「王冠を賭けた恋」エドワード8世の”ファンタジー”アンティークコイン
はじめに
一般にアンティークコインの価値を決定する3代要素は、①希少性②グレード③モチーフの人気、と言われています。
今回紹介するエドワード8世は、後にマドンナ監督作の映画「ウォリスとエドワード 英国王冠を賭けた恋」のテーマとして描かれるほど人気が高く、彼を描いたコインもイギリス内外から様々なモチーフで発行されています。
一方で、それだけの人気がありながら英国造幣局=ロイヤルミント製のコインはほとんど存在しません。
英国王室を震撼させたロマンスの主人公、エドワード8世と彼のアンティークコインをご紹介します。
エドワード8世のコインはこちら
王冠を賭けた男のロマンス
先王ジョージ5世が1936年に崩御した後に、国王となったエドワード8世。
彼は皇太子時代に離婚歴のあるアメリカ人女性、ウォリス・シンプソンと恋仲となります。この時ウォリス自身は別の人物と再婚しており不倫状態でした。
当時のイギリス王室・政府では、「イングランド国教会の長たる英国王が、アメリカの離婚者と結婚してはならない」としてエドワードとウォリスの結婚を認めませんでした。結婚をするのであれば国王から退位するように勧告し、事実上二人が別れる様に仕向けます。
王室と政府の思惑は外れ、エドワード8世はこれにあっさりと応じ、わずか325日の在位期間を終えて退位しました。エドワード8世は王室史上初、自らの意思で王位を退いた人物になります。
(後を継いだのは弟であり、エリザベス2世の父でもあるジョージ6世。彼も映画「英国王のスピーチ」のテーマになってます。彼のコインはこちら)
エドワード8世、幻のソブリン金貨
その在位期間の短さ・退位の理由から、エドワード8世を描いた英国造幣局=ロイヤルミント製造コインは一般に存在しないとされていました。
しかし、実は無冠の肖像を描いた試作コインが製造されており、1970年代初頭に初めてその存在が確認されました。
現在4枚が博物館に収蔵され、市場には2枚だけ存在すると言われています。もちろん市場には出回らず、「幻のコイン」と化しています。
かつてそのうちの1枚が海外市場に現れた際、およそ100万ポンドで取引された記録が残っています。
”ファンタジー”アンティークコイン
彼のストーリーは多くの人々の心を打ち、各地の民間業者によって鋳造されたコインやメダルが存在しています。
コインのデザインは様々で、ロイヤルミント製の左向き肖像をイメージしたものや、予定されていたものの実現しなかった戴冠式のデザインのものなど、作り手によって千差万別となっています。
これらコインは、「もしもエドワード8世のコインが作られていたら・・・」という背景で作られたことから、幻想のコイン=”ファンタジー”コインと呼ばれます。
1枚1枚デザイン性の違いやモチーフに込めた想いが異なっていて、コレクションとしても非常に面白いジャンルのコインです。
当サイト取り扱いのコインも以下にございますので、是非ご覧いただければと思います。
エドワード8世の"ファンタジー"金貨はこちら
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