2022年、ジョブ型雇用という言葉で和田一浩を考える
コブ山田です。
ようこそいらっしゃいました。
今回は、プロ野球中日ドラゴンズ和田一浩コーチについて、記します。
2008年~2015年、中日でレフトのレギュラーとして君臨していた和田一浩。2010年にはリーグ優勝に大貢献したことが大きく、セ・リーグMVPを受賞しました。FA移籍では大成功と言っていいでしょう。
そんな和田も、2021年にベストセラーになった鈴木忠平『嫌われた監督』の第8章に登場します。
私も読み、noteに書きました。
そうやって『嫌われた監督』について書いてあるnoteを辿っていくと、ひとつ見つけたのがコトーさんのものです。
和田に関する記述もあります。和田がチームのためと考えてセカンドランナーを進塁させるべくセカンドゴロを打ったものの、監督の落合博満からは評価されるどころかその逆で注意されてしまいました。
「チームのことなんて考えなくていい」
と。
これは2008年頃のことです。当時その言葉がなかったものですが、これはジョブ型雇用的な考え方だと言います。
ジョブ型雇用。2022年05月29日(日)の日経新聞3面に、今日の言葉としてあります。WEB版の記事もあります。
"仕事内容をあらかじめ細かく定めた雇用形態。職務を限定しない総合職が一般的な日本の「メンバーシップ型雇用」に比べ、働き手の専門性を高めやすい事業戦略に合わせて必要な人材を機動的に採用するのにも向いている。労働市場の流動性が高く経験者採用が一般的な欧米企業で広く取り入れれている。"
私も、この仕事内容をあらかじめ細かく定めた雇用形態のところだけを見て、2022年の春先にあった中日松葉貴大のバンテリンドームナゴヤでの先発投手限定起用を、ジョブ型雇用だジョブ型雇用だと何回もツイートしていました。
ああ、これか、このことか!
— コブ山田(Takeshi JaCob Yamada)|希速推奨、青信号って本当に楽しい (@Cob_Yamada_24) June 2, 2022
中日ドラゴンズ松葉さん定時退勤!ジョブ型雇用!!お疲れさまでしたー!!!
…ってリリーフ陣は夜勤ってこと? https://t.co/EbkN3QmSwn
ただ、松葉の起用をジョブ型雇用だと表現するのは深慮ができていませんでした。
ジョブ型では賃金は仕事の市場価値で決まります。松葉の年俸が市場価値的かと言うと、そうではありませんでした。
※過去形なのは2022年シーズン中に国内FA権を取得して他球団からのオファーも受けることができる状態になったからです。結果的には中日で複数年契約を結んで残留しました。
その点に照らし合わせて考えると、確かに中日にFAで移籍した和田は他の選手とは一線を画すと言えます。
もともと、2007年オフに福留孝介が中日を退団したため(MLBシカゴ・カブスに移籍)、打撃力のある外野手の補強は必然でした。
そんな中で西武に在籍していた和田はFA宣言します。そのひとつが伊東勤監督の退任ではありますが、ちょうどかつてファンだった中日でも外野手の補強が必要だった時期。
これをチャンスだと捉え、和田も別リーグでのプレー経験を選びました(年俸は単年ベースだと中日の方が20,000,000円低い)。
とは言え、ケタ違いの金額を提示して他球団から招いた人です。移籍初年度の2008年、中日で136試合に出場し、2013年まで年間130試合以上の出場を続けます。
競争も何も指定席があったようなものです。加えて、この言葉もかけられていました。
「お前は競争させねえからな」
監督の落合は言いました。和田は特別扱いなのです。長打と確実性を併せ持った希少な選手であり、その仕事をすることだけ考えればいい。チームの勝利という結果のために結びつけるのは首脳陣の仕事だと。
これに徹したかどうかは定かではありませんが、少なくとも落合が監督を務めている間は2011年の後半戦以外すべて中軸起用でチームもAクラスでしたので落合の構想通りと言っていいでしょう。
2010年のMVPが大きく、年俸はさらに上がりました。
もちろん和田もその指定席で寝ていただけではなく、8しかない(厳密には3)レギュラー野手のひとつの席を奪われまいと奮闘していました。
骨折していても黙って出場していたほどです。でも、どうしてもの状態にならない限り休むとは言えない。
活躍できれば高給と栄誉、できなければ退場という厳しい世界です。さながら外資系企業の営業職です。
さて、そんな和田も、ついにバットを置く日が来ました。2015年の秋です。
ただ、その引退会見を見てとても印象的なものがありました。
「何やってるんだ! しっかりしろ! と言いたいですね」
自身の後輩となる中日の若手選手たちに、しっかりしろ、自分は内心満足していないと評したのです。
自身の待遇は特別なもので職務内容が明示されている待遇で中日に入団し、幼き日の夢を叶えはしたものの、本当は心の中では職務は自分で競争の結果つかみ取りたかったのではないか。
事実、『嫌われた監督』の308ページにも中日へのFA移籍に引け目があったと記載があります。
2001年以降の西武の出場記録を見ると、レフトは和田の他に高木大成、垣内哲也、大友進、高山久といった名前があります。そんな中で競争を勝ち抜き打順は中軸、守備位置はレフトをつかみ取ったプロセスを経て西武のレギュラーとして活躍してきました。その点があったから中日もFAで獲得しようとしたわけです。
今日は2022年12月09日(金)。
和田は、来年から中日の背番号75を着用して1軍打撃コーチに就任することが決定しています。
ちょうど、中日は新外国人のアリスティデス・アキーノを獲得しました。MLBで41本のホームランを打っています。
2022年シーズン、中日はチーム全体で62本のホームランという状態であり(東京ヤクルト村上宗隆が56本)、アキーノは4番ライトの最有力候補でしょう。
同時に出戻りでソイロ・アルモンテも獲得しましたが、アキーノの年俸はアルモンテの5倍以上と、アキーノへの期待値は明らかに違っています。
アキーノがバントやセカンドゴロを打ってランナーを進めるということは考えにくい。やはり期待するものは長打でしょう。
かつて和田自身が体験した境遇を、アキーノが通る可能性が高い…。
私は、和田の1軍打撃コーチ就任とアキーノ獲得が交差して見えます。親和性が高い、いい巡り合わせだと考えています。
そして。
15年前の今日である2007年12月09日(日)は、和田一浩が中日ドラゴンズと入団合意した日です。
15年前から始まった中日ドラゴンズとの歴史。また、新しく輝かしいものを積み上げていってください。
ありがとうございました。
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