*cocoトーク*VC歴10年超のスタートアップ投資家・伊藤健吾氏が語る「経営者の条件」
こんにちは!coco PRチームです。
cocoの代表・高橋が、様々なバックグラウンドをもつ先輩起業家・投資家の方々と語る対談シリーズ「cocoトーク」。第2回は、D4V General Partnerの伊藤さん(cocoへはGenuine Startupsより2013年に出資)に登場いただきます。
現在の店舗口コミサービス “coco” のリリース以前から高橋の頼れるメンターとして当社を応援いただけている伊藤さん。出資に至った経緯を伺う中で「起業家に必要な2つの素養」が見えてきました。
(以下、敬称略)
伊藤健吾 D4V General Partner
新卒で三井物産株式会社に入社。10年間にわたりIT・エレクトロニクス事業に従事、シリコンバレー子会社でのベンチャー投資や新規事業立ち上げなどを経験。スタートアップ企業でのCEO、MOVIDA JAPANのSeed Acceleration Program等を通じてベンチャー業界で15年以上の経験を有する。MOVIDA JAPANでは累計300社以上のスタートアップを支援、Genuine Startups Fund Iでは50社以上のシード投資を行う。2016年10月、世界的デザインコンサルティングファームIDEOと共同でデザイン機能を有する日本唯一のベンチャーキャピタルD4Vを設立。
東京大学工学部卒、東京大学大学院工学系研究科修了
日本のシード・アーリーステージのスタートアップをリードするD4V
ーー本日はよろしくお願いします!まずは、伊藤さんたちが立ち上げられたD4Vについて教えてください。
伊藤:よろしくお願いします。D4Vというベンチャーキャピタルで、50億円超のファンドを運用しています。
国際的なデザインコンサルティング会社として知られるIDEOと、Forbes Japanの編集長などで活躍してきた高野さんらと一緒に、2016年に創業しました。
これまでにVoicyやCAMPFIRE、cinnamonなど、幅広い領域のアーリースタートアップ約40社に対して投資を実行しています。
ーーD4Vの特徴や、他のVCとの差別化のポイントはあるんですか?
伊藤:やはりIDEOと組んでいる点です。インハウスにちゃんとデザイナーがいて、HCD(人間中心設計)的な観点から製品・サービスの設計そのものに関わることができます。
なので、本当に初期のシード企業から、PMFの前後で伸び悩んでいる企業には私たちが入る価値を一番感じてもらいやすいのかなと思っています。
例えば、投資先が認知を広げていくフェーズにおいては「どう魅力を伝えるか」を一緒に設計したりします。オンライン・オフラインを問わずで、過去には羽田空港内の新規出店戦略を一緒に考えたような実績もあります。
事業アイディアよりも起業家・高橋の「やり抜く力」に投資
伊藤:高橋さんと出会った当時はD4Vの前身となるGenuine Startupsというファンドを立ち上げるよりもさらに前で、MOVIDAのSeed Acceleration Programを通じて色々なことを実験的に行なっていた頃でした。
Seed Acceleration ProgramではDemo Dayを定期的に開催していましたが、良いプロダクト・起業家に出会えてもまだファンドを作る前だったので全社に投資できるようなバジェットはなかったんですね。
Programに採択されたチームに対してMOVIDA SCHOOLという先輩起業家や専門家から、スタートアップに必要なノウハウを学ぶ場を作っていました。その当時は今のようにイベントやメディアを通じて情報を得たり、学んだりというのがなかなか難しく、せっかくなのでそのタイミングで投資はしなかったけど先々に有望なチームにも声かけて参加してもらおうとなったんですね。その中に高橋さんがいたというのが出会った頃の経緯です。
