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高齢の母のために実家の墓地をリフォームしたら新規事業が生まれた話
株式会社こっこーは、2025年1月より広島県内の墓地を対象に、墓地リフォーム事業を始めました。本サービスは墓地内の雑草対策や手すり・フェンスの取り付けなどを行うもので、お墓参りをするご家族やご友人だけでなく、地域で暮らす皆さまにも心地よい環境づくりを目指しています。
「リサイクルやエクステリアの会社がお墓のリフォームを?」と疑問に思われる方もいるでしょう。
新規事業をスタートすることになったきっかけや背景を、事業責任者の才津原(さいづばら)さんに聞いてみました。
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「第1回社内ビジネスアイデアコンテスト」にて最優秀賞を獲得
社内ビジネスアイデアコンテストで最優秀賞に
私たちは、2023年1月から新規事業に繋がるアイデアを社員から募集する「社内ビジネスアイデアコンテスト (以下ビジコン)」 を始めました。
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記念すべき第1回ビジコンには、149件もの応募がありました。最優秀賞を獲得したのが、才津原さんの「墓地リフォーム」です。私たちが取り扱っている手すりやフェンスなどのエクステリア商品 、砂利などの石材、防草工事のノウハウを活用して、墓地のリフォームを行います。
「人に心地よい環境をつくる」という私たちの企業理念との合致や、既存の取り扱い商品・ノウハウを活かすことができる点などが社内で大きく評価されました。
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実家の墓地リフォームで需要を発見
才津原さんはどのようにアイデアを思いついたのでしょうか。詳しく話を聞いてみました。
──このアイデアはどうやって生まれたのでしょうか?
お墓参りを習慣にしている母のために、実家の墓地をリフォームしたのがきっかけでした。うちは典型的なみなし墓地(※)で、階段を上っていかなければたどり着けません。
※みなし墓地とは…『墓地、埋葬等に関する法律』 (昭和23年) が施行される以前に認可された墓地。地域や宗教団体などの共同墓地、先祖代々の個人墓地などの多くがそれにあたる。
一般的な霊園墓地と違って特定の管理業者などがおらず、荒れたままに放置されてしまうケースも多い。
70代後半になった母に、お墓周りの草抜きや階段の昇降は負担でした。母がお墓参りに行きやすいように、自社で取り扱っている防草シートや砂利、手すりなどを購入し、知り合いの業者に頼んでリフォームを行いました。周囲の方からは「綺麗になったね」、「どこでやってもらったの?」と声を掛けてもらいました。たくさんの好意的な意見を聞いて、実家以外にも需要があるのではないかと思ったんです。
──同様の悩みをお持ちの方は多いのでしょうか?
中国地方の田舎の方に行くと、道路沿いや裏山、実家の敷地内などにお墓を見かけることが多いですよね。そのほとんどがうちと同じようなみなし墓地です。
私の実家の周りでも、墓地は日常風景の一部になっています。地域の方々の散歩コースの中に、当たり前に墓地があるんです。雑草だらけで荒れていれば、景観の悪化だけでなく、害虫や害獣が棲みつくなど公衆衛生の悪化にも繋がってしまいます。その意識があるからこそ、自分の家のお墓もなんとかしなければ、と声を掛けてくださる方が多かったのだと思います。
ビジコンがあったから事業アイデアにできた
墓地リフォームの反響に手ごたえを感じていたという才津原さん。すぐにでも事業化といきたいところですが……。
──もともとビジネスアイデアとして温めていたのでしょうか?
