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『哲学』の散歩道 Vol.20『思考のこころみ』 命題2 意味と価値と真実(1)(3873文字)


今回は、意味と価値と真実について語る。まず『自由の哲学』の第三章―8の中心命題、『意味』の意味を知ることにしよう。はじめに意味と価値の関係から。


1)意味と価値


はじめに、意味と価値の関係性を見てみよう。

一般的に意味のあるものは価値を有し、意味のないものは価値がない、とされる。

一方で、一つの物事に関して非常に価値があるとされていながら、個人的にはあまり価値のないものもある。たとえば、それは一般的には自分にとって興味や関心のないものと判断することができる。

この例のように、個人と集団の『価値』や『意味』とはどう違うのだろうか。

特に個人的に、興味がある場合は、その人にとって価値を伴う。つまり基本的に価値とは、個々人が持つ判断基準をもとに生じる。一般的な価値以上にそれが、本人にとって魅力的である場合に新たな価値が生じてくる。

また、個人的な魅力に関わらず、一般的な価値とは世間が価値があると認めたもの、たとえば国宝や重要文化財、憲法の順守であったりする。

これらは価値あるものであるが、個人的に意識に上りにくく、実際に価値があったとしても、直接的な興味や関心を生じることがあまりない。

つまり、一般的な価値とは、慣習や習慣の中から生み出された文化的背景の中に生じる。その属性は『集団』や『組織』、従属する『社会』や『文化』の既成的価値観がベースとして存在していることが分かる。

意味は、より主観的で個人的な指向に紐づけされていく。読書における語彙理解など、普段使用する範囲内での語彙理解力がベースにあり、さらに、抽象概念を概念化する力にも関与する。

その原動力として心情的な興味や関心などの『欲求』が絡んでくる。つまり、『価値』を持つということは、個人においては、「興味」や「関心」を持つ、より多くの魅力として、それを見たいという欲求と大きく関連していることが分かる。

それに較べ『意味』は、その欲求的価値を概念化する過程で、必要とされる語彙など、その価値を表わす表現方法などに関与する。極めて当たりまえのことだが、総合的に考えると、『意味』や『価値』には個人差が大きく関与することが分かる。

ここまでの『意味』と『価値』の見解を構造化する前に、話の流れで、『真実』の見える化をしてみよう。理由として「真実」や「事実」は、その明白さにおいて非常に具体的でわかりやすく図示できるからだ。

2)『真実』の真相


さて、先の理由から、『意味』と『価値』の核心に触れる前に、どうしても基本構造を見直す必要があり、『真実』の真相をお話しておこう。前回示した『思考の段階』から、思考の第一段階を見てみよう。

ⅰ)思考の第一段階

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上図は、思考活動はあるが、未だ思考過程が発動されていない状態である。この図の青紫の四角い全領域が、『事実』と『真実』の相を示す。

事実とは、より客観的で、実際に執り行われた行動や行為の動き自体を見通す相(側面)で、主に「理の面」の右手の領域にあたる。また、物理学の定理や公理などの現象を表し、より外面的な表現である。

真実とは、より主観的であり、虚偽なく陳述するような場合に用いる。この相(側面)は、主に「理の面」の左手領域にあたる。また、思想的な論理の構築過程で明らかになるような問いの結果を表し、より内面的表現となる。

このことから、単純に図示すると下のようになる。

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さて、『真実』と『事実』の間にある境界がある。両者を分かつ縦軸とは何か。

たとえば、客体を主観的に解釈する。主体を客観的に解釈する。このような場合、実際の、主体と客体の位置関係を想像してみれば分かるが、本来そこには空間的な隔たりがある。

平面的な構図では、表現しにくい要素や構造が見落とされやすい。この主体と主観の違いを明らかにするため、前回示した、思考の第二段階に進む必要が生じる。

ⅱ)思考の第二段階


図に示すように事実と真実を、二点透視的な位置関係で認識する段階だ。

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このように示すと、真実と事実の立体的な関係が把握できるようになる。事実は外面的、客観的に見出しやすいが、真実は語彙的にも内面的で主体性に関与し、より主観的な関与であることが分かる。

そして、前回説明したように思考過程に関係し、言葉の壁(緑の面:言語学では潜在化している部分)が、主観的内面から主体的なところに関わっていることが分かる。

この面は特に言葉(言語活動)の面であり、左手は、主観的内面や主体的な領域、右手は客観的外面や客体的な領域に関わっている。

ここで新たに一つの命題が生じる。それは、冒頭で説明した価値の判断だ。この図は、一人ひとりの個々人、あるいは私の中だけであれば、単純に解釈できる。真実や事実は私事の範囲であれば、記憶に相違ない限り左右の整合性は取り得る。個人的な思考の範疇であればなんら問題がない。

