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秋田の大雨で被災しました ~床下点検口の作業記録⑥ 床下出入りの格闘と孤独~

日にちの感覚も時間の感覚もなくなっていますが、7月23日(日)のことを書きます。

雨の日が7月15日だから、9日目になるのか。

記録によると床下に入りだしたのが木曜日なので、床下に入って4日目になります。

今日はリビングの床下をやります。

昨日、泥の水分が流れてしまって、泥だけが沈殿しているところは落とせなかったので、洗い流すために水が出るホースも持って行くことにしました。

うちにある散水ホースでは、長さが全く足りないので、ホースを追加し連結します。

追加したホースはもとからあったホースよりも太くて散水ノズルが付けられなかったので、太さに合ったノズルを追加購入することにしました。

今日からホーマック広面店が復旧したので、ホーマックで購入。

昨日の秋田北店も、広面店も、入り口付近に復旧作業に必要な道具をずら~っと並べてくれていて、有難いです。

お店の人も何が必要かを考えて陳列してくれています。

雨の日から行方不明になっていたワイヤレスイヤホンを車の助手席の脇に落ちているのを見つけました。

これで、何かを聞きながら作業をすることができる!

ぶっ壊れた床下突入車は、昨日2台修復していました。

準備万端で、今日も床下に入ります。

今日、苦労したのは床下の出入りです。

排水用のホースと、散水用のホースがあるので、なかなか入り込むのに苦労しました。

しかし、この作業も4日目なので、だいぶやり方がわかってきたので、余裕があります。

radikoを聞きながらの作業です。

石垣さんのフォーエバーヤングと、気分屋食堂を聞きながら作業しました。

秋田の雨の様子や復旧作業の応援メッセージを聞きながら、ひたすら水を吸い取ります。

鉄の棒に漂流物のゴミが付着していたり、床下の壁に残るラインのようなものを見る限り、20センチくらいまで床下も冠水していたのではないかと思われる形跡が見えます。


午前中でリビング床下の半分ほどが終わり、床下点検口を目指して戻ります。

この戻る作業がきつい。

床下にポンプが何本か走っているのですが、移動車ではそのポンプを乗り越えられないので、ポンプの先に別の移動車を置いて、這いつくばりながら乗り換えます。

しかし、そのポンプをまたぐ動作が2回あるのですが、車は2台しかありません。

仕方なく、乗りながら前輪を持ち上げ、なんとかポンプを乗り越え、少し進み、今度は後輪を持ち上げ、ポンプを渡るのですが、非常に苦戦します。

床下点検口にたどり着いても、起き上がって顔を出すまでがまたつらい。

四苦八苦しながら、ようやく地上に顔を出すことができます。

この床下の移動で相当の体力が消耗されます。

リビングの床下は、斜めにポンプが走っていて、そのポンプまでで午前中を終えたので、午後はそのポンプを乗り越えなければなりません。

午後はポンプを3回も乗り越えなければならないのです。

床下から出る気力もないので、今日も床下に入りながら昼食です。

あちこちで炊き出しをしている情報も入ってきますが、ここから出られません。

午後は残りの作業をします。

妻とこどもたちは、妻の実家に行ったので1人になりました。

妻の実家も大住で床上浸水しているので、その手伝いにいきました。

うちは、両方の実家と自宅が被災しているので、あちこち手伝いながらの作業です。

どこもかしこも大変です。

よし、行くかと午後の床下ダイブです。

2日目のダイブは相当気力を使います。

これで、一通り終わると思えるから入れます。

作業場所までたどり着いて、落ちない泥を流そうと、散水ノズルのグリップを握りますが、水が出ません。

えっ! と思って、妻に電話すると、昼に水を止めたと言います。

なんてことしてくれるんだ! でももう家族は家にいません。

水を出すために、地上に戻ります。

この戻るのがきつい。

水道の蛇口をひねって、また入ります。

この、入るのがつらい。

ポンプに出くわすと、このポンプを乗り越えるのがつらい。

ようやく現場にたどり着いて、散水し、泥を落とします。

その泥水を吸い込みます。

いや、吸い込まれていきません。

吸っていません。

どうした? ホースが絡まってるか?

ホースをバタバタさせますが、絡まってはいなさそうです。

そうか、タンクが満水になったんだ。

タンクの水を捨てないと吸わないんだ。

またまた地上に戻ります。

戻るのがきつい。

戻ろうとバタバタしているうちに2号車大破。

前輪と後輪が分断されました。

ポンプをまたいで進みますが、1号車も大破。

もう車はほとんど使い物になりません。

壊れた破片で床下がゴミだらけ。

これもあとで拾わなければなりません。

タンクの水を捨てて、またまた床下へ。

車がぶっ壊れているので、入るのに相当苦労します。

なかなか移動できません。

ようやく作業場所にたどり着いて、なんとか作業開始。

終盤に差し掛かって、スポンジがぼろぼろになりすぎて、ほとんど水を吸えなくなってきました。

たまに落ちているゴミを吸い取ろうと、洗車スポンジを外して、ホースでゴミを吸い取っていたのですが、破壊した車の破片のゴミが大きすぎてホースが詰まります。

もう何も作業ができなくなりました。

何もできなくなったと思った瞬間、この床下の最果ての場所で、非常に孤独を感じました。

吸い取らないホース。ぼろぼろのスポンジ。大破した車。

もう疲れた! と叫んで、仰向けに横たわります(寝返りをうつ高さもないので、仰向けになるのも一苦労です)。

しばらく横たわって、撤収です。

帰りはホースと一緒に帰らなければならないので大変です。

ポンプの向こう側までホース1を引っ張り、ホース2も引っ張り、前輪を投げ、匍匐前進でポンプを渡り、乗っていた後輪を拾い上げます。

これを3回繰り返して、入り口付近に溜まっているホースを蹴飛ばしながら、地上に顔を出そうとしますがなかなかうまく行きません。

ジタバタジタバタして、ようやく顔を出し、もう嫌だ、と思いながら、本日の片づけ作業に入るのでした。

教訓
① スポンジは1日でボロボロになるので、毎日新しいものに替えなければならない(ヘッドライトの電池も1日しか持ちません)。
② 2度目のダイブ前には、必ず、タンクの水を捨てる。
③ 2度目のダイブ前には、必ず、蛇口が開いているかを確認する。

片づけが終わったころ、妻から今日の夜何食べる? と電話。

時間帯的に、外食だ。

「寿司、寿司にしよう」

せめて美味しいものを食べて締めくくりたい。

一応、家中の水を一通り排水できたのだから、それを祝おうではないか。

つづく

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