推し褒め
とにかく無神経な言動ばかりしている46歳無職童貞ハゲ。万事が世間の皆様とズレているので、友人は頭を抱えている。
今度、推しのあいるちゃんがイベントに出ると聞き、これはイベント出禁を返上するチャンスだと考えた友人は、女の子の褒め方を46歳無職童貞ハゲに覚えさせようと決意した。
「良いか、こう言うんだ…」
【端正なお顔で。SLENDERな体型に、引き締まった腰つき、細くスラッと伸びた長いお脚でございますね。お胸も結構、お尻も結構。実写版峰不二子といったところでございます】
「あぁ、そうだ。ヘソにピアスが空いているんだが、そいつを見つけたらこう言うんだ。きっとお喜ぶよ?」
【あら可愛いピアス。引き締まったお腹を引き立たせるアクセントになってて素晴らしい】
「フワー、好きになってくれるのー他に何言えばいい?」
「キッショイ奴だなぁ。…そうだ、あいるちゃんが大切に飼っている犬がいるから、ついでにそいつを褒めたらどうだ?」
【かっこいいワンちゃんだね!銀牙ー流れ星銀-みたい!】
『銀牙ー流れ星銀ー』というのは、高橋よしひろの連載漫画。何故か犬同士が人間の言葉で会話をする個人的に理解し難い漫画だ。
「フーン…。そんな事で好きになってくれるんだ。ちょろいね」
「練習してみろ」
「フニャ。結構な…お顔でございますね。体は細身で、乳輪がでかそうなおっぱい。ボツボツが出来ているお尻に、膝小僧がドス黒くて…」
まるでガタガタ。仕方がないので紙に書いてに46歳無職童貞ハゲに渡し、イベント会場に送り出した。
イベントにやってきた46歳無職童貞ハゲは、友人との練習通りに挨拶をすませ…隠し持った紙を読みながらではあるが、何とか口上を言う事に成功。
チェキを撮ろうと言って正面に立ち、へそピを見つけて
「これ可愛いでしょ?」。
「引き締まったお腹を引き立たせるアクセントになってて素晴らしい」
感心したあいるちゃんはチェキを一枚(1000円)くれた。
「わーい、予定通りだ。次は飼ってるワンちゃん見せて?」
スマホを見ながら『銀牙ー流れ星銀ー』とやっていると、あいるちゃんの目から涙がポタポタ…。
「この子は最近亡くなっちゃってね…」
その言葉を聞いた46歳無職童貞ハゲは考えた。
「そのワンちゃん死んじゃったんだ」
「そうなの」
「じゃあ次は銀と同じ秋田犬を飼いなよ。凶暴な人食い熊 赤カブトに立ち向かう勇敢さ、生命力は桁違いだよ!」
後日フォローしてたTwitterはブロックされ、別垢で見た裏アカには罵詈雑言の雨あられ。無事にそのイベントも出禁になりましたとさ
お後がよろしいようで。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?