しかし実際、私たちはこの社会に一人きりで生きているわけではない。社会では人間関係が必ず存在する。この図ではそれが全く見えていない。

令和5年8月21日追記;これは、紛れもなく、意識の発達段階と変遷に関係してる。単純に私たちが社会性を身に付けるというとき、集団への関与が大切だ、ということに他ならない。

したがって、大人になるために(笑)、思考の段階は次の第三段階に進む必要性が生じてくる。社会は、おおよそ集団や組織の振る舞いが、圧倒的に個人(私自身:自分)とは異なるからである。

集団や組織は、個人(自分)の延長ではなく、それぞれは絶対に還元できない。この関係性を生みだす鍵は、赤い矢印で示された上下に分かつ軸の存在が関与してくる。

個々人と集団を分かつ軸、それが、思考の第三段階への準備に向けた赤い軸の存在である。

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ここからが本来の思考の第二段階に入る。

自らの思考過程を認識する段階を経て、次に、具体的な主客の違いが表出する第三段階へ移行する準備段階だ。未だ、主体と主観、客体と客観の違いは明らかになっていない(お互いにオーバーラップしているため)。主に主観と客体が見えるだけである。

主観とは自らの感じ方で、そのベースは赤の横線(特に中央から左)。これを「面」として意識する段階で、最終的な「主格」が形成され、自我の本質が形作られる。「格の視点」を持つ、この面が「感の面」である。

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最終的に、思考は第三段階に進む。

3)思考の第三段階


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この図より言えることは、集団の中での客体や客観の視点はなく、あくまでも私(あるいは自分) ※1という主格が存在することにより、成り立つことである。

※1 「私」と「自分」は、ニュアンスが少し異なる。「私」は、というとき、公私の関係性をにおわせる。つまりやや客観世界を意識した言い方であるが、「自分」というとき、これは、主観世界からの言い方となる。つまり言葉の立ち位置スタンスがやや異なる。(令和4年6月22日追記)

真実も事実も、最終的には下図のような定義になるだろう。すなわち、それぞれ集団に対しても、イコールで結ばれるている関係である。

令和5年8月21日描画追加

以下令和5年8月21日追記;図示すると非常に単純になってしまうが、「真実イコール事実」という関係にならなければならないことは、もとより了解済みである。つまり、最終的には、このイコールを見出すことが「価値」に繋がっていくとこうことになるのだろう。

この主格(手前のベースの赤い面)は、感の面(赤の面全体)が見えることにより、より構造的な把握が可能となる。主格に対峙する位置に客格があり、それが、本来の自分自身の核となっているものである。

この奥にある客格に照らして、真実と事実がイコールであるという事実が、意味のあることになるし、「価値」をもたらすことになる、という、普段私たちが普通に感じ取っている感覚として理解できることだろう。

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重要なことは、主格それ自身は周囲の視点が集合し、作り上げられたものであること。つまり主格を生み出すのは「客格」であり、それには本来の自己を形成する目的がある。その目的は、本質的な自分 ※2に向けられているものである。

※2 「本質的な自分」とは、主格を形成する周囲にある「客格」が形造る自分の性格キャラクターといっても良い。それは、中心の「身」の周囲にある「客格」の、「体」「社」「会」「精」「神」「心」「理」である。(令和4年6月22日追記)

4)主格と客格の軸


ここに主体と主観と主格の関係性がはっきりと描かれる。ここから、本来の自分軸という大きな二つの軸の存在が現れる。これが前回もお話した『愛の弓矢』の矢、そのものの存在と関連する。この弓矢についてはもう少し詳細を述べたいが、次回以降にする。

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「主」は私(自分)本来の場であり、私(自分)が居(お)わすところ。その主座はマインドの中央に位置している。その奥に、私のミッションが存在し、それに向かって『矢』を放つのである。

このような主格が自覚できると、人格形成や、品格、霊格など格調が意識される。いわば意識の視点の上昇からもたされる「格式」が備わるのだ。

5)価値と意味と真実の理解に向けて


この立体モデルに価値と意味と真実を載せると以下のようになる。語彙だけを見ても関連性が乏しいと思われるが、今回は、キーワードのみを掲げる。その詳細は次回以降に論述 する。

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つづく

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