう。
生きているうちに忘れてしまう何かを思い出させてくれてありがとう。

彼はそんな大切な言葉を私たちに残して
流れ星みたいに消えていった。
涙が止まらなかった。



母親はこの私のお土産話を聞いて
「病んでる?」って言った。

病んでる自覚はない。全くもって。
病んでたらディズニーまでわざわざ行かない。

でもディズニーはそれくらい心に響くものがある。
作品一つ一つが伝えたい意味はそれぞれだけど
全部大切なことで、それも私たちが当たり前すぎて気づかないものばかり。
人間が必ず持ち合わせているその当たり前の何かを
宝石みたいな世界で具現化してくれるのかディズニーって感じ。
だから、どれを見てもどこを歩いていても楽しくて、感動する。


ディズニーは大人になったからこそ見てほしいし、行ってほしい。

忘れ物をとりに帰ってみてほしい。
明日からずっと忘れずに身につけられる。
それが必ず、心の糧になるはず。



いつまでもこどものままで。

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