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京都・奈良巡り 4日目(2)

家人の京都マラソンについていくという名目で久々に来た関西ですが、私の中で、今回の旅の目的は奈良!30年以上ぶりの法隆寺の再訪と元お醤油醸造所の宿「田原本 マルト醤油」に泊まることが、本旅行のメインイベントです。

「マルト醤油」の宿はのどかな田園地帯にありました。1689年創業の奈良最古の醤油蔵が、唯一無二の宿として蘇ったのです。母屋、書庫、そして3つの倉に泊まることができます。(今調べたら更に泊まれる棟が2つ増えていましたよ)奈良の伝統建築の建物も素晴らしいのですが、庭園も美しい日本庭園。皇室にお醤油を献上していたので、運搬人が一服する部屋もありました。

「田原本マルト醤油」
部屋からの景色も良いでしょう

私たちは、当主が住んでいたという母屋を改造した木藤に泊まることにしました。木枠の大きな窓が南側の壁に横一列に抜かれており、美しい屋根瓦や奈良の田園風景を臨めるようになっています。床は畳敷、お風呂は檜。

奈良の田園風景が窓から望めます

びっくりしたのは快適さです。奈良で昔の家のリノベーション…とくれば、屋内でも酷寒の寒さだと思い込み(←北海道は屋内は冬でも暖かいのです)、薄手のダウンを持参しましたが杞憂でした。床暖と2台のエアコンでポカポカー。奈良の田舎町を眺めながら、ぼーっとお茶を飲んでいるひとときは心からリラックスできました。

そして「醤油絞り体験」なるプログラムがあり参加してみたのですが、これに参加せずしてこの宿の真の良さは伝わらず、というほどの良い内容でした。オーナーである18代目当主さん自らが、この宿や奈良の歴史を教えてくださるのです。外に醤油作りに使われていた釜戸の痕跡があり、当時の全て手仕事であった醤油造りの方法や、宿として使っている蔵にはかつて大豆や小麦などの原材料が納められており、その蔵の二階には職人たちが寝泊まりしていたことなどを教えてくれます。

右手が原材料を収めていた蔵です。

歴史ある醤油造りを祖父の代で廃業しなくてはならなかった理由、そしてそれをどうやって再興したかという話は、今思い出しても胸が熱くなる内容でした。今醤油造りを再開できたのは、蔵に330年にわたって酵母菌が住みつき生きていてくれたからだと言います。そんなお話を聞いた後にした醤油絞り体験は格別でした。絞り出したお醤油の雫は、透明感があり、味は角が何もないまろやかな味わいの甘いものでした。

こちらでは予約すればディナーも出してくれます。マルトさんの良質な醤油尽くしのフルコースで、これがまた、レベル高いの!奈良のお野菜をふんだんに使った、こだわりのディナー。この宿に泊まる以上、ディナーもマストですよ。

いろいろな種類のお醤油を駆使したお料理
手前のお醤油をほんの少量ずつ垂らして料理をいただきます
お醤油の透明感!

こちらの宿には2泊したのですが、実は当初夕食の予約は入れていませんでした。
次の日はディナーがお休みなので1日目にいかがですか?と宿から前日に声をかけていただいたのです。
感謝感謝です。このディナーを危うく食べ損ねるとこだった。他では味わえないお料理ですから。


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