MOVIDA SCHOOLの様子 https://itokenv.com/1acbeafe89f9
MOVIDA SCHOOLは有名な起業家や投資家との交流を通じて、事業アイディアの解像度を高めることをお手伝いするイメージですね。
当時登壇いただいた方としてはクラウドワークスの吉田さん、メルカリの山田さん・小泉さん、あとはVC界隈でも、STRIVEの堤さんとかIFの和田さんとか、EVの松山大河さん、現 DAS Capitalの木村さんなど。今から思うとすごい人たちに力を貸してもらっていました。
ーーたしかに今ではそう簡単に話が聞けない、錚々たる面々ですね!その後、cocoへの出資を決定いただけたと。
伊藤:そうですね。事業のアイデアというより高橋さんを応援したい気持ちが強く、出資させていただくことにしました。アイデアはピボットする可能性の方が高いし、むしろチームが作れる人、プロダクトを作れる人、そして強いパッションを持っている人に投資したいなと。
高橋さんは投資採択が決まる少し前くらいから、MOVIDAのオフィスに居つくようになったんです。本当にずーっといて、朝から晩までプロダクトと向き合っている姿を見ていたんですよね。
「なんでこの子、ずっと居るんだろう」という疑問あったけど(笑)、執念というかやり抜く力というか、こういう起業家はいつか芽が出るんだろうなと感じさせるエネルギーがありました。
投資実行後、辛い時期を乗り越えて「巻き込める経営者」に
ーー投資後に高橋に対して、感じた変化があれば教えてください。
伊藤:高橋さん自身の大きな変化は、人を巻き込めるようになったことだと思います。投資後ずっと仲間を集めようとアドバイスしていたんですけど、しばらくの間チームを作れずに悩んでいる姿を見ていました。
高橋:そうでしたね。前回のインタビューでも触れたのですが、チーム崩壊をさせてしまったり。事業がうまくいかない辛い時期は、自分1人で抱え込んでしまい、伊藤さんなど株主への連絡も滞ってしまうことがありました。
ただ、その時の挫折経験から自分の無力さに気付き、人に頼ろうという思考に変わっていきました。
たとえばこのポールグレアムの記事には強く影響を受けています。
スタートアップから2、3カ月音沙汰がなく、彼らの噂も聞かなくなったなら、それは悪い徴だ。メールを送ってどんな具合か聞いても返事が返ってこないなら、それは本当に悪い徴だ。これまでのところ、これは100%正確な指標になっている。(中略)だから定期的に私たちと連絡を取るだけのことが、何かを成し遂げるようにと君たちを後押しするのだ。そうしないと、この前の時から何もやってないと言って恥ずかしい思いをすることになるからだ。
http://www.aoky.net/articles/paul_graham/die.htm
How Not To Die / Paul Graham(青木靖 訳)
高橋:今から振り返ると、もっと伊藤さんをはじめとする株主のみなさんに相談すべきだったなと。
伊藤:たしかに、一時期高橋さんから連絡が来ない時期がありました。すこし心配でもありましたけど、私がお尻を叩いて進む物でもないし、あえて静観していたところはありました。
そんな高橋さんが今では、投資家のFacebookグループを自ら作り、赤裸々な情報を発信したり、優秀なメンバーを集めてチームを作っていて。
投資家の皆さんに月次で報告&相談するFacebookグループを作って運用しています
伊藤:こういう報告を見るたびに、私自身も「応援したい!」という気持ちが一層強くなっています!
