
ドッグフード・キャットフードの闇
最近流行りのドッグフード・キャットフード
ドッグフードやキャットフードを選ぶとき、パッケージに並ぶ「無添加」「ヒューマングレード」「オーガニック」といった魅力的な文字が飛び込んできませんか?
しかし、それらの言葉に隠された真実や、実際の製造方法について深く考えたことはありますか?
ここではドライフードの製造工程と、「無添加」「ヒューマングレード」「オーガニック」と書かれたフードの食材について掘り下げ、ペットの健康を考える上で知っておきたい真実を、7年に渡り完全無添加オーガニックドライフード、トリーツを販売してきた経験からお伝えします。
最近は添加物を使用しないドッグフードやキャットフード、トリーツなどが増えて来ました。
食品添加物無添加、ヒューマングレード、オーガニックなどの魅力的な文字がパッケージに並び、つい安心して手が伸びますよね。
完全無添加で製造してきた経験からお話しすると、食品添加物不使用…この部分は製造法により可能です。
ではヒューマングレード、オーガニックは果たして本当だろうか?
「材料にこだわった無添加、国産ドッグ・キャットフード」、ヒューマングレードやオーガニックなどの高級食材を使用して、本当に作ることができるのか?
パッケージに書かれていることが本当か、コスト的に製造が可能かについてお話ししたいと思います。
ドライフードの製造法を知ろう
一般的にドッグフードは専用の大きな釜のような装置で焼き上げられます。
まず、材料をカットし、蒸すなどの下処理を終えた後、すべての材料を練り込んで成形機で形を整えます。その後、230~260度以上の高温で焼き、更に水分含有率が10%以下になるまでローストし、硬さを保ったフードが完成します。
ドライフードの色はなぜ茶色?
ドッグフードの色は焼けた色で、材料自体が初めから茶色な訳ではありません。
イメージするならミートボールを油で揚げた時のあの茶色。
でもミートボールは家庭調理で170度ほどの油で揚げても中まで茶色にはなりません。
食材にこだわった良いフードであればあるほど、お肉やお魚、野菜も様々入っているでしょうし食材の色が残るはずですが、出来上がりはどのメーカーのフードもほぼ同じような茶色です。
これは中を割って見ても同じ色… それだけ高温で中まで均等に高熱を加えると言うことです。
それによって雑菌などが死滅するので、フードに何らかの菌が付着して食中毒…などという話もまずドッグフードでは起きないです。
フードが入っていたパッケージを開封した後、再度しっかり密閉せずにそのまま適当に封をして室温で放置しても、ほとんどカビが生えたり劣化することはなく購入時の状態を維持しています。
まさに高温製造による保存性に優れた茶色のドライフードです。
低温乾燥ドッグフードの真実
本来自然の食材から十分に栄養を摂取出来るように私たち人間も犬猫の体も出来ています。
高過ぎる温度を加えなければ、調理で失われてしまう部分はあったとしても多くの栄養は残り、サプリを必要以上に添加することはしなくて良いのです。
一般的なドライフードの仕上げには100度以上の熱風で乾燥させた後、食いつきを良くする為のオイルを噴霧します。
最近の「こだわり国産ドッグ・キャットフード」を製造しているメーカーは、この100度以上の熱風乾燥の部分を、70度程度の低い温度に設定し、うちのドッグフードは「こだわりの低温乾燥」と謳っています。
水分を10%以下に下げるまでローストする熱風は低いにこしたことはないのですが、その前の工程で230度~260度で焼いているのですから、栄養面を考えるとすでに変性、破壊が起きていることは否めません。
遺伝毒性、神経毒性を持つ発がん性物質の発生リスク!
