救急処置
短い休み時間に子供たちがたくさんやってきます。
その訴えは様々。
もちろん発達年齢や表現力、痛みの感受性にも大きな差がありますが、一瞬の内に重症度を見極め、手際良く捌きます。
中には保護者への説明が必要なケースもあり、素早さと正確さ、慎重さも求められます。子供たちの訴えだけでは状況がつかめない場合は、他の教師や子供たちにも協力を求め状況把握をしていく必要があるケースも少なくありません。
頭の中はフル回転です。
軽度なものから重度なものまで。中には大量出血や明らかな骨折など、校内の救急体制を発動させないといけないことも…
保健室の先生はいくら看護師免許があっても学校という現場では教育職。つまり、医療行為はタブーです。
歴史を紐解いていくと、学校事故による裁判事例も数多くあり、過去の事例から学ぶことは多くあります。
関東で起きた食物アレルギーによるアナフィラキシーの死亡事故。
あの事故以来、食物アレルギーの研修強化やエピペン®︎(アドレナリン自己注射)の普及と当たり前になったシュミレーション研修。現場の担任も何度も何度も訓練を積みます。そう。最近では保健室の先生以外も、緊急時にはエピペン®︎が使用するようにと小児アレルギー学会のガイドラインで示されています。そんな責任重大な任務を私たちに、判断を委ねられいつ責任を追及されてもおかしくない今の学校現場であり、保健室なのです。
硬い話になってしまいましたが、保健室の仕事の中の重要な部分を占める『救急処置」たった一人で下す決断に時にめちゃくちゃ不安になることがあります。
「あー私の目がレントゲンなら…」
と今まで何度思ったことか。そんなこと叶うわけありませんが。
我が国では、教員は約120万人いますが、養護教諭はわずか4万人。それに対して看護師は110万人。そう考えると学校にたった一人の保健室の先生に課せられた任務は責任重大です。
保健室の仕事は、もちろん救急処置だけではありません。
いじめや虐待、不登校や特別支援への対応、医療的なケア、などなど。加えて保健教育という大きな分野もあり、規模が大きければ大きいほど、仕事量も半端なく多い。呼吸することすら忘れるほどの忙しさです。それでも私がこの仕事を続けてこられたのはなぜか。
一人で闘うこの仕事の魅力は何なのか…
少しずつわかっていただけるかと。
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