妻のマイブーム
4コ下の妻と僕は結婚当初から、というか付き合っている時から趣味嗜好が合うわけではない。
考え方や価値観も全く違う。
その中のひとつに熱しやすく冷めやすいというのがある。
出会ってから13年、現在まで様々なものにお熱になりことごとく冷めていく様を僕は観測している。
観測史を振り返ると、
スティッチ
リトルグリーンメン
マイメロ
シナモロール
モンハン
初音ミク
けいおん
白猫プロジェクト
第五人格
バンドリ
スヌーピー
ツイステ
うたプリ
ミッキーマウス
ドラえもん
と、実に多岐に渡る。
他にもよくわからないイケメンキャラクターのものとかもあったがよく覚えていない。
妻が熱くなるとどうなるか。
厄介なことにまずはグッズを集め出す。
入手したお金は余さず注ぎ込む。
最近はドラえもんが熱いらしく、リビングダイニングが日増しにブルーに染まっていく。
元来、餡子はあまり好きではないはずだが、近頃はドラ焼きまで好きになり始め、徐々に身も心もドラえもんになりつつある。
あとはポケットから便利アイテムでも出てくればいよいよ完成となるだろう。
マイメロの時は自身のSNSで「メロ」と名乗り、メロちゃんの手によって見事に家がピンクに染められた。
しかしブームが過ぎ去った後は、「メロちゃん」はもはや恥でしかなく、僕がイジる材料のひとつに成り下がっている。
今でもたまに「メロちゃん」と妻を呼んだりして遊んでいる。
さすがの妻も「メロちゃん」は後悔しているようだ。
しかし驚いたことに、集めたグッズには後悔はしていない。
ブームが過ぎ去ると同時に彼女の梱包と出荷が始まる。
過去のものは冷ややかに商品となってマネーに形を変える。
マイメロのぬいぐるみを梱包している彼女の瞳には、すでにシナモロールしか写っていなかった。
マイメロへの愛着などは微塵も感じさせない潔くもサイコパスな一面は、僕に畏怖の念を抱かせる。
僕はその一連の流れを「無駄」と切り捨て、どうせすぐに飽きるのだからグッズの収集はひと呼吸置いたらどうかと感じている。
しかし妻は違う。
「一時でも好きなものに囲まれて暮らす幸せを味わうのだから必要コストでしょ。」
心底共感はできないが、なんかカッコいい(笑)
妻はどう思っているか知らないが、僕はこのような価値観の違いは気にならない。
いやむしろ楽しんでいると言ってもいい。
似た物同士の夫婦を良しとするのか、足らない部分を埋め合える夫婦がうまくいくのか。
世間ではいろいろ言われている。
そういう意味では僕と妻はちぐはぐだ。
それでも人並み以上には仲良くやっていると思う。
子どもが2人いて、ペットはいない。
僕がかつて描いていた幸せな家庭の形とバッチリ合致している。
それで充分ではないか。
もともと他人同士が生活を共にするなんて無茶なことをやっているのだ。
多少の価値観や考え方の違いなんぞ、楽しんでなんぼではないか。
僕も妻も、今日も価値観の違いにブツクサ言いながら楽しそうだ。