*cocoトーク*East Ventures マネージングパートナー・衛藤バタラ氏が語る 「PMFを達成できるかどうかを左右する、たった1つのスキル」
cocoの代表・高橋が、様々なバックグラウンドをもつ先輩起業家・投資家の方々と語る対談シリーズ「cocoトーク」。第3回は、mixi の立ち上げ〜 CTO を歴任し現在は East Ventures マネージングパートナーとして 100 社以上の投資を行う衛藤バタラ氏に登場いただきます。
トコペディア、フリークアウト、ビズリーチ などの国内外のIT業界を牽引する企業への投資実績を誇るEast Ventures マネージングパートナーの衛藤バタラ氏が語る、「PMFを達成する起業家の条件」についてお楽しみください。
(以下、敬称略)
衛藤バタラ East Ventures マネージングパートナー
Code Republic 共同代表
拓殖大学工学部に在学中、1999 年からインターンとしてイー・マーキュリー(現ミクシィ)に入り、2004 年に拓殖大学を卒業後正式に入社。海外の SNS に着想を得て SNS 開発を提案し、2006 年に同社の最高技術責任者 (CTO) に就任。中心人物として mixi の企画から開発まで担当し mixi を日本最大の SNS へと成長させた。
2008 年に CTO を退任した後は 2009 年に East Ventures を設立しマネージングパートナーとして活躍する。
「投資家」としてより多くの0→1を生み出すことに挑戦したい
ーー先ずはバタラさんについてお聞かせください。mixiを引退後、起業家としての再チャレンジ等もできたと思うのですが、投資家としての道を歩まれた背景は何ですか?
バタラ:私はもともと0→1で新しいモノを作るのが好きだったんですよね。mixi も同じで、当時(2003年)海外でSNSが流行りはじめたのを見て、自分も同じような生活を変えるサービスを作りたいと思ったのがきっかけでした。ただ組織のスケールとともに mixi そのものの構築や運営に関わる機会は減ってしまったんですよね。CTOに就任した以降は、全社の技術者をマネージメントしたり、意見を言う立場に変わりました。
「自ら企画し、自分が欲しいと思う物を自分の手で作りたい」という想いが次第に強くなり独立を決めたんですが、mixiの時と同様に起業すれば組織やスケーラビリティの話は必ず出てくる。それであれば投資家としてアーリーステージの起業家と伴走する方がずっと0→1で「自分が欲しいもの」を作り続けられると考えました。それが私の投資家としての背景ですね。
ーーそれでCode Republicも含め多くの起業家を支援する立場になったということですね。
バタラ:その通りです。起業した直後の0→1は本当にワクワクしますしやりがいを感じますが、いずれはスケールして1→10のフェーズが必ずくる。そうではなく、シード・アーリーに特化した投資家として世の中に多くの0→1を排出し続けたいなと。携わったサービスがPMFした時にはこの上ない喜びがあります。
CodeRepublicは、East VenturesとYJ Capitalが共同運営する、90日間のシード期の起業家育成を行うアクセラレータプログラム。出資から、事業・経営管理・資金調達に関するアドバイス、ビルドアップに集中できる環境。そして技術者・事業家・投資家との人脈提供まで幅広く起業家を支援しています。
Code Republicのメンタリングを通じて感じた、高橋の圧倒的な実行力
ーーお二人の出会いのきっかけもCode Republicですよね、当時のお話をお聞かせください
高橋:Code Republicの3期目で応募して採択してもらったのがきっかけです。当時は「誰でも簡単にQ&Aサイトが作れるサービス」を検討していたんですが、バタラさんとYJCapitalの堀さんからアドバイスを受け、自分のやりたい事の本質ではないと気付きピボットしました。
バタラ:たしかに当時は別の事業モデルでエントリーしてましたね。その時の高橋さんの印象はよく覚えています。ガッツがあって大胆な行動力を持っているなと。それを象徴するエピソードがあるんですが、高橋さん分かります?
高橋:もしかしてアメリカのスタートアップに直接ヒアリングしに行った話ですか?(笑)
バタラ:そうそう、私はたまに起業家育成のアクセラレータプログラムで「同じ領域でグロースしている社長に直接会ってインタビューしてください」ということを言ったりするんですが、実際に行動できるのは一握り。そんな中で高橋さんはすぐに渡米して、経営者から話を聞いてきたんですよね。起業家に必要なのは「必ずやりきる」エネルギー。分解すると「情熱」と「行動力」の2つだと思うんですが、高橋さんはそれらを備えていると感心したのを覚えています。
高橋:ありがとうございます。実は学生時代に他のアクセラレータプログラムに参加していたんですよね。その時にメンタリングの活用法について自分なりに学びました。それは、「コミュニケーションを大事にすること」に尽きると思っています。アドバイスの内容を元にロードマップを引き、KPIを決めて次のメンタリングまでにとにかくアクションする。バタラさんに壁打ちしていただいていた時はとにかくこれを意識していました。
バタラ:とても大事なマインドですね!スタートアップのビジネスモデルは本来ユニークなものなんですよね。だからこそ「必ず成功するアドバイス」なんてものはない、起業家自身がとにかくアクションするしかないんです。私のような立場は起業家の悩みに寄り添い、背中を押す存在であることが大事だと思っています。高橋さんはまさにその仕組みを理解し上手く活用していたと思います。
挫折を乗り越えて身につけた「やり抜く力」。投資家・衛藤バタラが語るcoco高橋の強さ
ーーバタラさんから見て起業家として高橋さんはどのように映りましたか?
