行き場のない言葉の焼却炉
昔から媚を売るのが大の苦手だ。
そのせいで多くの人間と関係がうまくいかないこともあった。
さて、初めまして、などは言わない。
ブログというものは唐突に初めて、唐突にいなくなるものが性だからだ。
ここで私が書き連ねる言葉は、どこにも行くことができない行き場を見失った言葉たちだ。
そんな言葉たちをこのnoteというプラットフォームに焼却してもらうのが目的だ。
読者に媚を売ることはしない。
私の書きたいように、思うままに、気分のままに書き連ねる。
一人称も、文体も、口調も、テキスタイルも日々変わるだろう。
前置きはさておき、2022年末にnetflixに「ハリーポッター」シリーズが一挙公開された。
もちろん世代である私は、問答無用に見始めた。
久しぶりに見ると2000年代初頭の映像技術に感心するが、それ以上にストーリーに魅了された。魔法というものをテーマに描いたシリーズ作は、この現実世界とはかけ離れた世界線で我々を魅了する。
物語のクライマックスでダンブルドア校長が、主人公ハリー・ポッターに言ったセリフが頭から離れない。
「言葉というものは魔法なのじゃ。言葉は、人を傷つけ、人を救う。」
現実とはかけ離れた世界で放たれたものは、「言葉」という魔法が存在するということ。
ファンタジーの世界を描いた物語は、我々人類にひどく現実的なことを教えてくれた。
私は、谷川俊太郎さんのように言葉というものを巧みに操ることはできない。
あの方のように魔法を操ることはできない。
偉大な魔法使いになることは、すぐには難しい。
しかし、吐くこともできずに記憶と一緒に蒸発する言葉たちを、
しっかりとこの場に書き連ね、焼却することはできる。
誰のためでもないこの行為を、私は今この瞬間始める。