安心毛布亡き後、我々はいかにして生きるべきか
安心毛布、というのをご存知だろうか。
またの名を、ライナスの毛布。
これが大人になっても手放せない人は結構いる。
ボロボロになったブランケットやぬいぐるみを手放せない人、結構いるのではないだろうか。
20年モノのタオルケットなどがどうしても捨て難く、密かに悩んでいる人も多いと思う。
それ、名前ついています、ご安心を。
世間の安心毛布への目線は冷たい。良い大人がボロボロになった布切れを後生大事に持っているのは些か不審であることも否めない。
さらに重大な問題もある。
安心毛布は所詮繊維なので、いつか擦り切れてなくなってしまうのだ。
覚悟はしていたが、指先の感触が失われるのはすごく辛かった。
いや本当につらい。
安心毛布がなくなったときほんとうにつらかった。
安心毛布を失う悲しみを軽減するために、みんなには来る日に備えて移行先を一つ提案したい。
草です。
怪しい草ではないのでご安心を。
かれはAsparagus setaceus。
食べるアスパラガスの同族で、観葉植物だ。シノニムであるAsparagus pulmosusや、品種名の「アスパラガス・ナナス」の名前で売られていることも多い。
普及種で、1000円あればだいたい手に入るが、流通してる時期が意外と短い。
なぜ毛布の代用がなのかというと、
触るとちょっと痛んだ繊維の感触にめちゃくちゃ似ている。
き、きもちいい!!
和名の「オオミドリボウキ」という名前はぴったりだと思う。
ふわふわの草の優れたコンパニオン性を箇条書きにしてみよう。
頑丈、一日中10時間モフっても平気
高い耐陰性、窓がなくてもLEDデスクライトなどを設置すれば育つ。
乾燥への耐性、南アフリカの植物なので水がちょっときれても大丈夫、むしろ多少乾いていた方が良い
旺盛な生育、すぐでかくなる、というかオーストラリアで侵略的外来種に指定されている
人工品の毛布は時間が経てば壊れてしまうが、植物は時間が経つほど成長する
動物の飼育よりハードルが低く、失敗しても許される
もし枯らしたとしても安価に再入手できる
ふわふわの観葉植物を育てることは精神衛生に良い
いいことづくめだ!
逆にデメリットとしては
生育が旺盛すぎる、1年で天井まで伸びることも(カットしても大丈夫)
生育が旺盛すぎる(2回目)、陶器の植木鉢に入れると根っこが育ちすぎて内圧で割れます、プラスチックを使おう
寒さがかなり苦手、冬場は24時間15度を切らない方が良い
矮化品種なので先祖返りすると有棘化する可能性、これもトゲを切れば大丈夫
こんなところだろうか。
寒さに弱いのは植物としてはデメリットだが、安心毛布としては電気代をかけるだけで劣化せず巨大化するのは破格の性能だと思って投資している。
ちなみに葉っぱのように見えている部分は全部茎である。アスパラガスの仲間は葉っぱが退化し、仮葉という「葉っぱ状に生える茎」を展開する。
私が触りまくっている場所も茎である。
本当に気持ちいいので、園芸店などで見かけたら優しく触って確かめてみてほしい。(触りすぎそうならお迎えしよう)
合法的にこんなに気持ち良くなれるんだから、人間をふわふわにする違法な草なんかいらんやろ。
みんなも暖房費で安心植物に永遠を与えては見てはどうだろうか?
アスパラガス・ナナスの育て方
置き場
直射日光が当たらないところ。
暗すぎると弱るので、窓際じゃない場所の時は一緒にLEDライトを設置してあげよう。
夏の暑さは平気だが、冬の寒さに弱いので注意。
24時間15度以上を維持するのが望ましい。
用土
観葉植物の土がオススメ。
花、野菜用の土は肥料分が多すぎて小蝿が湧くことがある。
肥料
そんなにたくさんはいらない。
大きくしたい場合は緩効性肥料(マグァンプとか)を土に混ぜて植え、週一で液肥を規定より薄くして与えるとどんどん巨大化する。
コンパクトなままでいてほしいならほぼ水だけで良い。
水やり
土の表面が乾いたらあげること。
うっかり毎日あげようものなら根っこが窒息して水死してしまう。
上記にもあるが、南アフリカ出身なので水はそんなにたくさんいらない。
慣れないうちは土に2cm指を突っ込んで、土が乾いていたらあげるとよい。
植え替え
購入した時にビニールポットに入っていたら、普通の鉢に植え替えてあげよう。
ビニールポットは育苗・出荷用の入れ物なので、出来る限り迅速に外した方が良い。