【NOTds】 名刺制作|合格までの6ヶ月の道のり
こんにちは、Web / グラフィックデザイナーのことと申します!
2023年12月から、NOT DESIGN SCHOOLの0期生として受講がスタートし、
先日スクールの最初の課題である、名刺課題の合格判定をいただきました。
合格判定をいただくまで6ヶ月。
6ヶ月という長い長い制作期間で、たくさんの苦悩にぶつかった分、学びもたくさんあり、これを残しておきたいと思い、記事を書くことにしました。
独学でデザインを学び、当時駆け出しとして不安だらけだった私ですが、そんな駆け出しデザイナーの苦悩や制作を経て得た学びから、読者の方の何か参考になることがあれば嬉しく思います。
6,000字を超える長文となってしまったので、気になるところだけでも読んでいただけると嬉しいです😌
▼デザインの学びを日々更新しています!
https://twitter.com/kotono_design
1|合格をいただいた名刺をご紹介
今回、合格いただいた名刺をご紹介します。
名刺の縁に色をつける小口染めや、見る角度によって色が変化しキラキラと輝くホログラム箔を使用し、さりげなくも細かいところまで工夫が感じられる名刺に仕上げました。
このデザインに辿り着くまでに、一言では語れない紆余曲折がありましたので、そんな迷走している様子も楽しんで見ていただければと思います笑
2|制作過程
2-1. 名刺は相手に「興味を持ってもらう」ためのもの
名刺作りで始めにとりかかったのは、名刺にどんな役割を持たせるか。
名刺を使う場面や、どんな人達と仕事をする事が多いかを整理しました。
私の場合、2023年12月当時、フリーランスでデザイナーをしていた傍ら、
コミュニティスペースの受付や事務など、複数の活動にジョインしていたため、以下のように設定しました。
2-2. 相手目線でコンセプトを設計する
名刺の役割が整理でき、デザインのコンセプトを決めていきます。
名刺制作当初、「そもそもコンセプトって何?」の状態だった私。
コンセプトの意味を調べるも、
いざ自分の名刺でコンセプトを考えるとなると、まとまらない…
ここから、
コンセプトを設定→ビジュアルに落とし込む→なんか違うとモヤモヤする→コンセプトを見直すの繰り返しでした。
この頃は、そもそも自分の強みや魅せる強みも明確ではなく、なかなか進まない制作に焦りと、情けなさで自分を見失っていました。
コンセプトを定めるために、改めて「自分がどんなデザイナーなのか」を見直していきます。
これまでは、「自分がどんなデザイナーかを伝える」という自分→相手目線で制作していましたが、名刺を受け取った人が「自分たちの事業にどう貢献してくれそうか」と言う受け手目線で制作を始めます。
これには、NOT代表のもちさんにおすすめされたKA法・KJ法で、自分の強みがクライアントにどう活きるか、相手に提供できる価値について整理できました。
このワークをすることで、コアな部分が見えてきました。
そのコアの部分とは、自分の中に色々な人や物事を受け入れる土壌があり、自ら受け入れることを求めて行動できるパワーも持っていること。
名刺の受け手には「この人と仕事したら必要なことを見極めて率先してやってくれそう、チーム内でも地味だけど大事なところを支えてくれ、着実にプロジェクトが進んでいきそう。」という印象を与えたいと明確になりました。
強みと相手が感じる価値の整理ができ、コンセプトへの納得感が強まりました。
2-3. 伝えたいことをビジュアルで表現することの難しさ
伝えたいことが明確に決まったら、今度はそれをどうビジュアルで伝えるか。
コンセプトを「かゆいところに手が届く」と設定し、
どう表現するかアイデアを広げていきます。
アイデアを広げていくうちに、パズルやテトリスはいいのでは!?と思い、
我ながらいいんじゃない!?と思って、見てもらったものの、
「テトリス案で決めるのは時期尚早じゃ〜!」とご指摘を受けました。
ここで学んだことは、とにかく量を出すことが大事だということ。
後悔ないレベルまで出す。
出し切った中で選択していくことが「絶対このデザインだ!」という根拠の後ろ盾になっていく。
そこで最低30個というお題をいただき、再挑戦。
キーワードだしでも、ラフ案だしでも、とにかく量を出すことを意識しました。
いくつかの表現案の中でも、「細かいところまでさりげなく手を回してくれる」ようなかゆいところに手が届く存在を表現できる、小口染めとホログラムの加工を選び、ブラッシュアップしていきました。
▶︎1回目 合格判定提出|課題はどんなデザイナーなのかの伝わりづらさ
初回合格判定提出!
初回の点数といただいたフィードバックです。
フィードバックを受け、デザイナーとして相手に認識してもらうことを最優先とし、情報設計と屋号のクオリティをブラッシュアップしていきます。
2-3. フォントベタ打ちからの脱却
とはいえ、これまでフォントのベタ打ちしかしてこなかった私。
ベタ打ちからの脱却のために、作字やロゴ作りに挑戦していきます。
ネットの参考画像を漁っては、見様見真似に真似していくのを繰り返していきました。
また、コンセプトも「細かいところまでさりげなく手を回してくれる」というよりは、「目立たないところで成長を支える」の方が、自分にとっては近いかなと思い文言を変更。
モチーフとして、「目立たないところで成長を支える」ということを伝えるための「根っこ」を採用することに。
この「根っこ」という表現は納得感が高かったのですが、プロフェッショナルとしての信頼性があるデザインに仕上げるのがなかなか難しい・・・
この根っこに取り憑かれた私は、約3ヶ月間、根っこの表現と戦うことになるのです。
2-4. 根っこの表現に四苦八苦
見えないところで成長の支えとなっている様子を「根っこ」で表現するために、自分を根っこ、根っこから生えている木や花をクライアントと見立てることに。
根っこにした時のデザインの大きな課題は以下の2つ
①ロゴの部分の形が綺麗で整っているか
②根っこから繋がる花や木は不自然ではないか
①ロゴの部分の形が綺麗で整っているか
ペンツールで自作のロゴを一から作っていたのですが、バランスが難しかった。
既存のフォントを使うことで、ロゴの見た目のバランスが良くなりました。
(バランスを良くするためのペンツールの使い方が難しかった!!)