資材はエクステリア事業部が取り扱っているものなので、「既存の仕組みの延長で対応出来そうだな」とは思っていました。ぼんやりとしたアイディア自体はあったのですが、なかなか形にする機会もなく、そもそも社内の誰にどう提案していいのかも分からなかったです。
──そんな時にビジコンが始まったんですね。
アイデア募集のチラシを見てすぐ、このことを思い出しました。いい機会だと思って応募してみたんです。書類審査とプレゼンテーションを経て最優秀賞をいただき、実際に事業化が決まりました。
元々エクステリア業界は競合・競争が激しい業界ですが、昨今の物価高の影響もあり苦戦を強いられています。同じ仕事を同じように進めるだけでは立ち行かなくなってきており、視点を変えた取り組みが必要だと感じていました。
墓地リフォームも、ビジコンがなければただの思いつきに留まっていたと思います。イベントの形になったからこそ、会社にアイデアを受け入れる体制があることもわかり、私を含めてアイデアの提案がしやすくなったのではないでしょうか。149件もの提案が集まったのがその証拠でしょう。
今後もビジコンを社内文化として残し、新たな事業を生み出していく風土づくりにつなげてほしいと思います。ビジコンから生まれた初めての事業として、墓地リフォームをしっかりと形にしていかなければ、と強く責任を感じますね。
社内外あらゆる人の協力で事業化へ
──事業化が決定してからこの約1年間、どんなことをしましたか?
法令関係の調べ物や整備を行う時間が長かったです。敷地の境界線の問題や、権利者と合意形成を得るためのプロセスを設計しました。
社内モニターを募って実際にリフォームも行いました。施工前後の写真撮影に関しては、社内のフォトサークルにも協力してもらいました。自分も含めて、みんなも他の仕事と並行して事業化を進めてきたんです。いつも快く協力してくれて、頭が上がりません。
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──1番苦労したことは?
法令関係の調査は大変でしたね。初めてのことだらけなので、何を調べていいのか、どこまで調べたら問題ないといえるのかも分かりませんでした。役所の方にも何度も相談をさせていただきました。
それでもケースごとに想定されるトラブルを考え始めると際限がありません。最終的には、雑草対策や手すり取付など需要が集中するであろうサービスからスタートし、様子を見ながら少しずつ広げていくという形で落ち着きました。
──周囲の社員やご家族の反応は?
社内からの期待感は肌で感じるところがあります。解体やリサイクル等、他の既存事業を絡めた総合的な提案も出来たらと思っています。
家族には事業化することになった際に報告しました。好意的に受け止めてくれて、ぜひおすすめしたい!と言ってくれています。
墓地の新しい選択肢を作りたい
──墓地リフォーム事業で、お客さまに提供したい「心地よさ」とは?
草抜きの手間や階段の上り下りの不安が減ることですね。
たったそれだけ、と感じるかもしれません。ですが、暑い中で草抜きをしないといけない、階段で転びそうになった、「たったそれだけ」でも、お墓から足が遠のく十分な理由になります。そんな理由でお墓参りに行けていない、という罪悪感も心地よさとはほど遠いですよね。
小さなことですが、「たったそれだけ」を1つひとつ取り払っていくことで、お客さま自身や地域の皆さまの心地よさに繋がると信じています。
──心掛けていきたいことは?
お客さまの期待を超えられる、プロに頼んでよかったと思ってもらえるサービスを提供したいです。たとえお客さまの要望通りであっても、後々に後悔されるような提案はしたくありません。
実家の墓地をリフォームしたばかりの頃、母はまだ問題なく階段を上がれていました。その後ほどなくして膝を痛めてしまったんです。その際「やっぱり手すりをつけておいてもらってよかった」と。
表面上だけでなく、お客さまが本当に必要とされていることに応えられるよう努めていきたいと思います。
──最後に皆さまに伝えたいことがあれば
お墓との向き合い方は、育った環境やそのときの状況によってそれぞれです。最近はお墓じまいや墓参り代行などのサービスもありますし、それらを必要とする方が多いのも頷けます。ですが、お墓が身近にあり、これからも共存していく方々にとって、墓地リフォームは新たな選択肢になり得るでしょう。
親孝行、先祖孝行のひとつとしていかがでしょうか。
「お墓、どうする?」家族で会話してみて
皆さまの中にも、年末年始に実家に帰って、お墓参りをされた方がおられるかもしれません。お墓周りでお気づきの点はありませんでしたか?この機会に、ご家族とこれからお墓をどうしていくかを話し合ってみてはいかがでしょうか。
広島県内でみなし墓地のリフォームをご検討の方はぜひ、私たちにお声掛けくださいね。
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