冬眠?
師走など名ばかり……
若い頃はそんなことを思っていた。
12月になって年末になっても忙しいのは周りだけで、なんとなく感覚的にはせわしないのだけど実際には全くいつもと変わらない、というのが若い時の日常だった。
そのイメージが強いので最近でもそんなふうに考えてしまうのだけど、結婚して子供ができて自分の家庭を持つようになると年の瀬は本当に忙しい。なんでこんなに忙しいのだろうと思って振り返ってみる。
確かに忙しい。
まずは仕事。
年末になったら調子を崩す高齢者が多いのでケアマネジャーはサービス調整に忙しい。
定期の訪問を終えて、支援経過も書いて、そして介護保険の認定更新の申請も無事に行い、認定調査もこなして、仕事は順調に終わったと思いきや……だ。
『調子が悪くなったのでヘルパーを手配してください』
ええ……
もう勘弁してほしいのだけど、仕方ない。
がんばって手配する。
その間は通常業務はストップする。
そして手配が無事に終わった頃にはだいぶん時間が経っているがやることは多く残っている。
『思ってたんと違う……忙しい』
と……なるわけである。
そしてプライベート。
年末が近くなると冬休みも近い。
子供のことであれこれ動かなければならないのだ。
個人面談があったりもするので学校にも行かなくちゃならない。
まあ、それ自体は楽しいのでいいのだけど、それでもやっぱり時間はとられるのである。
また息子の場合はボクに似て自主的に勉強をすることをしない。
冬休みが近づくということは必然的に学校への宿題などの提出物も増えるのだ。
それらをすべてほったらかしにして遊びにいくものだから夜の時間は宿題の手伝いをしなくてはならないのである。
『大丈夫だよ。ボクが先生に頭を下げればいいんだから』
どこで覚えたんだかそんな言葉を使い、巧みに勉強を回避しようとする息子。
台所から感じる鬼のようなかみさんの視線をかいくぐりながらボクは息子に言う。
『いや、謝るより前に言われたことをちゃんとやるという意識を持とうよ』
『わかった』
『おお。分かってくれたか。じゃあ一緒に宿題を片付けよう』
『その前にお父さん、ちょっと聞いていい?』
『なんだ?』
『意識って何?』
このように息子のモチベーションを上げるのは難しく、さらにはそもそもボクも勉強などはそんなに好きではない方なので、こちらのモチベーションも上がらない。なんだかんだ真面目に勉強に取り組めばよいのに、ボクも一緒になって息子と遊んでしまう。
結局、遅々として進まない宿題を前にかみさんの雷が落ちるのは時間の問題なのである。
年末が忙しくなる要因の最後の理由として、季節が冬になったということが考えられる。
とにかく朝が暗くて寒い。
一応、早朝には目が覚めるのだけど……暗いし寒い。
トイレに行ったらまた布団に潜り込みたくなる。
結局、夜明けが来るまでボクは布団の中で眠っている。
日が上がってきて、夜明けが来るのは、年末のこの時期は大体、6時30分ごろである。
寒くない時期にはしっかり5時から5時半ぐらいには起きて何らかの作業……まあ、主にエッセイを書いたり、ノべプラの他の作家さんの作品を読んでいたりしていたのだけど、寒くなるとその時間がまるっと睡眠に当てられてしまうので、忙しく執筆の時間がとれなくなってしまうのである。
いやいや……
これって自分の意識の持ちようではないか?
そう思うのだけど、暗いし寒いし、眠いものは仕方ない。
そんなわけで冬眠中の低浮上をご容赦下さい。