【全文書き起こしレポート】DESIGN TEAM INSIDE #1 気になるチームの情報発信を、覗こう
デザインチームの取り組みは、なかなか世の中に情報が出回っておらず、外からは見えづらいものだと思います。そんなデザインチームの「裏側を覗く」というコンセプトで、私たちCocodaは「DESIGN TEAM INSIDE」というイベントを始めました。
2021年10月27日に開催された第1回のテーマは「デザインチームの情報発信」。「重要なのはわかっているけどなかなか着手できない」「人をうまく巻き込めず、継続できない」という声をよく聞くチームの情報発信について、株式会社SmartHRコミュニケーションデザイングループ(以下コムデ)のみなさんをお呼びして、取り組みの裏側を赤裸々に話してもらいました。
元々は発信が苦手だったコムデが、どのように発信を継続的に行えるようになったのか。発信テーマの決め方やコンテンツの作成方法、広報との関わり方など、発信に悩むみなさんの参考になるお話を全文書き起こしでお届けします!
登壇者紹介
株式会社SmartHR コミュニケーションデザイングループ マネージャー 渡邉 惇史
制作会社、事業会社でアプリ、Web、販促物などデザイナーとして広く携わる。その後2016年にSmartHRに入社し、現在はコミュニケーションデザイングループのマネージャーを担当。好物はお米。
株式会社SmartHR コミュニケーションデザイングループ コミュニケーションディレクター 関口 裕
大学で工業デザインを専攻後、エディトリアルやウェブのデザイナー・アートディレクター、またクリエイティブディレクターとしてプロジェクト推進などを行う。2021年より現職。好物はゴボウ。
株式会社SmartHR 広報 たけべ ともこ
都内の大学を卒業後、販売・イベント運営・ライター・広報を経て、2019年5月にSmartHR入社。現在は社内広報と採用広報を担当し、「SmartHRオープン社内報」の編集長を務める。好物はエビ。
株式会社alma 加藤 ケンジ(モデレーター)
Cocodaを運営する株式会社almaの共同創業/PM。2018年に創業後、CocodaやCocoda Boardといったプロダクトづくり、チームづくりを推進。プロダクトの上流からUIデザインまでを幅広く担う。
元々発信が得意じゃなかったSmartHRコムデグループ
加藤:第1回DESIGN TEAM INSIDEが始まりました。今回は「デザインチームの情報発信」をテーマに、SmartHRコミュニケーションデザイングループのお2人と広報の方といろいろ話していきたいと思います。
まず最初に、お三方に自己紹介をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
bebe:SmartHRコムデのマネージャーの渡邉です。bebeと呼ばれています。5年前に今の会社に1人目のデザイナーとして入社しました。会社の規模が大きくなるにつれて、デザイナーの数も増えていき、途中でプロダクトデザインとコミュニケーションデザインでグループを分け、今はコミュニケーション側のマネジメントを務めています。よろしくお願いします。
関口:コミュニケーションディレクターの関口です。コムデグループのブランドコミュニケーションユニットに所属していて、ディレクターとしてプロジェクトの推進や体制づくりをしています。とても緊張していますが、よろしくお願いします(笑)。
たけべ:広報のたけべです。2年半前にSmartHRに入社して、採用広報と社内広報を担当しています。今日は、いつも打ち合わせさせていただいている加藤さん・bebeさん・関口さんと一緒なのでリラックスしすぎてしまうかもしれません(笑)。
関口:いつも打ち合わせがカジュアル過ぎるのがバレますね(笑)。
加藤:みなさん、ありがとうございます。僕はこのお三方とメインでやりとりをしながら、コムデグループの発信をお手伝いさせていただいています。
今日はありのままの雰囲気を伝えつつ、発信の取り組みについて赤裸々にお話を聞いていきたいと思います。よろしくお願いします。
SmartHRのコムデグループは元々発信があまり得意ではなかったと聞いています。そんなチームが継続的に発信活動ができるようになったということなので、チームでの発信に悩む方々にとってのロールモデルとして今回はお呼びしました。
今回は以下のような内容でみなさんとお話できたらと思います。途中盛り上がりすぎて、話が脱線しても戻って来れるように、あらかじめアジェンダを共有させてください。
今回のイベントに向けて、コムデのみなさんがMiroを準備してきてくれました。実際に発信コンテンツを企画する時や作成する時にもMiroを使うことが多いので、そのままを見せてもらいましょう。
bebe:最初に期待値調整させてください!普段使っているやんちゃなMiroを共有するので、にぎやかな雰囲気になると思います(笑)。
関口:やんちゃなMiro(笑)。話そうと思っていたことをカンペとしてそのまま残しているので、それはぜひスルーしてほしいです。
▼当日使用されたMiro
「地味だけど大切」な取り組みを発信
加藤:まずは最初のテーマ。「最近コムデはどういう発信してる?」ということで、普段どのような発信をしているのか、教えてください。
bebe:今Cocodaさんと一緒に発信しているのは、実際コムデがどのような取り組みをしているか、というところ。特に、外からは見えづらいような、一見地味な取り組みを発信しています。
インハウスのデザイナーの活動って、ただものをつくるだけではなく、仕組みづくりや他職種との協働など外からは見えにくいけれど重要なことがあると思うんです。例えばこちらの記事。
コムデは普段他部署から制作依頼を受けていますが、依頼しやすく、そしてこちらとしても管理しやすい仕組みをメンバーのsamemaruさんが作ってくれました。ただデザインをするだけではなく、効率的な仕組みを設計するという裏側の部分をよく発信していますね。
加藤:samemaruさんのコンテンツはとても印象的です。こんな形で試行錯誤の生々しい部分を出していただき、実際に反響も大きかったですもんね。
関口:Cocodaさん的にこういう特徴の発信ってどう思われますか?