「やり抜く力」と「巻き込む力」。実は起業家に必要は素養はこの2つだけかもしれない。
ーー投資を決めて頂けた時は、高橋の「やり抜く力」を。その後、投資先として関わっていただく中で「巻き込み力」の変化を感じていただけたわけですね。
伊藤:そうですね。多くの起業家を支援する中で感じることですが、起業を志す人が最初にぶつかる壁は、大きくこの2つに集約されると思っています。
・勇気を持って踏み出さないとわからないこと・見えない世界があること
・自分の時間のリソースは有限であり、周りを巻き込まないといけないこと
そして、この2つを乗り越えるには「執念を持ってやり抜き」、「周囲を頼り、巻き込む」ことが絶対に必要なんです。
伊藤:私自身、事業会社を立ち上げつつVCを運営したりと同時並行で色々な事にチャレンジして、それぞれからフィードバックを得るような働き方をしています。こういうパラレルは働き方は油断すると「どっちも中途半端」になって何も得られなくなってしまいますが、まさに「やり抜く力」と「巻き込む力」に大いに助けられています。
結果的に、事業家と投資家という両輪によってそれぞれの良いところ悪いところが見えやすくなり、自分自身の視座・視野が大きく広がりました。
高橋:「やり抜く力」というのは学生時代に起業を志した時から変わりませんが、後天的に身につけた「巻き込む力」についてはいろいろな失敗を重ねながら学んだところがあります。
以前、事業がうまくいかず辛かった時期に、伊藤さんなど投資家の方々を頼ろうとチャットを開いたことは何度かありました。それでも自分から相談できず、投資家のみなさんを巻き込む事ができませんでした。
今思うと、それには2つ理由がありました。
まずひとつは、当時のサービスについて「時すでに遅し」になっていたこと。挽回不可能なところまで行ってしまうと、「サービスは閉じて、リフレッシュしよう」以外のアドバイスはまず出てきません。「やばそうだな」という兆候が出始めた時点で相談しなければいけないことに後から気づかされました。
二つ目は、日頃からこまめにコミュニケーションを取っていなかったこと。自分の試行錯誤のプロセスや、そこに至るまでに得たインサイトを共有できていないことには、いかに百戦錬磨の投資家の先輩であっても、アドバイスは難しくなってしまいます。
そこで今では以下の2点を意識しています。
・良いことも悪いことも、日頃からこまめにコミュニケーションを取ること
・自分の「悩み」だけではなく、客観的な「事実」を伝えること
これが習慣になることで、経営者である私自身では見落としてしまう将来の落とし穴についてもアドバイスをいただけるようになり、事業が加速する手応えを感じます。
また、こうしたコミュニケーションの習慣はcocoのユーザー店舗さんや採用候補の方に対しても一緒だと感じています。都合の良い時だけ頼ることはせず、日頃からコミュニケーションを重ねることを意識して、組織も事業も大きくしていきたいなと。
cocoが創る「口コミサービスの未来」への期待
ーー「coco」のサービスは伊藤さんにどのように見えていますか?
伊藤:時流にのっており、世の中に必要とされる面白いサービスだと思います。
インターネットによって昔よりも圧倒的に情報は増えているんですが、処理できる情報量は限られているので、探したいものが見つからないという問題はなくなっていないんですよ。この問題を解決する鍵が「口コミ」であると私は考えています。
やらせ問題によって口コミサイトの信用が墜落している今の時代だからこそ、「coco」のように本当に価値のある口コミを集めにいくというアプローチはかなり筋がいいと思っています。
高橋:ありがとうございます。以前に記事でも触れていますが、リアル店舗のみならずECサイトやマーケットプレイス、ビジネスマッチングなど様々な場面で口コミの「質」に対する疑問が提起されています。サクラが増えていたり。
高橋:でも、本来の口コミの役割って「本当にコアなファンが、本当に親しい友人に教えてあげることで、良い消費の循環を加速させる行動」だと思うんです。
口コミのあるべき姿を模索しつづけ、店舗集客の常識を覆していけるようなプロダクトに育てて行きたいと思います。
伊藤:店舗を運営するサービス業界にとっても、我々消費者にとっても「coco」が世の中になくてはならないインフラになっていくことを期待しています!
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[お知らせ] 共にcocoを作る仲間を募集しています!
cocoは、本当に社会から必要とされるサービスで、スタートアップとして今後大きな成長を描いていけるという確信を持っています。しかし、現在のメンバーだけでは、これ以上の変化を起こすことができません。
特に高橋と一緒にプロダクトと事業の両輪を考え実行していけるBizDevを絶賛募集中です。まだまだ共に事業を作り上げる創業期なため、積極的に「cocoをこうしていきたい」と考えていけるような人と相性が良いのではないかなと思います。勿論、ストックオプションなどもありますが、それ以上にcocoの考えている未来に共感して頂ける人と一緒に働きたいと考えています。
少しでも共感いただけましたら、下記よりご連絡いただけると大変嬉しいです。
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