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富の循環 第九回 『富』とビジネス

『富』とビジネス

 今回は、『富』とビジネスについて考察をして参ります。特に『富の循環』という視点から、持続可能な社会へ向けた経済の在り方とは、どのような姿になるのか。検証して参りたいと思います。

 ここまで『富の循環』について、「マインド」の調整方法に関係する様々な「美徳」や「徳目」についてお話しをしてきました。そして、「幸せ」や「幸福」あるいは「福」そのものの概念、さらには「豊かさ」や「富」とは何かについてもお話しを進めて参りました。

 最近、本屋さんに並ぶ「幸せ本」と言うのでしょうか。様々なスピ系書籍と同様に、どこまでも恣意的に書かれる傾向があり、書店に平置きされていた、仏教の勧め「般ニャ心経」とか「わん若心経」なども同様、未だ世相は緩(ゆる)く温(ぬる)い傾向が続いているように感じます。

 私の場合、このような恣意的な表現からは最も遠い理論体系を活用しながら様々な命題について論考を続けているわけですが、このような理論体系が、まだ世に出回っていない現状では、世相と真っ向対峙する形になっているのだと感じます。しばらくはヌルい傾向は続くのかもしれません。

 これまでもご説明してきましたが、私の扱っている理論は幾何学的な思考形態を基にしているので、一度理解ができれば、一目瞭然で瞬時に広まることでしょう。少なくとも三角形と、立体視的なセンスがあれば、理解可能ですし、sin(サイン)、cos(コサイン)、tan(タンジェント)など、難しい幾何学方程式も必要ありません。

 最終回の『富の構造』に向けた伏線として、今回の『富』とビジネスは、心の立体モデルを考えた上で、まずは図示をせず論述のみで進めて参りたいと思います。そして最終回で、検証することに致しましょう。

1)『富』へ至る道とは。

 最終回を前に、そろそろ『富』の定義の一部をまとめとして見ておく必要があるでしょう。

 今回お話してきた『富』を一言でいえば、『価値の本質』に関与するものであると言えるでしょう。そして幾何学的な心の立体モデルをもとに『富』の位置や役割を考えると次のように説明できると思います。『富』とは、基本的に集団の内面領域の場にあり、自分にとっては、私人性公人性の両面の無形文化に関与していることになります。

 ここでいう無形文化とは、いわば『自分自身』の歴史そのものであり、慣習、センス、そして最終的に集積蓄積された『果実』や『種』を蓄えるべき場となります。あるとき人はそれを『財産』と表現したり『お金で買えないもの』ということもありましょう。そしてこの領域には、はじめから目指す価値があります。

それが、『善良』という価値です。

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