加藤:デザインチームにおける発信って、対象が最終成果物になっていることが多いと思っています。「こんなもの作りました!」のような。
もちろんそれもいいんですけど、bebeさんの言う通り業務でやっているのはそこだけじゃない。華々しい部分もたくさんあるはずなのに、こうやって地味なように見えてとても重要な裏側部分をコツコツ出していくのは硬派でかっこいいなといつも思っています。
関口:それは大変ありがたいですね。
bebe:そういう発信をどのようにやっているかというと、こちらのMiroです。
まず最初に、コムデの全員で集まってそこに広報のたけべさんとCocodaの加藤さんにも来てもらって、発信するテーマをブレストしました。このMiroはめちゃくちゃごちゃごちゃしてますけど、最初は付箋を整列させただけのシンプルなMiroだったんです。
関口:これ僕も覚えてます。ブレストしていくうちに付箋同士に線を入れていったり、スタンプやコメントを入れていった結果こんなにやんちゃなMiroが誕生した(笑)。
加藤:僕もこれ覚えてるんですけど、初めましての方が多いなか僕自身も楽しかったです。たけべさん的にはどうでしたか?
たけべ:私もコムデに入れるなら入りたい、と思いました(笑)。そう思うくらい本当にチームの雰囲気がよくて。「自分たちをよく見せよう」「いいものを出そう」という意識だったら、多分ここまでの数は出なかったんじゃないか、と思うんです。自分たちの業務の日頃の様子を出そうという考えだったからああいう場になったんでしょうね。
bebe:それはたしかにそうですね。テーマ案を出すハードルが低かったと思います。
関口:最初のテーマ出しをする前に、コムデの発信方針を決めた記憶があります。コムデがチームとして大切にしていることを言語化したんです。そこで「一見地味だけど大切にしていること」を出していこうという方針を決めたので、全員認識が揃ったうえでブレストできたんだと思います。
たけべ:実は私はかねてからbebeさんに「こういう内容を出したらいいと思いますよ」と伝えていたんです。でも「いやいやたけべさんはそう言いますけど...」みたいな謙虚なリアクションでなかなか実行に移せなかった。Cocodaさんに入ってもらって、客観的な目線がより強まったことで、実際の発信に繋がったと思います。
関口:客観的視点というのは、発信苦手な僕らにとって「あ、これ出していいんだ」ってなるのでありがたいですね。
bebe:たけべさん、その節は(笑)。
そして、テーマが決まった後は加藤さんにインタビュー形式で取り組みについてヒアリングをしてもらっているんですけど、こんな雰囲気でやってます。
取り組みの生々しい部分を発信するために、こうやって実際の企画書などの設計部分の素材を貼りながら、加藤さんに話を聞いてもらっています。
加藤:コムデのいろんなメンバーに今までヒアリングさせていただいてきたのですが、毎回たくさん素材を出していただいて、コンテンツ作成時に困ることがなくて助かってます。
関口:なるべく内情がわかるように、とりあえずそのままを見せちゃえ!と思ってやっていますね。
「今でも発信が苦手」なコムデチームが発信を続けられているワケ
加藤:次の質問に移りたいと思います。SmartHR社自体は発信が盛んなイメージがあるのですが、当初コムデにその文化はあったんですか?
