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柔軟なキャリア観で見つけた未来。Sさんの働き方と人生設計

このnoteは、女性向けキャリアスクール『SHElikes』のwebライティングコースの課題で執筆したインタビュー記事を編集したものです。(3500文字程度)


特性のあるこどもたち向けに、就労支援、幼児教室・学習塾などの教育サービスを提供する会社で働くSさん。大学時代からコミットし、新卒で入社後、教育支援やエリアサポートを経験し、現在育児休暇中である。キャリアを築く中で、彼女は「ザ・メンタルモデル」という本に出会い、その教えを通じて、自身の働き方や人生設計に大きな影響を受けたと語る。

「ザ・メンタルモデル」とは、著者:由佐美加子さんが多くのセッションを通じて得られた、人間がその生き方を制御しているプログラムのこと。本を通じてメンタルモデルを知ることで、ありのままの自分で生きるためのヒントを得られるとされている。

キャリアは歩みながら見つけるもの

大学時代、福祉系の学部に所属していたSさん。こどもの障害福祉に関心があり、その頃から新卒で入社する会社でアルバイトをしていた。会社の企業理念と自分の軸が重なることから、新卒としても入社を決める。

ーー新卒で入社してから、どのようにキャリアを進めていこう、など自分の中で人生設計はありましたか?

S:当時、こどもに教育支援を行っていましたが、正直、最初の1〜2年は人生設計なんて何も考えていなかったです。与えられた目の前のことをやることで精一杯で。当時は、こどもや親御さんと向き合っていましたね。中途人材の育成に携わったときも、「自分なんかでいいのかな」という気持ちも。ただ、途中からは、やるからにはスキルも身につけていきたいって思えてきて、必要なことを勉強をしました。また、2年目の部署異動も転機でした。この頃、各教室の運営サポートに携わってからマネージャーという立場になりたいという目標が出てきましたね。

「やってくうちに、どんどん見えてくる世界が変わって」とSさんはいう。「ザ・メンタルモデル」に出会う前、彼女は目標や道筋を明確にすることに戸惑いを感じていたそう。しかし、実際には、目の前のことを一つずつクリアしていくことで、自分が進みたい道が自然と見えてくることもあるのだと気づく。この柔軟なアプローチは、Sさんにとって大きな支えとなり、キャリアを歩みながら新たな視点を見つけるきっかけとなったのだ。

自己理解が導く成長の鍵。気がつけた新しい視点

仕事をする上で、こどもの成長を見守れることにやりがいを感じていたSさん。マネージャーという目指すべきものができてからも、仕事の中で壁にぶつかることもあったそう。具体的には、教育支援対象のこどもの年齢が上がるにつれて成長を感じることができなかったという。さらに、自傷してしまうこどもを目の当たりにして、Sさん自身のメンタルが揺らぐことも。

ーー仕事においてマイナスな感情が出てきたときは、どのように対処していたのですか?

S:昔から内省するタイプなので、一人で気持ちや考えの整理をしていました。また、他人に相談することで思考の整理を手伝ってもらっていました。特に、上司と1on1をしたときは、自分を攻撃する癖を見透かされていて、注意されていましたね。上司が悩んでいた私に勧めてくれた本「ザ・メンタルモデル」が今でもバイブルになっています。

ーーおすすめの本「ザ・メンタルモデル」を読んでからはどのような変化を感じましたか?

S:自分のありのままを知ることができて、さらに言語化して語れるようになった気がします。それによって、壁にぶつかったとき、どう対応していこうなどヒントをもらえた気がしますね。仕事をする上で、自分を攻撃せず守りながら、対処していく方法を考えるようになりました。

仕事でしんどさを感じたとき、Sさんを救ったのが「ザ・メンタルモデル」でした。この本を通じて、自分自身を深く理解する。それを言語化する力を身につけることで、壁にぶつかったときにどのように対応すればよいかのヒントを得ることできたという。「できてるかどうかは別としてね。」と最後に笑顔でいう。その「素直さ」が自己成長への鍵になっているのかもしれないと感じた。

仕事と妊活のはざまで直面した課題と解決への道

仕事を頑張る一方、プライベートでも嬉しい節目を迎える。新卒4年目に大学生時代からお付き合いをしていた旦那さんと入籍をしたSさん。結婚後、プライベートも幸せでいっぱいの生活だったのかなと思いきや、実は4年近くセックスレスで悩んでいたという。

ーーセックスレスで悩んでいた時期、どのように過ごしてきたのですか?また、セックスレスが解消したきっかけはありますか?

