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【病理】日光角化症〜Bowenoid type AK〜

病理組織学的所見

<病変の全体構築>

角層のPink &Blue sign
・・・Pinkは錯角化、Blueは正過角化に対応。毛包部では時に錯角化がない。
表皮内に裂隙形成(表皮下層と中層の間)
真皮上層にsolar elastosis

<腫瘍細胞の形態・分化>

表皮下層を中心に大型の核を有する異型角化細胞が増加し、時に表皮から蕾状に腫瘍細胞が増殖する
混み合った核(crowded nuclei)がみられる

<その他>

初期は付属器を避けて腫瘍細胞が増生するのを反映して、Pink &Blue signがみられるが、比較的早期に付属器上皮の基底層に沿って腫瘍細胞の浸潤がみられるようになる。
・・・異型ケラチノサイトが増殖する部分の角層は不全角化(Pink)。付属器に相当する部分は正角化(Blue)。

<鑑別疾患>

・有棘細胞癌:真皮網状層に異型角化細胞が浸潤する
・Bowen病:表皮内に散在性に異型角化細胞が増殖する
初期病変あるいは病変辺縁では、腫瘍細胞が表皮内で散在性に分布。表皮の最下層に小型の核を持つ細胞が1列配列している。

Bowen病とbowenoid type AKの鑑別

AKで表皮全層に腫瘍細胞が増生すると、"bowenoid type"と呼ばれる。

Bowen病とbowenoid type AKは本質的差異はない可能性が高いが、
それぞれ腫瘍細胞の増殖の仕方が異なる。

  • Bowen病は表皮内に散在性に増殖することが多く、基底層の細胞に異型性が認められないとされる。solar elastosisはほとんどない。

  • AKは表皮下層より増殖し、真皮内にsolar elastosisがみられる。

ただ、Bowen病とbowenoid type AKは鑑別困難のこともある。

日光角化症の組織学的な定義は、
日光曝露部に発生するという原因論と、
異型細胞が表皮内で基底層に限局するという病理所見が組み合わさっている。
bowenoid type AKは「日光曝露部に発生したBowen病」でも良いし、
「日光角化症のBowen型」と見なしても良い。
表皮内の組織像はBowen病と同じであり、全層性の異型細胞浸潤、clumping cells、異常角化細胞の出現、表皮内付属器の破壊など。
真皮内には高度のsolar elastosisを伴う。
もし、生検などで表層部しか採取されていなかったらそれがBowen病かbowenoid type AKであるのかわからない。

みき先生の皮膚病理診断ABC①表皮系病変改訂第二版より

<+α>

臨床的な鱗屑やダーモスコピーでのStrawberry patternは、病理組織のPink&Blue signに対応する。

<臨床>

紅斑型、色素沈着型、疣状型、肥大型に分類される。
錯角化のない病変は、日光角化症と診断することは困難。

参考

臨床医が知っておきたい皮膚病理の見かたのコツ 安齊眞一編 羊土社 p186-189
実践皮膚病理道場 日本皮膚科学会編 医学書院 p6
皮膚病理組織診断学入門 改訂第2版 斎田俊明著 南江堂 p193 
みき先生の皮膚病理診断ABC①表皮系病変改訂第二版 泉美貴 秀潤社 p108,109

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