bebe:おっしゃる通り、会社にはあります。コムデでいうと「発信が当たり前」という意識が全社に染み付いているので、無意識的に「やらねば」と思いつつなかなかできてなかった、という感じですね。最初に発信が苦手「だった」と紹介を受けましたが、実は今も苦手です(笑)。
でもコムデについて世の中になんとか発信しないと、そもそも人が来てくれなかったり、応募があっても面接でお話しをしたらズレがあったりなど、チームをつくっていくうえで発信は重要だとずっと思っていました。先ほどからお話ししている「地味だけど大切な部分」に共感してもらい、早い段階で応募者とイメージをすり合わせるためにも、ですね。
ここからは余談で、こちらは僕が入社したてのタイミングで書いた記事です。
SmartHR1周年のタイミングでインフォグラフィックスの作成を担当したんですね。その裏側を記事にまとめて発信することになったんです。前職を含めこれまで仕事のことを発信したことがなかったので、書くのにめちゃくちゃ苦労して、締切にも間に合いそうになくて、全然ダメだけど一旦出そう、って思い一回提出して。その時に代表の宮田が僕の席に近づいてきて、「絶対怒られる...」と思って構えてたら「こういう感じで書いたらいいんじゃない?」とアドバイスをくれました。「こうしなきゃダメだ」とかじゃなくて、いい状態へポジティブに進めていくためのマインドで、予想していたFBとは真逆に優しくしてもらって。
そのギャップに驚いて、それまでのストレスも相まって、どういうわけか泣いてしまったんです(笑)。大の大人がオフィスで泣いてるぞと社内がざわついてしまって。さすがにその時と比べて発信することに慣れてはきましたが、発信そのものに対する苦手意識は根底に残っていますね。
関口:このエピソード何回聞いてもインパクトある(笑)。
コムデ全体でいうと、一部発信が得意なメンバーもいますが、全体としては苦手意識のほうが強いんじゃないでしょうか。でも全社の発信文化には乗っていきたいという気持ちがあります。そこをCocodaさんにサポートしてもらっている、といった感じですかね。
最近コムデの新しい試みとして、有志のメンバーがPodcastを始めています。「書くのは苦手だけど、話すのならいけそう」ということで始まったものなんですけど、こんな感じでできるところから広げていっています。
加藤:僕それ毎回聞いてます!できることからやっていくっていうのはとても大事ですよね。
bebe:たけべさんの協力も大きいなと思います。Cocoda加藤さんもそうですけど、コムデに発信の勇気をくれると言いますか、「これ絶対出したほうがいいですよ!」と客観的に意見をくれるのはとてもありがたいですね。ドヤりたいわけじゃないけど、周囲から見たらどこが知りたい内容なのか自分たちでは判断しづらい部分もあって。発信は苦手だけど「出してみるか」っていう気持ちになります。発信を継続できている大きな要因の一つです。
たけべ:それは大変ありがたいですね。私、コムデのファンなんです(笑)。世の中に自慢したいというファン目線で意見を出させてもらっています。
孤独を感じないから、発信し続けられる
加藤:素敵な関係性...!
また、コムデを見ていて特徴的だと感じるのが「レビューの仕方」。例えばこちら。
「確認済み」や「ありがたや」のスタンプなど、ライトな印象を受けます。あとはGoogleドキュメントに少しコメントするくらい。何か意識されていることはあるんですか?
関口:書き手へのリスペクトが大切だと思っています。レビューする側が文章をまるっと変えるというよりは、「これいいよね」「ここ少し変えたらどうかな?」と、主役である書き手を尊重しつつ、みんなで一緒にいいものをつくり上げることを意識しています。
bebe:僕はレビューする側もされる側も経験しているんですけど、する側の意識としては関口さんと同じですね。される側としては、レビューをとてもありがたいと思っていて、やっぱり自分なりに内容や表現を決めても客観的な目線はほしいんですね。みんなの目線を挟むことで、コンテンツを磨いていく。「自分一人で書いている」という意識がなく、孤独を感じません。それが発信のしやすさに繋がっているように思います。
関口:僕も、いちおうチーム内では比較的年長者ではあるんですが、自分が書いてすっと共有すると、気づいたらみんなすっとコメントをくれる。チーム全体でレビューに前向きな風土はありますね。
たけべ:私がドキュメントに入るのが少し遅れると、コムデメンバーがもうみんなで丁寧なレビューをし終えていて、「もう私することないな」みたいなときもありますね(笑)。
加藤:素晴らしい風土ですね。あと僕が普段からよく思うのは、たけべさんの広報レビューにポジティブなものが多いということ。「これは出しちゃだめです」ってほとんど聞いたことがない。広報チェックって厳しそうなイメージがあるので、とても印象に残っています。たけべさんはレビューをする時に意識されていることってあるんですか?
