見出し画像

✦ハノイ✦果物✦エキゾチックフルーツのキング✦

✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧2024.秋

ノイバイ空港からホテルに到着。チェックインしてまずは両替に行こう!という流れだったはずが、S姉さんとAちゃんはあっという間に雑貨屋へ。

10年以上ぶりのハノイ旧市街。かつてはバイク移動が主だったため、店から店へ歩くという感覚は馴染みがなく、懐かしさとぎこちなさと新鮮な気もちが入り混じる。つづいて楽器屋に興味津々で入り、次はある売り場で時が止まる。

「タベタイ」

「タベタイ」。と聞こえたのは気のせいか?両替前にそれを食べようという順番が逆行していることよりも、まさかのそのチョイスに、私の小さな心臓に衝撃が走る。

「タベタイ」

また聞こえてきた。気のせいでありますようにという願いも虚しく数秒後には現実を理解する。二人の目は大阪御堂筋のイルミネーションを凌ぐほど輝きながら、それを見つめているからだ。

それはドリアン。相場も分からないし、交渉の感覚も完全に鈍っている。なによりもドリアンとの再会がよろこべない複雑な気分の私。

旧市街のドリアン Sầu Riêng(ドリアン)

✦結果1:値札そのままで購入(3人で食べれるような3つの果肉が入っているのを選ぶ。14万ドン)
✦結果2:想定外の反応(歓喜にみちている)

私にとって、ドリアンは矛盾の果物。食べる前は抵抗があるのに、口にすればおいしい。毎回変わらない。やや水分の少ないドリアンを味わいながら、ホーチミンの濃厚なバタークリームのような食感を思い出す。あれを二人が食したらどんな反応をするだろうと考えながら両替所に向かう。でも4本の足はあちこちの店や路上に引き寄せられ、目的地は一向に近づかない。

今思うと、両替前のドリアン事件はほんのプロローグだった。ローカルグルメを味わい、歩道の息づかいを感じ、市場のざわめきまで楽しめるお二人のメンタルを、当時の私はまだキャッチできていなかった。

✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