お局と傍観者
雰囲気が悪く、新しい人が入ってはどんどん辞めていく部署がある。そこの、いわゆるお局さまのひとりが家庭の事情で退職するのだという。
そして既に、別のお局さまがひとり、他部署に異動になっている。
それらのきっかけは、新しく入った人が「ここはおかしい!」と訴えて、すぐ辞めていったことらしい。
今までも、この部署に入って短期で辞めていった人は多いが、上記の人のように、はっきりと物申して辞めていった人はいないのかもしれない。
いや、特定の人が原因でメンタル不調をきたし、退職や休職した人がいるのだから、言わずともわかっていたはずだ。
それなのに、何も対策がとられていなかったのは、前者の物申した人が経験値のある人で、後者は経験が浅く、まだ教育される立場にある人だったからかもしれない。
いじめやパワハラ、モラハラまがいの言動があっても、教育の範囲内と捉えていたのだろう。
お局さま方は経験値があり、仕事はできるのだ。そして自分たちの負担にならないと認定した人には愛想が良い。
人手不足のこの業界で、「仕事ができる」人は、それだけで擁護されている。
ところが、今回は新人であってもお局さま方と同等か、それ以上の経験者からの苦言であったため、関係者へのインタビューなど調査を行ったのではないかと思われる。
その結果、一部の人たちに指導が入り、ある人は異動、ある人は表向きは家庭の事情という形で退職の運びになったようである。
この顛末を聞いて、退職されるお局さまを少し気の毒に思った。
なぜなら、悪い雰囲気を作っていたのは、指導された一部の人たちだけでは無いからだ。
お局さまが本人や他の人がいるところで、その人への不満や悪口を言うとき、一緒になって会話していた人たち。
お局さまが、不必要に厳しい態度で指導することに同調し、同じような態度で新人に接してきた人たち。
この人たち(お局さまたち)に何を言っても聞かないからと諦めてしまった管理職たち。
等々、多くの人がこのことに関係している。
嫌な雰囲気を作っていたのは、あの人たちだけじゃないのにな、と思ったのが正直な感想である。
また、こうなる前に、人としておかしいことを、おかしい、と誰も教えてくれなかったのも気の毒に思う。(教えたところで、自分の正義を主張して聞いてなかったのかもしれないが)
子どものいじめの問題で「傍観者が一番悪い」といわれる。
これは、この部署の一部の人を、お局さまに増幅させてしまった周囲の問題でもあるはずなのだ。
強者の意見は聞くが、立場の弱い者の声を真摯に聞こうとしてこなかった体制の問題だ。
この業界にありがちな難しさと闇を見たような気がした。
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