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ガラスびんのリサイクルで環境問題を解決!日本発の技術「スーパーソル」って?

ガラスのリサイクルと聞いて、何を想像しますか?ガラスびんからガラスびん、板ガラスからガラス砂など、ひと目でガラスだとわかるものではないでしょうか。

株式会社こっこーでは、ガラスの新しいリサイクル技術によって、従来製品とはまったく姿が異なる「スーパーソル」を製造しています。環境負荷が低く、様々な用途で使える注目のリサイクル製品です。今回は、スーパーソルの特徴や製造方法など、知ると使ってみたくなる情報をご紹介します。


ガラスびんの廃棄問題を解決!スーパーソルとは

スーパーソルは、ガラスびんを主原料としたリサイクル製品の軽量発泡資材です。

ガラス製品には窓ガラスや食器、液晶ディスプレイなど様々なものがあります。その中でも代表的な物がガラスびんです。ガラスびんには、洗浄すると繰り返し使えるリターナブルびんと、一度しか使えないワンウェイびんに分けられます。
ワンウェイびんは色別(無色・茶色・その他の色)に分けて洗浄した後、破砕して小さくしたカレットになり、様々なものにリサイクルされていきます。代表例をいくつか紹介します。

■ガラスびん・・・飲料や調味料、化粧品など
■グラスウール・・・家の断熱材など
■道路舗装材・・・道路の反射材やカラー舗装など
■コンクリート・・・5~10%のカレットを混ぜて作る
■ガラス砂・・・水を吸わないので、砂の代わりに使われる

ガラスびん由来のリサイクル製品の製造割合は、ガラスびんが全体の70%をしめています。しかし、色が混ざってしまったりキャップなどガラス以外の異物が混入すると、リサイクルできません。リサイクルできないガラスびんは、廃棄され埋立処理されてしまうことが大きな問題になっています。スーパーソルは、原料となるガラスの色が混ざっていても、異物が混ざっても、製造することが可能です。ガラスびんの廃棄問題の解決策として注目されています。

スーパーソルの特徴

スーパーソルには、いくつか特徴があります。
■見た目よりも軽い
見た目は石のようですが、同じサイズの石と同等の強度なのに軽量です。水に浮かぶほど軽い製品もあります。

■用途に合わせた製造が可能
粒のサイズや比重をコントロールでき、利用シーンに合わせた製品を製造できます。

■小さな穴がたくさんあいている
小さな穴に水をためることができるので、透水性、保水性に優れます。

■耐火性がある
高温で焼成して製造しているため、熱に強く、燃えにくい素材です。

■環境負荷が低い
もともとガラスは土と同じ成分で出来ているため、ガラスリサイクル製品は環境への影響が少ないです。なかでもスーパーソルは、CO2排出量がガラスびん製造時の1/3以下で地球にも優しい製品です。

スーパーソルの利用シーン

スーパーソルは様々な場面で使われています。

■軽量盛土材 
道路工事の際に使われる砕石(砕いた石)は、地面がやわらかい場所で使うと、重さで道路が沈む危険性があります。スーパーソルは砕石に比べて6分の1の重さにもかかわらず、強度は砕石と同程度です。そのため、地面がやわらかい場所の工事では、砕石の代わりに使われることがあります。ただ、地面の深い所で使われるため、完成した道路ではその姿を見ることはできません。

■土壌改良材 
土に混ぜると、土が締め固まるのを防ぎ、保水性を高めるため、畑や花壇等で使われます。

■防犯砂利
スーパーソルは踏むと大きな音が鳴ります。この特徴を活かして防犯用の砂利としても販売されています。

その他にも脱臭や雨水貯留、屋上緑化資材など、幅広く使用されています。

美しい海を守りたい。地域貢献の思いを呉へ

スーパーソルは、沖縄県の株式会社トリムが生み出したものです。トリムはもともと居酒屋を経営しており、毎日のようにガラスびんを廃棄していました。沖縄は周りを海で囲まれているため、リサイクルできないごみは埋め立てることがほとんどです。しかし、それは沖縄の美しい海の破壊にもつながってしまいます。「リサイクルして、海を守りたい」という思いから、ガラスびんを別のものに生まれ変わらせることができないかと開発されました。

私たちは、展示会でトリムと出会ったことをきっかけに、技術の新しさや地域貢献に対する考えに共感し、広島でこの技術を導入しました。私たちの企業理念である「地域と共に成長する」の観点から、リサイクルを通じた地域貢献の方法として注力しています。現在、呉市や県内一部地域のガラスびんはスーパーソルへリサイクルしています。

スーパーソルの製造工程

スーパーソルはガラスびんからどのように作られるのでしょうか?製造工程を紹介します。

①ガラスびんを乾燥させる
まず乾燥を行います。ガラスびんは飲料が入っていたものが多く、濡れていることがあります。濡れたままのガラスびんだと、粉状にした時に粉がかたまりになり、スーパーソルができません。製造ラインからの排熱を利用して、付着した水分を取り除きます。

②廃ガラスを割る(破砕)
乾燥させたガラスは、破砕機で8ミリメートル以下の大きさに砕きます。破砕されたガラスはカレットと呼ばれます。

③廃ガラスを粉状にする(粉砕)
粉砕機で約200マイクロメートルの大きさまでさらに細かくしていきます。1マイクロメートルは0.001ミリメートルなので、とても小さい粒状です。

④ガラスの粉と添加材を混ぜる(混合)
大事なポイントその1です。ガラスの粉に添加材と呼ばれる別の粉を数種類入れ、均一になるように混合します。添加材の量を変化させると、スーパーソルの性質が変化するので、使用目的ごとに添加材の量を変えているんです。

⑤混合したガラスの粉を焼く(焼成)
大事なポイントその2です。混ぜ合わせた粉体を800から900度で焼いていきます。粉体は、約30メートルの長さの焼成炉を、30分から1時間かけて通過して焼かれていきます。焼成炉から出てくると、粉体は板状に固まっています。温度や時間を変化させるとスーパーソルの性質が変化するので、使用目的に応じて、焼成方法も変えているんです。

⑥スーパーソルを冷やす(冷却)
板状に焼き固められたあと空気で冷やされると、自然に割れて、だんだん小さなかたまりになっていきます。こうして小さくなったものがスーパーソルになります。

製造の様子はyoutubeでも公開しているので、ぜひご覧ください。

スーパーソルは世界中で活躍中!

スーパーソルは、海外でも活躍の場が広がっています。バヌアツ共和国では、雨がなかなか降らず水不足が問題となっていました。スーパーソルは水の腐敗原因である大腸菌の発生抑制の効果をもち、雨水を長期間保管できます。雨水貯蓄システムとして、問題解決に役立っているんです。他にも、タイのピピ島では生活排水浄化システムとして、ベトナムでは人工湿地システムとして使われています。

日本では、民家に強盗が侵入するという事件の報道が増えていますが、それに伴い防犯砂利として需要が高まってきています。

スーパーソルは多様な性質を持つため、様々な用途への可能性が期待されています。たとえば、畑に混ぜるとそうか病や連作障害を予防できる可能性が報告されているなど、あらゆる課題解決に向けて研究が進められています。

スーパーソル気になりませんか

リサイクル製品は原料と同じ性質や見た目を持つものが多いです。スーパーソルのように今までのものからまったく別のものに変わるというリサイクルはとても面白いと思いませんか。私たちの工場では製造工程や施工事例の見学もできますので、気になったらぜひお問い合わせください。

ホームページはこちら:https://www.cocco-at.jp/
インスタグラムはこちら:https://www.instagram.com/cocco_ksk/


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