日光のルーツを巡る旅(7)
前回は、足尾との関わりのお話でした。
今回は、勝道上人の造った仏像のお話。
一木三体(いちぼくさんたい)
このシリーズの⑶で、勝道上人が自ら桂の木に彫った中禅寺の立木観音(十一面千手観世音菩薩)のお話を覚えていますか?
実は、これには続きがあります。
この時造られたのは、中禅寺・立木観音(十一面千手観世音)だけではないのです。
同じ一本の桂の木で、清滝寺・千手観世音、慈眼寺・十一面千手観世音も造られました。
「一木三体」と呼ばれるものです。
清滝寺(せいりゅうじ)
いろは坂を登る少し手前にある町が清滝。
そこにあるのが清滝寺です。
地名は清滝(きよたき)と読みますが、お寺の名前は清滝寺(せいりゅうじ)と読みます。
下野三十三観音霊場第一番札所である清滝寺は、820年に弘法大師空海が清滝神社の別当寺として創建し、その後、天台宗に改宗され、満願寺(輪王寺)別院となりました。
本堂には、勝道上人が中禅寺千手観世音を彫った末木で彫ったとされる千手観世音が安置されています。
中禅寺は「坂東十八番札所」ですが、ここも同じく「坂東十八番札所」、つまり前立本尊札所なのです。
中禅寺が女人禁制だったため、女性もお参りできるこの寺は、女性の巡礼者の札所として栄えたそうです。
また、この寺は、円空仏が安置されていることでも有名です。
もうひとつの観音像のある慈眼寺のお話は次回に。
(つづく)