②根っこから繋がる花や木は不自然ではないか
ロゴの形が整ってきたので、ロゴと繋げる花の部分をブラッシュアップしていきます。
以下のことを検証して、どれが良いか試していきました
・花の本数
・花のイラストの抽象度
・花の色
・花の種類
・花の位置
名刺サイズに合った花を選ぶことで、見た目のアンバランス感もない花を選定しました。
▶︎ 2回目 合格判定提出|課題はメッセージ性の弱さ
2回目の提出デザインがこちらです。
フィードバックを受けて、表面のレイアウトの調整でメリハリをつけてみました。
裏面に関しては、絵だけだと伝わりづらいので、コンセプトの文言を入れることに。目立つことなく、裏で支える役割を果たす人という意味がある、「Behind-the-scenes supporter」を入れました。
▶︎ 3回目 合格判定提出|課題はデザイナーとしての煌びやかさ
3回目の提出デザインがこちらです。
ここで「デザインをする、という職種上、自分が手がけるデザインは魅力的で煌びやかになる、という見せ方であったほうが良いのでは?」というフィードバックをいただき、根っこの表現を再考することに。
2-5. 迷走期を抜け出し合格へ
課題は、「文字と花の共存」。
文字を目立たせるのか、花を目立たせることがケンカしてしまっている状態でした。
そのため、文字と花の共存の方法と、より華やかに見える方法を探っていきました。花と文字で構成されたロゴを参考にしてみたり、そこからいいなと思ったものを検証してみました。
ここで意識したのは、根っこに囚われすぎず「シンプルに考えること」。これまでの受講生の合格作品を見てみると、伝えたいことを抽象化してシンプルに表現されていました。
ロゴ部分をホログラム加工からオレンジに変更し、視認性を良くし覚えてもらいやすくしました。花部分をホログラムにすることで、花にエネルギーが行き渡っている感じを表現できました。
▶︎ 4回目 合格判定提出と合格✨
ここでようやく合格の判定をいただきました!
ということで、上下の花は違うものにした方が良いというフィードバックを反映し、着地!
合格をいただけたことが嬉しかったのに加えて、採点してくださった方の愛が溢れる感想に胸がいっぱいになりました!
3|学んだのは「伝わるデザイン」の難しさ
名刺課題を通して、名刺が持つ役割や、コンセプト設計の方法、アイデアの広げ方、パターンだしの数、イラレの操作方法、ロゴの作り方、素材の加工方法・・・デザインの基礎の部分を学びました。
その中でも、一番大きな学びは、
「綺麗なデザイン」と「伝えたいことが伝わる良いデザイン」は全く違うということ。
綺麗なデザインは視覚的に魅力的ですが、必ずしもメッセージが明確に伝わるわけではありません。一方、良いデザインは視覚的な魅力とともに、伝えたいメッセージがしっかりと伝わるように設計されています。
伝えたいことが相手に伝わるいいデザインだと、相手に具体的な行動を促すことができ、ビジネスで考えるとイベントの参加や商品の購入に繋げることができます。
これまでの私は、見た目の綺麗さに目が行きがちで、「伝わりやすさ」の部分ではまだまだ課題を感じていました。
この名刺課題では「相手に伝わるビジュアルにするには」という問いに徹底的に向き合った6ヶ月間でした。
今振り返るととても苦しい6ヶ月だったなと思います。
他の受講生が続々と名刺の合格をもらっているのを見て、焦っていたり、できない自分に嫌気がさしたり。
そんな時は、NOTの申し込みフォームで自分がなぜNOTに入ったのかを見直しました。ここで逃げたらダメだな、そう心に決めて必死で食らいついていきました。
メンターの皆さんにたくさん励ましていただきながら、なんとか合格まで走り切ることができました。
4|最後に
6,000字を超えるこんな長い記事を、最後まで読んでくださってありがとうございます。
そして、この6ヶ月間一緒に課題に向き合ってくださった、メンターのこうたさん、もちさん、さちさん、なおちゃん、まさのりさん、みさとろさん。
私の大切にしたい想いを一緒に抱えながら、伴走してくださりありがとうございました。
苦しかった6ヶ月間の中で、時にはセッションで悔しくて涙が出てしまう時もありましたが、毎回真剣に向き合ってくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。
そして、課題の合格を担当してくださったメンターの皆さん。
合格基準を下げず、デザイナーのプロとして、厳しい点数をつけ続けていただきありがとうございます。
フィードバックと改善の繰り返しでデザインがどんどん良くなっていくのを実感できましたし、何よりもプロのデザイナーさんが定める合格基準に達することができた自信ができました。
こんなに厳しいフィードバックを頂けるのは、現場で戦えるデザイナーに本気で育てたいというNOTの愛ある思いの現れです。
私のように、フリーランスで独学で、プロの方からフィードバックをもらえる環境がないという方に本気でオススメするスクールです。
NOTの次の課題はバナー。
もっともっと自分のデザインスキルを磨けるように、皆さんのフィードバックを受けながら自分と向き合い続けます!