日光のルーツを巡る旅(8)
前回に続いて勝道上人が一本の木から造った仏像のお話の第2弾です。
慈眼寺(じげんじ)
鬼怒川温泉街の少し先にある慈眼寺は、勝道上人の日光開山とほぼ同じ時期に創建され、中禅寺・清滝寺の観世音像と同じ桂の木に彫られた十一面千手観世音菩薩立像が祀られています。
徳川の時代には、三代将軍の参謀であった天海大僧正(まさに慈眼大師ですね)が、故郷の会津に向かう途中の宿としたと伝えられているとか。
また、戊辰戦争の際に、藤原村が焼き払われた時、この寺にも火が放たれましたが、この観音様は、無事に救い出されたという民話があるそうです。
この寺には、観世音菩薩の他に、釈迦涅槃図や、お釈迦さまの誕生を甘露の雨を降らせて祝ったと言われる八大龍王も祀られています。
歴史とともに・・・
このように、勝道上人の造られた三体の観世音菩薩像が、いろいろな歴史を経ながら現在も残っているのは、とてもありがたいことだと思います。
地元の人もあまり知らないかもしれないこんな話、ぜひ後世に伝えていきたいものですね。
(つづく)