1V-LSDが尿検査で陽性になる可能性があるという話
こんにちはcochiです。今日のトリップマガジンの話題は題名の通り、1V-LSDがLSDの検査で陽性になる可能性があるという話です。
YouTube のあの動画は本当なの?
先日こんなyoutubeの動画を見つけました。
【合法LSD食べて12時間トリップしてみた】
シャーマンriyoさん
こちらの動画の冒頭、尿検査をしていますね。
「これ、本当なの?」
見ていて気になったのでここで使われている尿検査キットの詳細を調べてみました。
検証
LSD誘導体が代謝されてLSDになることは学術界隈では非常に良く知られていますし、N-アシル化された化合物が生体内で脱アシル化されるなんてよくあることです。(何言ってるかわからなくていいです)
つまりこの薬物キットって本当にLSDだけ検出できてその誘導体は検出されないなんて有り得るの?と疑問に思ったのです。
この動画で使われている尿検査キットはSTATシリーズは市販でも手に入れやすいことから持っている方も多いのではないかと思います。
実際にSTATを扱っているサイトに行ってこの検査キットが検出できるドラッグの種類というものを調べました。
この検査キットは汎用されているドラッグ15種類をスクリーニング(同時検査)できるものになります。
黒ポチで示されているのがこのキットで検出できる薬物の種類です。その中には覚醒剤、コカイン、オピオイド(モルヒネなど)、THC(大麻)、PCPなどが含まれています。
あれ?LSDは??
これ、そもそも LSDの検出ができません。つまりあの動画で行ってた尿検査は必ず陰性が出るのです。
riyoさんはPCPのところにLSDと書かれていたので、これがLSDのスクリーニングキットだと勘違いされたのかもしれません。
PCP(Phencyclidine):フェンサイクリジンは1950年台に開発された麻酔薬で、1965年に使用が開始されました。しかし幻覚や統合失調症様の副作用を呈することから使用が禁止され、後に幻覚剤として濫用され始めたドラッグです。
このキットではPCPが検知成分とされています。
構造も全く異なるものなので検出は難しいです。
尿検査は陽性?
一方で1V-LSDは尿検査で陽性になる可能性が高いと私は考えています。
その理由として、1V-LSDの代謝物にLSDが含まれているからです。いくつかの研究では1B-LSDや1P-LSDのような誘導体の代謝物にLSDが含まれていることが実際に示されています。(TANAKA, R. et al. YAKUGAKU ZASSHI 2020, 140, 1405)
従って、1V-LSDを接種後LSDに変化して尿中に検出される可能性があります。
LSDの話になりますが、LSD摂取量と尿中濃度には依存性があることが知られています。つまりLSDを多く取れば尿中で検出されるLSDの濃度は高くなります。
尿検査には検出できる限界というものがあります。大体25 ng/mLが下限と考えられ、この量以下であれば陽性反応は出ないので、陽性判定には摂取量が重要となってきます。
実際にLSDが検出できるキットで1V-LSD使用後の検査をした人がいないので真相は不明ですが、陽性になることは大いにあり得るという話でした。実際に研究レベルではLSDは検出されてますので気をつけてくださいね。実際にやってみたよって人はぜひ教えてくれると嬉しいです!
小話
ある研究では、摂取量と幻覚作用には関連がないという報告をしています。また、LSD(関連物質)は薬物耐性が比較的高いという報告もされています。薬物耐性とは体が薬物になれてしまい、次に同じ効果を得るためにはより多くの薬物を摂取しなければならなくなることです。むやみやたらに多く接種をすると体が慣れてしまいます。もっとも、摂取量とその他の作用(気持ち悪さや継続時間の関連)の依存性はあったり、別の研究では摂取量は幻覚作用に関連するという報告もあるので一概には言えません。実際にTwitterなどの報告例を見ていると225μg blotter (マーメイド)は125 μg blotterよりも効くという意見も多いので、濃度と幻覚作用に関連性はあると私は考えていますが。耐性のことを考えるとあんまりやりすぎるのは良くないと思いますよ。
もっと怖い話ありますが、今日はこのくらいで。DMしてくれれば答えるかもしれません。
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