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睡眠と健康の話

最近、すごく大切にしているものがある。
睡眠だ。

元々、あまり寝ることを重視してこない人生だった。

毎日平気で夜ふかししていたし、睡眠時間が4〜5時間なんてこともザラだった。当然昼間は眠くて眠くて仕方なかったし、仕事中や移動中に信じられないぐらい眠気に襲われることも多々あった。予定のない休日は丸一日寝ていることもあった。

それが普通だと思っていたし、自分は寝なくても大丈夫な体質だと思っていた。全然そんなことはないのに。生活に支障出まくりなのに。愚かである。

昨年、私は人生で最もボロボロな1年を過ごした。仕事のストレスだったり、プライベートが上手く行かなかったり、長引くコロナ禍に精神的に参ってしまっている部分もあった。2021年の始め頃から頭痛や腹痛、吐き気にほぼ毎日悩まされた。でも、元々片頭痛持ちだし、お腹も弱いし…と、余り気にしないようにしていた。

春になって、少し元気になってきたが、気温が上がると共に再び調子を崩し始めた。梅雨時は湿気にもやられ、とにかく毎日体調不良。精神的にも不安定になることが増え、よくわからないことでイライラし、悲観的になり、泣くこともあった。職場では元気なのに、通勤電車がとにかく辛かった。電車に乗ると息苦しくなり、お腹が痛くなり、吐き気がした。休日に電車に乗る際も、同じようなことが起きるようになった。

元々暑さには弱かったが、昨年は本当に耐えられなかった。外を少し歩くだけで汗だくになり、その癖冷房の効いた室内ではガタガタ震えていた。酷い熱中症なんだろうと思い、ひたすら水分を取り続けたが、一向に良くならなかった。

その頃から、あまり眠れないようになった。寝付きの良さが自慢だったのに、布団に入っても全然眠れない。寝たと思ったら夜中に何度も目が覚める。起きる時間よりずっと早く目が覚めてしまう。そんな毎日が続いた。また今日も眠れないのかと思うと、夜が来るのが怖くなった。

気がついたら完全に心も体もバランスが取れなくなっていた。異常にマイナス思考になり、いよいよ不味いと気がつき、明け方に半泣きで病院に行こうと思った。朝になっても気分は優れず、父が運転する車に乗り、縋るように近所の病院に行った。子供の頃から知っている先生に、自分の状況を半泣きでぶちまけた。自分がどうなっているのかわからず、とにかく怖かった。外に出るのが怖い、電車に乗るのが怖い、なんでこんなことが怖いのかわからない。自分が大変な病気なのかもしれないと感じて怖い。そう話す私に、先生は穏やかに告げた。

「急に暑くなったから、体がついていけてないんだね。疲れも溜まってるんだと思う。とにかく無理はせず、ゆっくりしてください。」

「病院まで来れたのなら大丈夫。でも昔ほど若くはないから、あまり無理したら駄目だよ。これからどんどん歳を重ねれば体調が悪い日は増えるからね。」

念の為血液検査をして、とにかく眠れないのは辛いだろうからと軽い薬をもらって、家に帰った。外に出て太陽の光を浴びたからか、少しだけ気が楽になった気がしていた。ずっと無かった食欲が少しだけ回復し、食事が取れた。薬が効いたのか、久しぶりに夜も眠ることができた。

数日後、血液検査の結果を聞きに行った。先生は笑顔で「何も問題なかったよ」と言った。大きな病気ではないとわかって、ホッとした。

それから、すぐに元気になった訳ではない。夏の間、不安定な状態は続いた。仕事にはなんとか行っていたけれど、休日は基本的に家や近所で過ごした。電車や暑さ、人混みに対する恐怖心はしばらく続き、家に居ても突然不安感に襲われ動けなくなることもあった。何もする気になれず、ひたすらゴロゴロしている日もあった。脳がパンクしそうな感覚があり、スマホもまともに見られなかった。友人と連絡を取ることさえ億劫で、LINEもTwitterもインスタもとにかく視界に入れないようにしていた。実家暮らしで本当に良かった。家族が居てくれたから、どうしようもない精神状態でもなんとか生きていられた。食料品の買い出しに行くから一緒に行こうと連れ出され、少しずつ外に出られるようになった。少しずつ少しずつ、怖いと思う気持ちは減っていった。

秋になり、冬が近付き、少しずつ良くなっていった。友達とも連絡を取り、休日に一人で電車に乗って買い物にも行けるようになった。食欲も戻った。

体調を崩してから、元気になった今でも、とにかく睡眠を重視するようになった。とにかく7時間睡眠を確保することに必死になった。見たいテレビがあっても、友達とLINEで話がしたくても、まずは寝ることを重視した。寝る1時間前には照明を落とし、スマホはできるだけ遠くに追いやった。ランプの光で本を読んだり、ストレッチやヨガをしたり、自分をリラックスさせることに時間をかける。忙しくても、その習慣は継続できるように頑張っている。たっぷり寝た方が格段に体調が良いことに気がついたからである。

振り返れば、結構ヤバい状態だった。何度か病院に行って先生に話を聞いてもらうこともあった。先生は、自分はメンタルの専門ではないから、ちゃんと調べてもらいたいなら専門の病院に行くしかないと言った。きっとそうすれば、何らかの病名がついたことだろう。でも、それは勧められなかった。何らかの病名がついて、たくさんの薬を貰って、治療に専念する方法もあった。薬をたくさん飲めば楽になるかもしれないけれど、薬がないと生活できなくなってしまうこともある。そうなる前にもう少しだけ頑張ってみようと言われた。結果的に、私は少しずつ元気になることができた。今は比較的元通りの生活が送れている。

この先、また同じように体調を崩す日が来るかもしれない。今だって、体調やメンタルが不安定になる日はゼロではない。いつか専門の病院にお世話になる日も来るかもしれない。だからこそ、今はできるだけ自分を大事に、できるだけのんびりリラックスして、睡眠を大事にして、日々の生活を送りたいと思っている。

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