原始の姿もしくは遺伝子
電車の中や駅のホームで、スマホをいじったり物を食べたり、時には化粧をしたりしている光景を見かけます。
それはそれで別によくあることですし、別にいいのです。
旅に出て駅弁を食べたり、仕事前にメールチェックをしたり、風で乱れた髪を直したり、そういうのは本当に普通の出来事で、なんなら微笑ましかったりします。
そうではなくて、なんだか形容し難いのですが、その様子が「一心不乱」である時、何かに似ているような気がずっとしていました。
最近になって、私が気になると思った時、対象の姿勢というか体勢に、独特の共通点があることに気がつきました。
きまって背中を丸め、腕をだらりと前に垂らすような状態で、首を落とし、顎を突き出す、という姿勢をとっているのです。
もちろん持っているのがスマホだったり鏡だったりで、微妙に腕の角度が違っていたりはします。
けれど、なんとなく皆、何かに似ているのです。
そしてほんの数日前、はたと気がつきました。
テレビなどで見かける、お猿さんが物を食べる姿、あれにそっくりなのです。
一度は見たことがあると思いますが、お猿さんは物を食べている時、本当に集中しています。
長い腕を前に垂らし、背中を丸め、顎を突き出して、食べる。
特に地面に座り込んで足を投げ出してこの姿勢をとり、スマホをいじったりしている姿は、食事中のお猿さんを彷彿とさせます。
決してお行儀が良いとは言えないことばかりですが、そうせずにはいられないのは、それが原始の姿だからかもしれないなと、なぜか納得してしまいました。