【臨床心理士監修】普通の人になるにはどうすればいいんですか?
A. 「普通の人」はどこにもいない
なにをしてもうまくいかないことばかりということで、嫌になっちゃうのも無理ないですね。
ひとつ気になったのは「普通以下」や「普通の人」といったみまんさんの言葉です。仮にみまんさんが普通以下なのだとして、その根拠となる「普通の人」とは誰なのでしょうか。もしかするとみまんさんを苦しめる「普通の人」は、本当は存在しない幻なのかもしれません。
仮にみまんさんの今の時点での成績や運動能力が周りの人より低いとしても、それはみまんさんの成績や運動能力が今後ずっと低い、という根拠にはなりません。それは単に「ある時点でのある得点」の表記に過ぎず、みまんさんという人間が普通以下であると断定する証拠にはなりません。
ですが疲れや落ち込みに引っ張られたときは、周囲の人の優れた部分を組み合わせた「普通の人」のイメージを作り上げ、それと自分を比較して落ち込んでしまうことがあります。
特定の教科だけ得意な人。ちょっと運動が得意な人。人を笑わせるのがうまい人。普段なら「この人はこれが得意なんだ~」と個別に見れることがどうしてか合体してしまい「普通はこれくらい、自分はそれ以下」となってしまうんです。私自身、ときどき周りの人はみんな自分より思慮深く教養があり社交的で才能に溢れているように感じることがあります。
この「普通の人」こと他人のいいとこキメラは最強なのでまず勝てないですし、そもそも個人間の能力差を測れてもいません。その意味でみまんさんは「人と比べてしまっている」のではなく「本来比べられないものを比べてしまっている」のかもしれません。
まずは、みまんさんがどんなときに、どんな出来事によって自信をなくしてしまったのか。本当はどんな風になりたかったのか、などを掘り下げてみてください。個別の出来事と、そのときの気持ちに焦点を当てて考えることで、大雑把に「普通以下」とまとめるよりもずっとみまんさんらしさが反映された、生きた言葉が見つかるはずです。方法としては、スマホのメモ帳やノートに思ったことを書き出していく「ジャーナリング」と呼ばれる手法が取り組みやすくておすすめです。
「成績が悪いの自体は気にならないけど、この先どうなるのかが不安だ」など、奥底に隠れた気持ちに触れられるかもしれません。
「他のことはともかく、趣味のことだけは負けたくなかった」など、自分自身の中核にあるプライドや信念に気づくこともあると思います。
自分が譲れない部分と譲ってもいい部分を分別していく作業は、かならずみまんさんの今後に役立ちます。
参考までに私の持っている小さな自信は「周りの友だちの中で、たぶん一番多く漫画を読んでいる」ことです。でもちゃんと何冊読んでるか確認すると負けそうなので確かめてすらいない、弱々しい自信です。でも、小さいなりに支えにはなってくれます。小さな自信は自分が生きている、ごく狭い範囲の中で見つけられると良いと思います。探そうと思えば自分よりも優れている(ように見える)人はいくらでも見つかっちゃいますしね。
個人的な考えですが自信は「持つ」という言葉のとおり、手に持てる程度の小さく部分的なもので十分だと思います。みまんさんが「普通の人」という大雑把で全体的なイメージに引っ張られることなく、本来持てるはずの小さな自信を手にできますように。