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✦ハノイ✦食堂✦ひと皿に凝縮したローカルフード✦

✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧2024.秋

マッサージ開始まであと30分。最終日の風に吹かれながらまだ食べていないバインミーかちょっと食べられる麺を探して歩いたけれど、見当たらず。(Aちゃんは「あの卵が食べたい」とつぶやく。それは孵化したアヒル卵だけれど、その卵への深い愛情話はまた別の機会に)

でもS姉さんもAちゃんも、観光客向けのお店に目をむけるなんて甘い選択はしない。選んだのは、外国人ゼロのディープスポット、その名も「コムビンザン」。コムビンザンか。なつかしい。ハノイにいた頃は何度も通ったけど、徐々に行かなくなった記憶もあり、最後がいつか思い出せない。10年以上にはなるのかも。

Quán Bà Định Béo (バ・ディン・ベオ食堂)ぽっちゃりディンおばさん食堂?

コムビンザンは、大衆食堂や定食屋と言われる。店頭に並ぶたくさんのおかずから好みのものを選び、ご飯と一緒に食べる。特徴は、一皿に凝縮されたローカルフード。時短・効率優先で回転が早い、実用的スタイル。大聖堂の近くなのだけど、店内には地元の人々だけが…。観光客で賑わう通りの喧騒を横目に足を踏み入れる。

メニューはなく(もちろん英語メニューもない)、衛生面も本場のベトナム仕様(それでも昔に比べればかなりきれいになっています)。店内からは、ベトナムの人たちが好奇の目でこちらを見つめ「外国人」と言っている。そんなことは気にせず、S姉さんとAちゃんはハンターのように真剣に人差し指で、おかずをさしている。二人の鉄の胃腸とメンタルは、ハノイというかベトナムのすべてを受け入れる力を持っているのです。

35,000ドン(スープつき)。これはかなり少な目にご飯をいれてもらってる。

① 白ごはん:Cơm trắng(コム チャン)
② 空心菜の炒め物:Rau muống xào tỏi(ザウ ムオン サオ トイ)
③ 豚肉の角煮と卵:Thịt kho trứng(ティット コー チュン)。豚肉と卵をヌックマムと砂糖で煮込むと、甘じょっぱくてコク深い煮汁ができるようで、これをご飯にかければ、口の中でハッピービートが止まらない。
★私が普段接しているベトナムの人もこの料理をよく作っている。ヌックマムの発酵の香りと砂糖の甘みが見事に融合して、煮込み以上の煮込み料理だ。なんていうのかな独特の香りと深みと甘みです。主役は、お肉や卵ではなく煮汁と私は思っている。
④ ラーロットの葉巻ミニハンバーグ:Chả lá lốt(チャー ラー ロット)
⑤ スープ:Canh rau(カイン ザウ)

S姉さんとAちゃんが最初にオーダーしたのは、写真右上の茶色がかった緑色④Chả lá lốt(チャー・ラー・ロット)。見た目は地味だけど味は主役級。胡椒のような不思議な香りの葉っぱ、Lá lốt(ラー・ロット)で、小さなハンバーグをクルクル巻いて焼いている。地味でインパクトある存在感。

食事をしていると若い男の子がふらっと現れて、「Có món gì lạ không?(何か変わったおかずがある?)」と食堂のおばさんに問いかける。2~3回ほどやりとりを交わした後、彼は何も買わずに立ち去った。おばさんも平気な顔。まるで短編映画の一コマのようだった。

実をいうと、私は躊躇しながら足を踏み入れた。歳を重ねて慎重派になったのか、偏食が進行しているのか、それとも単純に食への興味が枯れてきたのか(いずれにしても切ない話です)。

結果:しっかり完食。しかも③の煮汁をおかわりしている。

✦Quán Bà Định Béo (バ・ディン・ベオ食堂)
✦住所:Ngõ Huyện, Hàng Trống, Hoàn Kiếm, Hà Nội, Vietnam
✦ハノイ、ホアンキエム、ハンチョン街、ゴーフエン小路(番地不明)

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