我々は腐女子である──おそらく永久に

　寝起きでツイッター見てて引っかかったので。(寝起きで書いたので変なとこあったら後で直すかも。)
「腐女子」「腐向け」などの単語をやめようという話題がここ数年ある。
　自分はこれに反対しており、自称腐女子を絶対やめるつもりはないので、やめない理由を書いておく。

言葉の再領有の観点

　これが1番でかい。
　これは腐女子に関わらず、全ての良くない意味の言葉が該当する。当事者が自称することによって、ネガティブな語義を薄れさせようとする試みである。最も成功した例は「クィア」であろう。
　言葉自体を変えるのではなく、語義をマイルドにポジティブな意義に変えていこうとする思想自体が私は好き。
　ちなみに私は発達障害があるのでガイジも自称している。

差別的かどうかは、字面でなく行いで判断すべき。

　差別とは、行為である。
　他人をどう思おうが、思想の自由で保障されている。ただ行いに出せばことによっては罪に問われる。単なる文字は行いではない。誰かに投げかけた時に差別になる。

　「潜在的な差別思想」みたいなものを発見するのは思想警察の段階なのは自覚していただきたい。それでもやるというなら止めはしないが、私は嫌いだなそういうの。

　そもそも字面で物事が決まるのであったら、そもそも皮肉というのは成立しない。
　例えば「あなたは腐女子なんだね」という文面だけではポジティブであるかネガティブであるかは判断できない。同じ腐女子がシンパシーを持って言うのか、知らない人が嫌そうな顔で言うのかだけでも意味は大きく異なる。

　逆にどれだけ丁寧な言葉や態度であっても、他人を不当に扱うならば差別である。ちなみに私が今まで受けた最大の差別は障害年金を狙った投資詐欺の勧誘である。ときに差別はスーツと丁寧語でやってくる。

文化侵略に対する反感

　「腐女子」という言葉はグローバルには非常に翻訳できない言葉である。男性同士の同性愛を描写した女性作家とその作品の愛好者なる市場は日本にしか存在していない、れっきとした固有の文化だ。(最近は近隣に輸出されているので嬉しくなってしまう！)しかも彼女らのセクシャリティを限定しない。ノンケもレズビアンもトランス女性もBLが好きなら腐女子である。これは同性愛のコンテンツに対してLBGTの当事者性とは別の枠組みを指す言葉としても貴重であると思う。
　こんな感じで文脈的に欧米のLGBT作品とはルーツが全く異なり、少なくとも、語義が全く異なる欧米の言葉で置き換えるべきではないと考えている。
　私が言葉の変化に賛成するとしたら、日本語を母語とする腐女子当事者のつくった言葉だ。

ヘイトクライム大国の価値観を輸入するのが本当に正しいのか？

　どうして社会的少数者に配慮するのに、日本の数倍の憎悪犯罪を抱えるアメリカ(および英語圏)の「差別の是正」を真似する必要があるのか？
　日本にも残念かつ当然に差別はあるが、それはアメリカでゲイクラブやスーパーマーケットを銃撃するような、「例外的殺人」を肯定する人間が行うものとは同一に扱うことはできない。
　2023年、アメリカで起きた銃乱射は604件、754人(Wikipedia調べ)。アメリカらしく多様な人々が銃乱射しており、テネシーの小学校銃撃では加害者がトランス男性というパターンまで出てきてしまった。
　表向きでは少数派に配慮しようという建前を掲げながら、実態としては誰の生命も尊重しない異常者が高頻度でポップし、"0 days from last mass shooting"になってしまった。
　平等な暴力という最悪のパターンを抑止できていない以上、私の中で、アメリカのポリコレ路線は失敗している。なので真似しようとは思わない。むしろ向こうがこっちを見習うべきやろがい！！！

　逆に、アジアで最初に同性婚を導入した台湾の現状はすごく気になっている。ぱっと見の報道を見る限りは成功しているように思う。中国語が読めないので、詳しい人がいたらどんな現状なのかを教えていただきたい。

他人の価値観を変えることはできない

　ここまで読んだ人が私に賛成する必要はないし、私も意見の合わない人と戦うつもりはない。
　これは私の内面の発露であって、社会的な善悪を決めるものではない。
　本人が自らの意思でやっぱり私は腐女子というのはやめたいなと思うならそうすべきだろう。自称を勝手に変えるのは自由だ。

要約

　「腐女子」という呼称に愛着を持ってポジティブに自称しているのにいきなり差別だとか言われて嫌な気持ちになりました(腐女子特有のお気持ち)
　俺は絶対やめないぞ。
　やめたいやつだけやめればええねん。

　とはいえ、理屈が通っていれば相手を説き伏せるということはできると思う。
　事実、私もNLというのは使うのをやめた。男女のカプが男女だからと言って平均的だとも"通常の交際"だとも限らないからである。
　ちなみに私の中のアブノーマルの定義は「その世界において触法行為になるか」なので、作品の世界観の法規範によって認定が変化する

　動くな、俺はメンヘラガイジの腐女子だ。腐女子最高！