見出し画像

抱きしめる

長男が5歳のときだったかの話し

俺は車が好きで、買った車はいつも自分でカスタムしていた。
日曜の朝、彼が外にいるようだったから庭へ出てみた。
すると、駐車場で満面の笑みを浮かべている。
俺の影響で、車が大好きになっていた。
俺も笑顔で応える。

手を見ると何かを握っている。
そして、その手を振り上げて、「パパー! 車をきれいにしておいたよ〜。」と、大きい声で言ってきた。
きっと、簡単に拭いたりしたのかな。と思ったが、その手をよく見ると握っているのはどうやら石だった。

ハッとして車を見ると、、、

ボンネットが、俺がいつも拭き上げるときのように円を描いてグルングルンに傷がついていた。まるで、模様のようになっている。
一瞬、頭に血が上りかけたが、すぐさま彼を見返したとき、満面の笑顔のままだったせいで、なんだか可笑しくなって、釣られて笑ってしまった。

そしたら急に愛おしくなって、“ありがとう。“って言いながら抱きしめてた。
とても幸せな日の、懐かしい思い出だ。

車はあとで、コンパウンドで番手を変えながら何度も磨きました(笑)
全部消すことは出来なかったけど、まぁいっかってことにした。