S:本当に長いこと、苦しんでました。旦那さんが仕事で多忙な時期が続いていたということもあり、なかなか打ち明けることができなかったです。やはり、こどもを授かりたいという気持ちもあったので焦る気持ちも。悩んだ末に、伝え方を工夫して旦那さんへ打ち明けたことがきっかけです。そこから、妊活を一緒に頑張っていこうという方向性が見えてきたのでよかったです。

ーーつらい時期を乗り越えて、はじまった妊活生活はどのような感じでしたか?

S:妊活を始めたら授かれるものと思っていましたが、自己流では難しく。結果的に不妊治療専門医へ行きました。しかし、初期検査で、低AMH*1であることが発覚して、もう何が何だか。先生に言われるがまま、人工授精*2を開始することになりました。

*1 低AMH:AMHとは、女性の卵巣予備能の指標となるホルモンである。低AMHとは、卵子の残個数が年齢に対して少ないことを指す。
*2 人工授精:女性の排卵時期を確認し、洗浄濃縮したパートナーの精子を子宮内に注入する方法。一般的に、不妊治療として、タイミング法、人工授精、体外受精と順にステップアップしていく。

ーーいきなり、人工授精となると、通院回数も多いため、仕事の調整も大変でしたよね?

S:人工授精が始まる前に、事前に上司に相談をしました。翌月から在宅勤務を増やしたり、近場の教室のサポート勤務に調整したり。さらに体外受精経験者の先輩社員と話す機会を設けてもらい、仕事と不妊治療の両立についてイメージができましたね。とはいえ、休みが取れず、タイミングを逃してしまったときは落ち込みました。今後どうやって仕事と両立をしていけばいいのか、辞める選択肢も頭をよぎりました。

仕事と不妊治療の両立で悩みながらも、無事に妊娠することができ、今年の夏に第一子を出産したSさん。当時を振り返ると、同僚への配慮から休みずらかったり、先が見えない不安が募ったりと、精神的にしんどい状況だったそう。ただ、妊娠や出産をしてからは、むりをしない、周りを頼ることを大切にできたと。「ザ・メンタルモデル」は、Sさんが自分自身をより深く理解し、柔軟な視点で人生を捉える助けとなっているという。仕事や妊活、そしてその先の未来に向けて、立ち止まることもあるが、より良い選択をするための道しるべとなっているのだろう。

未来を見据えながらも「今」を大切に

さいごに、育児が始まったばかりのSさんに、育児休暇が明けた後の働き方についても聞いてみた。旦那さんも働いていることもあり、育児休暇後は時短勤務での働き方を想定しているそう。「家族やその生活を守ることの優先順位が高いから」という言葉が特に印象的だった。優しさから自分を犠牲にしてまでも仕事や人を優先してきたが、妊娠〜出産を経て、自分の優先順位をベースに仕事を考えている。

ーー以前、独立もしてみたいと聞いたこともあったのですが、今はそういう気持ちはないですか?

S:今ではないですね。もちろん、これまで仕事を通して学んできたことを活かして、こどもの療育というテーマで独立はしてみたいと考えています。子育てと両立しながらも、これから30代で経験することから、さらに見えてくるものがあるのかなって。40代後半くらいに独立できたらいいなと考えています。

「その場その場で決めてきた人生だから」とSさんはいう。将来の目標や答えに対して、構えすぎない柔軟性が伝わってくる言葉だった。自分の軸を持ちつつも、「今」から学び、それを将来の原動力に変えて、突き進んでいく。

「ザ・メンタルモデル」は、将来の不確実性に対処するための柔軟な思考を提供し、Sさんのように、今を大切にしながらも未来を見据えて進む力を与えてくれる本だ。

将来の明確な目標がなくたって、不安に感じることは一切ない。今、あなたが大切に感じていることを大切にすること、今に集中して生きることで、前に進んではいるのだから。きっと、少しずつ見えてくる世界、やりたいことがわかってくるのだろう。そのためには、自分の心の変化にアンテナをはることも大切なのだろう。むりなく、素直に。なるようになるのだから(que será, será )

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