年の瀬にぼったくられた話
時は2023年12月30日。
世間は年越しの準備で賑わっていた。
私は例年通り31日まで仕事のため、妻と2人の娘を家に残して忙しくしていた。
そんないつも通りの年末に、軽く騒動が起こった。
発端は、妻から送られてきた1枚の写真。
どうやら排水溝が詰まって流れなくなったらしい。
奮闘した跡が垣間見える。
確かにヘドロのような黒いものが付着していて汚い。
これを掃除してみてもダメみたいだ。
妻はラーメンの汁がいけないんじゃないかと主張していたが、私はラーメンの汁くらいで詰まってたまるかと内心思っていた。
この時点では、そのうち流れるだろうと根拠のない自信で楽観視していた私。
また、仕事中ということもあり、LINEには返信できずにいた。
数時間後、妻から着信。
妻「ねえねえ、どうしたらいいの?流れないんだけど。」
え?まだ流れてなかったの?
こりゃいよいよまずいことになったぞ。
この時私は何がまずいと思ったかというと、排水溝が流れないことよりも、妻の訴えを数時間放置してしまったことに危険を感じていた。
あ、やべ。
これは即対応しなきゃいけない案件だ。
そう思った私に正常な判断などできるはずもない。
速攻で「排水溝 つまり 業者」と検索し、一番上に出てきた中◯設備に電話してしまった。
思えば、これがクソ忙しい年末に巻き起こった悲劇の始まりだったのかもしれない。
業者は1時間ほどで自宅に来訪し、どうやら何らかの処置を施したようだ。
しかし、詰まりは解消されなかった。
それだけでなく、業者は驚きの話をし始めた。
「油が固まって排水管を塞いでいる。これはいけません。大掛かりな作業が必要です。トラックから機材を引っ張ってきて排水管の詰まりを処理する必要があります。」
妻のスマホを汚い手で握り、業者は続けて言い放った。
「普通なら50万〜60万円ほどかかります。しかし我々に任せていただければ25万円でやります。」
あー、悪徳業者を呼んでしまったな…
しかし正常な判断力を欠いていたことや住宅設備リテラシーの低さゆえに、愚かしくもまだ私は一縷の望みを持っていた。
しかし、実際に私が立ち会っていないのでどのような処置を施したのかもわからないまま25万円なんて払えるわけがない。
私「えーと、現金で25万円は今すぐ用意できないので後払いでも大丈夫ですか?」
だいたい、悪徳業者はいろいろと調べられると困るだろうから後払いには対応していないだろうと思い聞いてみた。
業者「後払いは対応していません。カード使えますよ。」
いよいよ怪しい。
私「でも妻はカード持っていないので、仮にやってもらったとしても今日お支払いするのは難しいです。」
業者「今、どこにいらっしゃるんですか?作業が終わり次第、決済に向かいますよ。」
いやいやいやいや、それはやりすぎだって(笑)
そんな話をしている時、妻は下の階に住む私の父に声をかけていた。
父は「高すぎる」と一蹴。
普通は見積もり書をもらって相見積もりするもんだと。
それを聞いて私もようやく正常に思考が働き始めた。ナイス父。
私「とにかく、今日は見積もり書だけいただけますか?他社さんとも比較します。」
業者「わかりました。では本日の作業代金だけいただいて帰ります。」
その後、我が家を建ててくれた工務店の担当者に電話し、あらましを説明した。
工務店「あーそれは悪徳業者ですね。まず25万なんて有り得ません。高くても7万〜8万でしょう。正直、床下に入られたら適当に傷つけられて作業増やされるケースもあります。気をつけてください。」
そして、どうやら詰まりの解消には高圧洗浄がスタンダードで大掛かりな作業にはならないそう。
本当に、頼まなくて良かった。
8割方、私には確信があった。
今日の業者の作業はイミテーションであることだ。
つまり、それらしい作業をしてわざと詰まりを解消しなかったということ。
それを証明するかのように、帰りに買ったラバーカップを排水溝に当てて上下運動を繰り返した結果、あっという間に流れたのは言うまでもない。
持つべきものはラバーカップである。
詰まりが解消され勢いよく汚水が流れた瞬間、12月30日という年の終わりかけに私は今年で1番のドヤ顔をしていたと思う。
最後に、驚きを隠せなかった業者の見積もりを載せておこう。
拡大してみよう。
ラバーカップ855円に劣る圧力ポンプ9,000円か…
ぼったくられたな。
って、誰が今日の作業の見積もり出せ言うた?
250,000の通管作業と呼ばれるものの見積もりに決まってるやろがい!
ほんで字汚なっ!
教訓①
ラバーカップは備えておくべし
教訓②
夫を焦らせたらダメ。正常な判断力を失う。
教訓③
という冷静さを欠いた言い訳をしない。
10,000円は勉強代だと思うことにしよう。