お金を支払うボランティア

雲月山の山焼きボランティアが50人も集まるのか、不安の声も聞かれたが、僕には確信とまではいかないものの、「なんとなく大丈夫だろう」という予感があった。それは、熊本県阿蘇地域のボランティアを知っていたからだ。
阿蘇地域の山焼きボランティア
阿蘇地域では、山焼きのために、当時でも、毎年のべ1,500人以上がボランティアとして参加していた。その数は今では2,500人を超えている。ボランティアは熊本県以外からも訪れている上に、必ず事前の講習を受けている。講習は有料で、当時は1泊2日で行われていた。これが意味することは「火入れに参加することで得られるボランティアとしてのやりがい」は、参加するために使っているお金や時間を上回るということだ。

「参加料500円」の意味

雲月山の火入れでも、活動の意義を知ってもらうことができれば、ボランティアの人たちはお金を払ってでも参加するだろう、そう考えていたのだ。そもそも、広島市内から雲月山に来るには、高速道路を使っても車で2時間程度かかる。高速道路を使ったり、ガソリンを使ったり、自分の余暇時間を使ったりする人にとって、参加料として設定した500円は大きな額ではないはずだ、と考えた。

自由意志の尊重

参加料をいただく理由はもう一つある。それは参加者の自由意志を尊重するためだ。たとえ500円であっても、参加したボランティアは、自分で代金を支払ってまで、ボランティアの機会を獲得することになる。参加費を支払う行為は、参加者が、自分の意志を表明する象徴になるのだ。ボランティア活動は、自分の持っているスキルが社会のため、誰かのために役立つと実感できて、はじめて満足感を得られる。ボランティアをお客様扱いするのではなく、あくまで「ともに活動する仲間」として扱うことが重要だと考えている。結果的に、山焼きが再開された2005年には150人のボランティアが雲月山に集まった。

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