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鎌倉を共にしたあなたへ

紫陽花の季節となりましたね。
お元気ですか?
桜や紫陽花、そして紅葉。季節を堪能しましたね。
鎌倉に行ったっていつも私は海が1番でカフェやパン屋さん巡りが主で、もちろん有名なお寺や神社は行っていたけれど花を主にすることはありませんでした。
あなたは花が好きでとても詳しかったですね。そして、私より一回り以上年上で私よりだいぶ小柄なのに、私よりアクティブでした。

私もあなたもあの職場を辞めて関わりがなくなってしまいました。
毎年この紫陽花を見よう!あの約束は果たせませんでしたね。
それでもあなたは変わらず、連絡をくれました。事件があった、とか。誕生日おめでとう、とか。
6月8日。お誕生日おめでとうございます。今年も当日に言えませんでした。 ごめんなさい。

私はあなたの前に立つとどうも真面目ないい子ちゃんになってしまうのです。気づいていましたか?こう言えば大丈夫だろう、これが正解だろう。知らず知らずのうちにあなたに怯え縮こまってしまう、そんな自分に嫌気がさして距離を取るようになりました。
あなたは何も言わず、見守っていてくれて…
私は、そんなあなたを裏切っているような、自分が悪者のような気がして…さらに距離をとろうとしていました。
最後の日、あなたは私に“素直になれ〜”と可愛いイラスト付きの手紙をくれましたね。
やっと気づいたんです。ちっさいのは自分なんだ、と。

お元気ですか?お身体はお変わりないですか?また一緒に紫陽花見に行ってくれますか?今年はだいぶ暑いですね。日傘、新しいものにしましたか?この時期が一番紫外線が強いんだと教えてくれましたね。私もそろそろ日傘デビューしようかと思います。今年はお揃いの日傘を差して散策しましょうか。調子がいいですか?ごめんなさい。
これが私なんです。

お身体にお気をつけて。
また会う日まで・・・

あの時は素直になれずごめんなさい。
そして、ありがとうございます。


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