上記のように市販のドッグフードは材料を練り込んで油脂を入れて焼きますが、これを230度~260度の高温で焼いた時に有毒物質が発生します。 これは「アクリルアミド」という発がん性物質で、原材料が持つアミノ酸(たんぱく質)と糖類(炭水化物)が、揚げる、焼く、煎るなど120度以上の高温調理により化学反応を起こすことで発生することが分かっています。
「アクリルアミド」は調理温度が120度を超えると急激に発生率が高まります。
100度前後の茹でる、蒸すの調理では、あまり発生しないことが分っています。
人が食べる物でも同じように「アクリルアミド」は発生し、高温調理のジャガイモや小麦を使用している焼き菓子、シリアルなどの穀類加工品、珈琲やほうじ茶などの高温焙煎された茶葉、天ぷらやフライ、パン(特に高温で焼くフランスパン)、ケーキのスポンジ、フライドポテトなどが特に発生率が高いといわれています。
冷蔵庫などで寝かせたジャガイモは特に糖質が高く、この糖質によって更に濃度が高まることが知られています。
2002年にスエーデンで発表され、2005年にはWHOが含有量を減らすべきと勧告を発し、腎臓癌のリスクが高まることや、2014年には「遺伝毒性、神経毒性を持つ発がん性物質」であると言うことが分っています。
農林水産省で調べると、食材別「アクリルアミド」の発生率(含有率)が書かれています。
危険であるにも関わらず、昔のように煮る、蒸すなどの調理よりも、フライパンを用いて焼く、高温で揚げるなどの調理が増えてた現代において、その危険性を周知して「明日から揚げ物禁止」と言ったところで、すぐに改善することは難しいかもしれませんが、人間の場合は毎日揚げ物、毎食フライを食べるわけではなく、他の調理法で作った物も食べますし、毎日毎食茶色のシリアルを食べ続ける人はいませんから、犬猫よりも摂取率で言えば低くなると考えられます。
市販のドライフードは製造方法がどれもほぼ同じ!
以上のことから、いずれのドッグフードも製造方法に大きな違いはなく「アクリルアミド」という発がん性物質含有のフードと考えた方が良いのです。
材料にジャガイモが使用されている物は注意が必要です。
大手のメーカーは、短時間で大量のドッグフードを製造します。
それは経費の節約であり、同じ物を8時間かけて作るのか、1時間で作るのかでは、もちろん製造単価が変わって来ます。
しかし早く作るという事は、それだけ高温で調理されているという事です。
無添加、オーガニックなどの吟味されたこだわりの材料使用と謳われていたしても、調理方法で失われる栄養と高温調理による発がん性物質「アクリルアミド」を含んだフードであることを知っておく必要があります。
廃棄食材の闇
次に「ヒューマングレード、オーガニック」食材についてです。
私が販売してきたドライフードはオーガニックの野菜を乾燥し消化吸収を考えてパウダー状にした物で、70度以上の熱で乾燥しない、野菜は100度以下で茹でる、蒸すを徹底した製造で、もちろんヒューマングレードです。
オーガニックの野菜は北海道の農家さんから仕入れて製造していました。
この商品の使用法は白米やお肉などはご家族に準備していただき、栄養が偏らないように添加する「栄養補助食品」のような役割です。
以前計算したことがあるのですが、白米やお肉などを入れて市販のドッグフードの状態で販売するとなると、3㎏入り1パック29,000円ほどになりました。
これはYouTubeでドッグフードを解説しているチャンネルの方も同じような金額を出して話されていたのでほぼ間違いない金額です。
3キロのフードを作るためには15キロほどの材料が必要になります。
特に野菜は乾燥することでその重さが8分の1~10分の1に減ってしまいますし、お肉なども4分の1以上に軽くなるので15キロほどで3キロのドライフードしか出来ません。
その他、機械を動かすための電気代や、工場などを借りていればそれらの費用、そこに人件費などを加えると、こだわり食材の「ヒューマングレード、オーガニック」のフードはおおよそ価格3万円ほどになります。
ではどうして市販のドッグフードが数千円程度で販売可能なのか?
