冬が好き
冬が好き。寒いのは嫌い。
冬の匂いが好き。鼻の奥がじんわりツーンとくる匂い。その後鼻水だらだら流れてくるのは嫌い。
煙草の煙を吐くときの、煙なのか息の白さなのかわからない境目みたいな瞬間が好き。でも冬は乾燥してるから煙草が辛く感じて嫌い。
イルミネーションが澄んだ空気にキラキラ光ってるのも好き。夜の街並みに暖色のライトが溶け込む感じがたまらなく好き。
でも、映えだなんだってこぞってイルミネーションに集まってきて群れる人間は嫌い。
自分の生まれた季節だからか、昔から冬はなんとなく好きだった。
どんだけ寒くても、冬服の色合いだったり、ニットとかベロアの素材とか、こっくりした感じが好き。ホットミルクみたい。
最近は仕事以外の外出を滅多にしなくなって、1日家で寝て過ごすことが多くなったから、あんまり冬を感じられなくて寂しい。
公園を走り回る子供たちの、半ズボンから覗く、乾燥と寒さで真っ赤に染まった膝小僧とか、
ミニスカートの下にジャージを履いて自転車で駆け抜けていく女子高生とか、
石焼き芋のトラックの声とか、
そういうちいさな冬を感じたい。
明日はどこかお出かけしようかななんて思いながらベッドに潜る。
きっと私は明日も、ベッドに沈んだまま1日を終えるのだろう。