10歳の息子と美術館の対話型鑑賞に参加して
大阪の中之島美術館にて、対話型鑑賞のワークショップに参加しました。スタッフの方の一人は、ランゲージアーツの指導者養成講座で一緒に学んだ方で、そのご縁で知ったワークショップです。
1 絵画鑑賞 お好きですか?
絵画鑑賞は、旅行先で美術館を訪れたり、作品の前に立って感じたいと思うことが多いです。歴史や文化に触れながら、作品と繋がりを感じることができ、とても贅沢な気分になります。子どもの頃は美術館に行くと、静かな空気と特別な雰囲気に包まれて、建物も好きでした。以前から絵画は好きでしたが、ランゲージアーツを学ぶ前は、鑑賞方法や目線の動かし方についてあまり知らなかったのです。
ランゲージアーツを学ぶ機会を通じて、自分自身が鑑賞方法と伝え方の技術について学びました。三森先生の本を読んだり、子どもの思考に働きかける問いかけを知ると、新しい発見がたくさんあり、興味も増えました。
2 イタリア人のホストママに言われた言葉を思い出す 「可愛い」って感想多いのなんで?!
私は20代前半で、イタリアのトスカーナ地方のfirenzeに料理留学をしていました。firenzeは建物やアルノ川が美しく、京都と姉妹都市と言われるほど、絵画のような美しい街です。イタリア語をマンツーマンで教えてくれるホームステイ先のmammaは学校の先生で、料理も上手な型で、とても上手に料理を教えてくださいました。
イタリアには絵画や建築物が多くあるのですが、日本人は割と「かわいい」と何でも表現するというmammaとのおしゃべりから、「可愛い」という単語発言を控えるようになりました。
私には細かい感想を言語化するのは難しく、【感情表現メモ】を持ち歩くことになりました。イタリア語の単語選びにも手こずり、自分がまるで幼い子どものように感じられましたが、語彙力を増やすには感情に関する言葉を多くめもしたらいいのかもしれないと学んだ経験です。
感情表現、愛情表現のストレートさ、語彙力と褒め言葉の豊かさ。
伝えあう量の多さ、表情とジェスチャーの豊かさ。
今になって一語一句をもう一度聞きたいなと思い出すようなイタリアでの留学生活でした。
3 子どものワークショップ絵画鑑賞に参加して
中之島美術館で子どものワークショップ絵画鑑賞に参加し、親子で大満足の1日を過ごしました。子どもたちの言葉遣いや表現力に感動しました。展示は具体美術協会(具体)“GUTAI”のコレクションで、鑑賞の仕方の練習をして、何を感じるかを自由に発表し、それぞれ違う発見がありました。会場には圧巻のアートの数々がありました。
https://www.museum.or.jp/report/100720
まず、鑑賞の仕方の練習を行います。
絵を見て、何を感じるのか、それぞれ自由に発表をします。
発表するのって勇気がいりますよね。語彙力のバリエーション、感じ方の違い、子どもによって使う言葉も全く違う発見の多い時間です。
最初に準備体操のような時間を過ごして、いざ会場へ移動。
途中にある美術館の作品についてスタッフさんが目を向けさせてくれ、子どもたちは進むたびにいろんなことを発見していきます。
目的の作品の前で子ども達は立ち止まり、じっくりと眺めます。
じっと眺める子どもが発見する表情を見せたり、何かを感じる瞬間。
その表情を汲み取るかのようにスタッフの方がゆっくり質問をします。
それに、子どもたちが自由に答えます。
・なににみえる?
・なにを感じる?
・どうやって描いたんだろね
・何を使って書いたと思う?
・何人で書いたと思う?
その姿を保護者は少し後ろから見守ります。
一通り終わったら、この作品の画家は何を伝えたいんだろう?
どんな人だと思う?などなど。
子どもたちは失礼だろそれ!と言うような解釈でも、スタッフの方はなんでもOK。子どもの言葉を引き出してくださいます。
自由に言葉を発する姿に、私はとても能動的な鑑賞時間だなと感じました。
お手洗いまでアートで、それらを鑑賞したのち、ワークショップルームに戻ります。
ワークショップルームでは、色とりどりの絵の具、さまざまな道具が並べられ、それらを自由に選び自由に使って、それぞれが自分の作品を創る時間が始まります。
大きな紙にルールなく描けることは 子どもたちの好奇心が膨らんでいく様子を感じました。まずは大きさを感じるために紙に寝転ぶ。
割り箸や、ロールその他にもいろいろな道具と絵の具を使って自由に表現
その後、子どもたちがそれぞれ作品を説明する時間があります。
「対話型鑑賞」のワークショップの子どもたちからの感想は
自由に描けて楽しかった。学校みたいに決まりがない
他の人と自分の感じ方が違うことを発見
そんな見方もあるのか!ということが面白い など
アートは表現の手段で、自由で豊か。そんな時間を過ごせて大満足でした。
4 ランゲージアーツを学ぶ前と後の 「絵画鑑賞」
これまで美術鑑賞を楽しんできましたが、有名な絵画をじっくり鑑賞して、知識を深め、たくさんの作品を見てみたいと思うようになりました。
自分自身の感じ方を大切にして、他の人と対話して感想を共有したいという気持ちが増えました。
ランゲージアーツを学ぶことで、作品をじっくり観賞し、その感想を言葉にする技術を磨くことができます。また、他の人の意見も聞いて、違いを楽しむことができます。是非、体験してみてください!
今回、友人に対話型鑑賞プログラムを紹介してもらって心から感謝しています。子どもと一緒に作品を見ながら、どんな言葉をかけたらよいか、何を感じるか、考えることができる時間は豊かで、子育てが楽しくなりました。
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