バタラ:そうですね。投資家としての目線から見てロールモデルとなる起業家だと思っています。言い換えれば、私個人から見た高橋さんの評価は非常に高いということです。
ーーどのような点でそう感じましたか?
バタラ:高橋さんはとにかく徹底している、一度やると決めたことをやり抜く力がある。この「やり抜く力」は起業家にとって必要不可欠なマインドなんです。現在私は100社以上のチームに投資をしていますが、高橋さんは株主へのレポートを正確に漏らさず行ってくれます。これは投資を受けている起業家のみなさんは分かると思いますが言葉で聞く以上にカロリーを消費するんですよね。Code Republicの起業家にどんなレポートをすればいいですかと聞かれたら迷わず「高橋さんを見て学べ」と言いますね。
高橋:正直に話すとCode Republicでcocoをスタートさせる前は失敗と挫折の繰り返しで...バタラさんに仰っていただけた「起業家としてのロールモデル」となるようなコミットは全然できていなかったんですよ(笑)
でもその経験があったからこそバタラさんのアドバイスを真摯に受け止めることができたし、今のcocoをスタートすることができたと思っています。
※高橋の苦難のエピソードはこちら
バタラ:うん、良いですね。失敗をすることも起業家には必要、本質はそこから何を得てどう変わるか。先ほど起業家にとって必要な「やり抜く力」と言いましたが、最初から持ち合わせているケースはそうそう無いと思っています。起業家自身の経験があって初めて実を伴う力で、その体験をした高橋さんはやっぱり強いと思いますよ。
PMFを達成できるかどうかを左右する「ニーズを読み解く力」
バタラ:そうですね。今と昔ではサービス作りそのものが違っているんですよね。以前サービス作りにおいて最も重要だったのは「技術力・開発力」ですが、今はそれだけでは成り立たなくなっている。
もちろん競合を席巻するような技術力は大事なことです。でも今はそれ以上に必要なスキルがある、それは「ニーズを読み解く力」です。昔であれば技術力がちょっとあればそれだけで価値になりましたが、テクノロジーの進歩に伴い技術はコモディティ化してきています。要はその技術をどのマーケット、どのユーザーにフィットさせるかを検証する力が必要なんです。
高橋:それこそインターネット黎明期であればwebサイトが作れる、サーバーを作れるだけで圧倒的な価値になっていました。でも今は代替するサービスが溢れかえっていますよね。
バタラ:そうです、今のスタートアップが失敗する大きな理由はニーズを読み解く力が不足している点だと思っています。資金切れでもなくチーム内の不和でもなく、ニーズのないもの、マーケットフィットしてないものを作ってしまうこと。ユーザーファーストの検証が行えていない要因が大きいんです。
アーリーステージはとにかくサービスを作り込むことにコミットすべきなんですよね。PMFができるまで営業やプロモーションはいらない。チームの強みとニーズが合う領域をひたすら検証してマーケットにフィットさせていくプロダクトを作ることがPMFを達成する絶対条件です。
ーー開発力のようなハードスキルに加えて、「強み」と「ニーズ」を的確に捉えられるソフトスキルが起業家の素養になっているわけですね。
バタラ:そのとおりです。cocoは比較的PMFが早かったですが、それは、創業者である高橋さん自身がコードを書き、圧倒的な行動量でニーズを発掘できたからこその成果だと思います。
「口コミ」だけに留まらないサービスへ
ーーバタラさんから見て「サービスとしてのcoco」はどのように評価していますか?
バタラ:率直に言って良いと思います。まずサービスとして考え抜かれている。単なる口コミを集めるサービスではなく、レビューの集め方やサービスUIなど今までにないやり方でユーザーニーズを捉えている。だからこそ数字としての結果も出ているし、これから確実に伸びていくサービスだと思う。キャッシュフローがきちんと回っていて凄いですね。
高橋:ありがとうございます。アクセルを踏んで「店舗にとって口コミが当たり前の世界」が作れればcocoはさらに加速していく自信があります。そうですね、逆にバタラさんからみて課題に感じるところはありますか?
バタラ:課題というよりも今後の展開ですね。サービスがスケールした時にクライアント同士のカニバリは発生する。良い口コミを持つところが残ること自体は良いけど、「口コミサービス」だけに留まらず、それを入り口として新たなソリューションを展開してほしい。私個人としてもそこを一緒に考えたいと思っています。
高橋:ありがとうございます。まさに今、口コミ以上の機能開発を進めています。まだステルスなので記事には掲載しないですが(笑)、楽しみにしていてください!
ーーありがとうございます。最後に「チームとしてのcoco」へのエールを!
バタラ:繰り返しになってしまいますが、諦めない精神とパッション、「やり抜く力」を持っているところが非常に良い、他の投資家の方にもお薦めしたい点です。
人間のIQや頭の良さなんてそれほど変わらない中で「絶対に事業を成功させる」コミット力がチームの良し悪しを決めるんですよね。ではそのコミット力の源泉は何かと言うと定性的ですがチームのマインドに集約されるんです。cocoにはそれがある、今後の展開も大いに期待しています。
ーーありがとうございました!
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cocoは、本当に社会から必要とされるサービスで、スタートアップとして今後大きな成長を描いていけるという確信を持っています。しかし、現在のメンバーだけでは、これ以上の変化を起こすことができません。
特に高橋と一緒にプロダクトと事業の両輪を考え実行していけるBizDevを絶賛募集中です。まだまだ共に事業を作り上げる創業期なため、積極的に「cocoをこうしていきたい」と考えていけるような人と相性が良いのではないかなと思います。勿論、ストックオプションなどもありますが、それ以上にcocoの考えている未来に共感して頂ける人と一緒に働きたいと考えています。
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