たけべ:コムデメンバーが傷つくことだけは防ぎたいと思っています。間違った情報出しちゃったり、誤解をまねく表現しちゃったりは避けたい、そこのセーフティネットのような存在になれたらいいなと。でもそれ以外の部分で、めちゃくちゃ文章を修正するとか、綺麗にする必要はないと思っています。
加藤:なるほど。bebeさんはマネージャーとしてどのような視点でレビュー入れているんですか?
bebe:あまり立場は意識したことないかもしれません。いち読み手として意見を言うだけで、レビューを取り入れるかどうかは書き手の人が取捨選択してください、というスタンスですかね。
多面的なコムデの取り組みを発信していきたい
加藤:最後の質問に移らせてください。今後コムデとしてどういうことを発信していきたいですか?
bebe:最近コムデ内の役割が多様化してきていて、例えば関口さんはコミュニケーションディレクターで、他にも動画ディレクターなど様々な職種の割合が増えてきました。
また、まだ関わりたてではあるのですが、オフィスの内装にも関わり始めたりもしています。リソースが足りず今まではできなかったような多面的な取り組みが徐々に進んでいるので、そういった内容も発信していきたいと思っています。
また、これも絶賛着手中ではあるのですが、全社横断の制作フローの改善の取り組みについても発信していきたいです。戦略や企画の設計から他職種とどう連携していくかをマーケティングやCS(カスタマーサクセス)といった他チームと話しながら、改善を進めています。
あとは、スライドでもう出ちゃっているんですけど、「安定稼働宣言」を僕たちは今期掲げています。
2021年上期がすごく忙しかったんです。下期はもっと安定的に稼働していきたいと思って、こういう方針を立てました。「早く帰りましょう」といったシンプルなことだけではなくて、他チームとの協働の仕方など、もっと仕事のしやすさを追求していきたいと考えています。
制作職は世間的にも残業が多いイメージを持たれていて、実際に面接でも「徹夜多いんですか?」とよく聞かれます。ちなみに徹夜はありません(笑)。そういう働き方は時代に合ってないと思いますし、残業するなら自分なりの新しいチャレンジや自己研鑽のためのインプットのためにポジティブに残業する、くらいにしたいと思っているんです。
関口:以前からbebeさんとよくコムデの働き方について話してきて、「よりよい働き方のほうがパフォーマンスって出る」という考え方が揃っていました。また、SmartHRって人事・労務系のサービスの会社なので、「働きやすいほうがカッコいい」という考え方を持っています。
ただキックオフでこの「安定稼働宣言」のスライドがいきなり出た時はびっくりしました(笑)。というか爆笑してましたね。実際本気ではあるんですけど、いい意味笑いながら、楽しみながらやっていきたいです。
bebe:働き方の改善の取り組みって地味ですけど、みなさんの参考になりそうだと思うので、ぜひこれも発信していきたいですね。
加藤:素敵な取り組みですね。前提としてSmartHRのコムデチームは各所から制作依頼がばんばん飛んできている、つまり社内の信頼がかなり厚いってことですよね。ちなみにこのスタンプは何なんですか?
関口:安定稼働宣言の一環で、地味であまり取り上げられないけど大変な業務に対して、みんなにもっと知られるべきと思ったものに僕がつけるようのスタンプです。透明活動と呼ばれています。というか勝手にやっています(笑)。
加藤:なるほど(笑)。早速動き出しているんですね。ぜひこの取り組みも一緒に発信していきたいです!お三方、本日はありがとうございました!
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いかがでしたでしょうか?
SmartHRのみなさんに、実際に使用しているMiroを出してもらい、発信の取り組みについて解像度高くお話いただきました。
DESIGN TEAM INSIDEは、これからもさまざまなデザインチームのお方をお呼びしてチームの裏側を赤裸々にお話いただく予定です。ぜひ次回以降もご参加ください!
今回DESIGN TEAM INSIDEにご参加してくれたSmartHRコミュニケーショングループは、現在メンバーを募集しています。
興味ある方は以下をご覧ください!
▼募集要項
▼オリエンテーション資料
また、Cocodaでは今回ご紹介した取り組みのように、様々なデザインチームの情報発信をご支援させていただいています。詳しくは以下のサービスサイトをご覧ください!
▼企業様向けCocodaサービスサイト