風の夜のあと
すこし遠くで、また大きな災害が起きた。
また。
風が吹いて水が溢れて、その様子を目にするときに、昨日までの生活や平穏や大事なものや景色やそんなものを多くの人が失ったのだなぁ、と思う。無力を突きつけられて、虚無に飲み込まれそうになる。
それでも続いていく日常の中に身を置いていると、うまくバランスが取れていない気分になる。
良いことがあったとき、きれいなものを見たときに、寂しい気持がやってくる。
喜んでいる人にうまく寄り添えずにまごつく。
そうしてあぁその度に、そういうことになっているんだな、と気付く。