大量の食材を短時間でつくるからか?
それでも作業が増えれば増えるほど、たくさんの人手も必要になります。
そこで考えられるのは食材を削るということ。
ドッグフードを安価にするからくりは食材を安く仕入れることに他なりません。
ではヒューマングレードは本当かを鶏肉で説明したいと思います。
養鶏場でもスーパーでも売れ残ったお肉は冷凍庫に保管されます。
養鶏場でお肉になった時すぐに冷凍し各スーパーなどへ配送、スーパーでは届いたお肉を解凍しパッケージします。ここで消費期限ギリギリまで棚に並びますが、値引きをしても売れ残ったお肉は再度冷凍されます。
値引きシールが貼られた時点でお肉のドリップが発生し、このドリップに旨味や栄養が多く含まれていますので、再冷凍したお肉はかなり味が落ちてしまいます。
こうして残ったお肉が数百キロ、数千キロになり冷凍保管しておいても捌けない、冷凍期間が長くなって冷凍焼けし、一般に(人間用)販売することができなくなったお肉をとても安く引き取る業者がいます。
その業者はそのようなお肉を全国から仕入れて、まとめて安価で販売します。
まとめて冷蔵保管するので産地はすでに分からなくなりますが国産鶏である、冷凍保存が長く解凍、また冷凍を繰り返すことで鮮度や栄養、味が落ちてしまった鶏肉でも「元はヒューマングレード、国産」となるわけです。
この他にも卵を産まなくなった親鶏や、内臓を壊して食べられなくなったなどの病気が原因で処分される「廃鶏」が専門に買取されます。
オーガニックの野菜なども、売れずに廃棄処分される野菜を専門に引き取っていく業者がいます。
これらが安さのからくりで、徹底して安く食材を仕入、これらのルートがなければ3㎏数千円のフードは存在しないと言えます。
カサ増し食材
ヒューマングレード、オーガニックについてお話ししましたが、他にも食材を乾燥することで軽くなってしまう量を重くするために、「かさ増し食材」が使用されているのはご存じでしょうか?
中でも有名なのはミートミール、お肉の脂分を取り除き乾燥、粉末にしたもの、フェザーミールは鶏の羽をローストして粉末にしたもの、ボーンミールも存在し、詳しい動物の種類や内容が表記されていないものも存在します。
ミートミールには血液、毛、ひづめ、角、皮、糞尿、胃および第一胃の内容物が含まれるとされ、以前4D ミート(Dead:死亡、Diseased:病気、Dying:瀕死、Disabled:障害)の使用が問題視されました。
他にはトウモロコシ粉(コーングルテン)やビートパルプ、ビール酵母などが使用されているフードが多いです。
まとめ
このように食品添加物が使用されなくても、調理方法で発生してしまう発がん性物質「アクリルアミド」を多くのドライフードは含有しているという事実をお話してきました。
これは大量生産では避けられないことですが安く早く作る『ツケ』はこんなところに出てきます。
ドライフードの原材料に多くのビタミンやミネラルなどが書かれていると、たくさんの栄養が摂れるような気がして安心していませんか…
文字の羅列は高温で製造することで失われるたくさんの栄養を補うための、ケミカルビタミンやミネラルなどの名称です。
これは低温調理を一貫して取り入れているフードであれば、入れる必要のないものです。
製造しているメーカーも、高温で焼いて乾燥することで失われる栄養が多い事を知っているので、欠くことが出来ない栄養素がたくさんパッケージに書かれているという真実です。
そしてそれらを選ぶことは毎日の食事で発がん性物質やケミカルビタミンなどを毎食1日も欠くことなく愛犬愛猫に摂取させていることになります。

動物の体は機械ではなく自然の一部です。
可能な限り自然に近い形で栄養を摂取できるフードを選ぶことが大切です。
家族(犬猫)の健康のために、食事についてもう一度考えてみませんか?