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母からもらったネックレス
ネックレスが欲しい。
ある日突然思ったのは、どうしてだったのか。
元々可愛いものが大好きで、アクセサリーも大好き。
ネックレスも当然好きで、いくつか持ってはいるけれど、着用頻度は少ない。
どちらかと言えば指輪派で、外出時はほぼ必ず着けている。
そもそも私は首周りを締め付けられるのが苦手だ。流行りのタートルネックやハイネックも避けがちになる。(着るけど)
それでも思った。ネックレスが欲しい、と。
SNSでお洒落な女の子達が可愛い服に可愛いネックレスを合わせている姿を見たからだろうか。ミーハー故に、流行り物やみんなが持っている物はすぐに欲しくなる。
とにかく、理由はともあれ欲しい。欲しいものは欲しい。
買うのは決定として、予算は?デザインは?ブランドは?シンプルな一粒ダイヤ、ハイブランドのロゴ、華やかなカラーストーンがたくさん付いたものでもいい。とにかくあれこれ調べまくり、いくつも脳内でリストアップする日々。今月はカードを使いすぎたから、来月にでも実物を見に行こうかな?なんて思っていた。
そんなある夜、布団の中でゴロゴロと転がっていると、突然思い出した。
あれ?私、ディオールのネックレス、持ってなかった?
それは突然、本当に突然のことだった。
遠い昔、数年前?正確な時期は定かではないが、母からネックレスを貰った記憶があった。小さくて華奢なゴールドのネックレス。あれは、確かディオールではなかったか?
その日はそのまま眠りに落ち、次の日は朝から大捜索。
絶対に貰ったはず、小さな巾着に入っていたはず。覚えているのはそれだけだ。ネックレスのデザインすら、ほとんど覚えていない。でも絶対にあるはず。探しても探しても見つからない。ここかな?仕舞うならここだろう?と思った場所、どこにもない。さすがにここにはないよなあ?諦め半分に開いた箱の中に、それはあった。
傷んで色が少し変わってしまったグレーの巾着。これだ!慌ててひっくり返せば、小さくて華奢なディオールのネックレス。ブランドロゴを模したデザインは、最近のものとは少し異なるけれど、小さいながらに存在感があり、とっても可愛い。変なところに何年も放置されていたのに、意外にも状態が良く、普段使いにももってこいだ。
貰った当時、私はまだ幼くて、小さくて華奢なアクセサリーに興味がなかった。とにかくキラキラして華やかなデザインばかりに夢中で、だからそのまま仕舞い込んで忘れてしまっていたのだろう。
でも、今は違う。キラキラしたものも大好きだけど、シンプルで可愛いものも大好き。どんな服にも合わせられるネックレス、欲しくてたまらなかった。そしてディオール!丁度、今、私はディオールが好きだ。憧れのブランド。つい最近、お財布を買ったばかり。こんなに嬉しいことってあるだろうか?
大喜びで母に見せる。母曰く、昔まだ私が幼い頃、父がフランス出張に行った際に母に買ったお土産だったらしい。母は装飾品の類に興味がなくて、結婚指輪以外のアクセサリーは身に着けない。ブランド物も好きではないから、自分と正反対の好みを持つ娘である私に譲ってくれたのだろう。
父から母へのプレゼント。贈られたのは二十年以上も前のこと。
長らく仕舞い込まれていたネックレスは、時を経て、娘の私が所有することになった。
嬉しくて嬉しくて、手に取っては眺めて、ニヤニヤしてしまう。私は装飾品もブランド物も大好きだから、これからたくさん使うからね。どんな服に合わせようかな?なんて考えるだけでも幸せになる。
早く暖かくなって、春になって、一緒におでかけできる日が待ち遠しい。