異物
主人の両親、弟妹は優しく、温かい。
主人の育ってきた環境、
それを作る「家族」が、
私にはたまにつらい。
一緒の空間にいると、大事にされると、
嬉しいはずなのに境界線が見えてきて
私一人だけ異物のように感じてしまう。
私は両親揃っていたが、
父親は機能していなかった。
父親は歪んでいた。
だから家族が歪な形になってしまっていた。
母を女中のように扱い、管理した父親は
優秀な兄と私を比べては
「育て方を間違えた」と言った。
私の不出来は母にも被害が及び、
父親は母に「お前の育て方が悪い」と
怒鳴り、髪を引き摺り、責め続けた。
「うちの家族はおかしいんだ」と気づいたのは
私がおかしくなってしまった後だった。
今は紆余曲折を経て、
籍はそのままだが父親と母は別居している。
私には「家族」というものが
曖昧にしかわからない。
私の夫にあたる人は主人だし、
母親にあたる人は母である。
父親のようなものはいたが、
私には「父」はいなかったと思っている。
役割に名前を付けるなら
それぞれ当てはめることは出来るけど
それが「家族」であり
「家庭」であるというのは
正直ピンとこない。
そんな私だから、
主人の「家族」は眩しくて
心がチリついてくる。
私も、親に大事にされたかった。