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エージェンシー!!

今後人に説明する必要が出てきそうなので、白井俊著「OECD Education2030 プロジェクトが描く教育の未来 エージェンシー、脂質・能力とカリキュラム」で復習します。

前々々回、前々回、前回の復習

よりダイジェストな復習。

  1. 試験の成績だけでなくコンピテンシー。

  2. 1997年〜2003年 DeSeCo(Definitions and Selections of Competencies;コンピテンシーの定義と選択)

  3. 東日本を契機とした東北スクールプロジェクト

  4. 2015年〜2018年 Education2030フェーズ1;DeSeCoの再定義

  5. 2019年〜現在進行形 Education2030フェーズ2;カリキュラム提案

  6. 2023年〜現在進行形 プロジェクト∞無限大(Project∞Infinity)

※DeSeCoの反省から実行可能性に配慮し、
①カリキュラム設計、評価、教育法、学校マネジメントに付いて調査研究。
②多様な国・地域、立場(行政官、研究者、教師、企業、NGO、学生・生徒)で構成。
③社会に対応でなく、「私たちが実現したい未来をつくる」(The Future We Want)

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ラーニングコンパスという成果物。

エージェンシー!!

ここでいよいよプロジェクト∞無限大の話に行ってもいいのですが、僕自身が惚れ惚れする概念「エージェンシー」について見ておきます。
箇条書きで行ってみます。

  • エージェンシーはラーニング・コンパスの中核的概念=超重要

  • エージェンシーは「変化を起こすために、自分で目標を設定し、振り返り、責任をもって行動する能力(the vcapacity to set agoap, reflect and act responsibly to effect change)」

  • エージェンシーはよりVUCAとなる未来において「私たちが実現したい未来(The Future We Want)」を実現していくために必要。

  • ✕教師から指示されたことをこなすだけ

  • ✕労働者が企業から求められるスキルを身につけるだけ

  • エージェンシーは「誰かの行動の結果を受け止めることよりも、自分で行動することである。誰かが決めたり選んだことを受け入れることよりも、自分で決定したり、選択すること」。

  • ✕単なる欲求の実現。○社会に対して責任を持ちながら。

※日本人はこれが低い。

  • イギリスの教育実践家リードビーター「子どもたちは単に決まったルーティンを行うだけでなく、世の中で自分なりの道を切り開いていく力をつける必要がある。チャンスを見つけることや自らの目標をもつこと、リスクをとったり時間や労力を使うこと、複雑な問題を解決したり共通の目的を達成するために、他者と協働できるようになる必要がある」という問題意識が議論のスタート。

  • エージェンシーを発揮するのに、中学生であれば、直ちに国際社会や国全体のレベルにおいてではなく、中学生であれば自分が属する社会で自分ができること、すべきことを考え、行動していくということである。

  • 生徒がエージェンシーを発揮すればするほど、教師にはそれを受け止めるだけのより高い専門性が要求される(実際そう思うし、このときラーニング・コンパスが判断を助けてくれる)

  • 日本でしばしば使われるのが「主体性」や「主体的」であるが、曖昧さがある。「自律性」、「生徒の声、意見」、「生徒の選択」、「生徒を中心に」、「自立して」、「積極的に」などは、十分な言葉ではなく、他者や社会との関係性を含む必要がある。

  • エージェンシーは身につけるべき目標であり、プロセスで発揮すべきものである。

共同エージェンシー(Co-agency)!!

「共同エージェンシー」は他者との関係の中で生じます。
OECDのワークショップに参加して、しばしば、聞いてきたアフリカの諺があります。
早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいならみんなで行け!!」
この諺を確認して共創が行われます。いい諺だ。
共同エージェンシーも箇条書きにしておきます。

  • 親や教師、コミュニティ、生徒同士の相互作用的、相互に支援し合うような関係性であって、共通の目標に向かう生徒の成長を支えるもの

  • 教師や生徒が、教えたり学んだりする過程において共同制作者になったときに生じるもの

ということで“力”というより“プロセス”、”状況”なのかなと思います。

  • 授業の在り方を教師と生徒が一緒に考え、作り上げる(co-create)ことで、生徒は何のために学習するのかという目的意識を得、自分の学びを自分で決めるという当事者意識(sense of ownership)を持てる

  • 共同してエージェンシーを伸ばしていくために教師自身もこれまで以上に成長していくことが必要

  • 教師はもちろん、家庭やコミュニティの大人たち全体が、広く生徒のエージェンシーを育てていく責任の共有が必要

  • 共同エージェンシーとは、生徒、親、友人、教師が、教育経験を通じて、自分たちの発達を双方向的に律すること。

太陽モデル〜共同エージェンシーのレベル〜

太陽モデルは学生グループによって、共同エージェンシーのレベルが表現されたものです。
太陽モデルを見るといつもチャレンジングだなあと思います。

共同エージェンシーの太陽モデル
太陽モデルに基づく共同エージェンシーの9段階

※Makers’ Space — “Project∞Infinity”(仮翻訳案)から引用

プロジェクト∞無限大で目指される太陽モデルのレベル

当然レベル8です。先生が子供に委ねるのは一見よさそうですが、先生が傍観者にとどまりがちになります。先生が傍観者から参加者になることでレベル8に到達します。
一人ひとりのエージェンシーが集結し、共同エージェンシーを作り上げることが2030年の教育・学校には必要なのです。

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