アニメ「正解するカド」
ものすごく深い内容、無駄なく間延びしない構成、納得のラスト。
珠玉のアニメだと断言したい。
主人公は日本屈指の交渉官。
成田空港に突如謎の物体「カド」が出現し、別次元の技術を持った宇宙人のような存在が降り立つ。
彼は人類に対し、現時点でのオーバーテクノロジーである夢の装置を次々と提供し始める。
それを受け取った時の人々の反応。
いくつもの問題を解決し、幸福になれるはずの装置に対しての国家間の思惑。
圧倒的すぎるほどの「進歩」に世界はどうなってしまうのか。
それを与える謎の生命体ヤハクィ・ザシュミナの真意とはーーー。
しのはらの好みである「専門用語」や普段あまり耳にしないような「難解な言葉」がテンポよく飛び交う会話が非常に多く、知的好奇心や探究心をくすぐられる作品だった。
しかし魅力はそれだけではない。
まるでドラえもんの道具のような非現実的に便利なものがこの世界に公に与えられた時に起こる人と人、国と国との「摩擦」。それが実にリアルに描かれている。
脈々と歴史から学び続けてきた人類だが、ヤハクィ・ザシュミナが放った言葉
「国家が正常に機能していない。暴走している。」
これには心底的を得ていると得心させられてしまった。
人類よりも圧倒的に情報をもち、違う視点から客観的にものを言う彼の言葉には常に説得力があり刺激的だった。
そんな、いわゆる我々よりも「高次元」にいるヤハクィ・ザシュミナの欲求も、しっかり納得のいくものであり
まさに1ミリも無駄なものはなく、なおかつ誰もが腑に落ちるであろうゴールがこの作品にはあった。(難解であることに変わりはないが...)
まるで宇宙のように広大な風呂敷を、途中で舌打ちをして投げ出すことなく、丁寧にしっかりとたたんでくれた。
濃密で豊富な情報量と、緻密に作り込まれた世界観で思い浮かべたのは今も語り継がれる不朽作「攻殻機動隊」
見事な伏線の回収で連想させられたのは比類なき名作「シュタインズゲート」
この二作品が好みの方ならきっと後悔はさせません。
ここまで読んで頂けた未視聴の方はぜひご覧になってみてください。
お付き合い頂きありがとうございます。